雲と水面




息子と一緒に一歩ずつ



人工内耳の手術の時期(2003年12月)は、私たちにとってはベストの時期だったと思います。

お教室の先生方の励ましと、早期療育のおかげで、早い時期から私も難聴児の子育てを無理なく楽しくできるようになり、息子との母子関係もスムーズに築くことができ、補聴器を最大限活用し言葉の理解もだいぶ進んだ時期の手術でしたので、長い入院生活も母子で楽しく過ごすことができました。

今、息子には人工内耳はなくてはならないものとなりました。朝起きると「ぺったんぺったん」と言いながら右耳に手を当て、コイルをつけてと要求するしぐさをし、電池切れがおきると「ママ、なーいね」と新しい電池を催促し、ビデオを見ながら大好きなミッキーマウスの声まねをしたり、ディズニーパレードごっこに夢中になって自分で「ミッキー」「ミニー」と言いながら踊りをおどり、大好きなお教室で教えてもらった手遊び歌を私と一緒に歌ったり、1日の出来事をパパにお話したり・・・毎日の生活の中で楽しみながら言葉を獲得しています。

息子の難聴が解ったころ、今のように楽しくおしゃべりしたり、歌ったりしている息子の姿など想像できずに、将来のことばかり考え心配し、落ち込んだ日々がついこの前だったにもかかわらず、とても懐かしく思えます。

今は、先のことを考え心配して過ごすことより、息子にとって今日1日が楽しく充実したものであり、日々の遊びの中で、生活の中で言葉を獲得していけるようにと、心がけて生活しています。

まだまだこれから学ぶことも悩むことも たくさん・たくさんあることと思います。私も母親として未熟で、うまく気持ちが伝わらず、かんしゃくを起こす息子をしかってしまったり、感情的になって落ち込んだり、時々あせって息子の発音を注意して言い直しを執拗にさせてしまったり・・・と、親として情けないところだらけで、反省の毎日です。

言語獲得は難聴児の親としてやはり気になります。それ以上にもっと大切なことは心の成長だと思っています。健やかな心の成長・・・。それはきっと言葉の成長にも結びついていくことと思います。子供の可能性を信じ、そして何よりも息子の溢れんばかりの笑顔が、これから先もずっと失われることの無いように・・・。息子と一緒に一歩ずつ成長していきたいと思います。

2004.5.1人工内耳友の会東京支部会報掲載



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