雲と水面





<1.自己紹介〜99年3月>

はじめまして。
息子が先天聾で、現在ちょうど2歳です。アメリカのジョージア州に駐在中で、息子はこちらで産まれました。現在、補聴器をつけセラピーを週に一回、アトランタで受けています。
人工内耳の手術はアトランタの病院で、コークレア24を入れる事になっております。
しかし、いよいよ日程が決まるとやはりとても複雑な心境です。

アメリカでは手術を受けた翌日に、退院になります。それも不安に一層拍車を掛けていますが、なにか先輩方からアドバイスはありますでしょうか。。。?

<2.人工内耳〜手術前>

2歳の息子、T君は先天聾です。ちょうど2週間後に人工内耳手術をアトランタの病院で
受けることになってます。
私たちも暗中模索の中、やっとここまでたどり着きました。ここまで来るに当たって、とても役に立ったのが、ACITAで紹介されていた、舩坂先生(東京医科大学教授)の「人工内耳をした子供たち」というビデオと、本です。

いよいよ手術も迫ってきていろいろな不安がいっぱい有ります。こちらでは手術のあと「翌日退院」です。と言われても、この事に関してのアメリカの医療には私は不安を覚えてなりません。

私自身も出産後など、翌日退院しましたが、患者(この場合は?)の立場から考えると、とんでもない!!!事でした。けれど、本当に医療費が高くて長い事はいられないし、体力のあるアメリカ人にとっては家に帰ってしまう方がいいという、基礎体力の違いから来る医療方法の差でもあるようですが。。。

Sさんの息子さんは点滴棒を持って走り回っていたそうですけど、やっぱり何日かは点滴するのですか?こちらでは抜糸はないのですが、日本ではどうでしょうか?

皆さんがおっしゃるように、子供の回復力はすごいようですので、あまり心配しすぎなくてもいいのかもしれませんね。。。

<3.セラピーとコミットメント>

セラピーへは週に一回通っています。そこはアトランタで、このコロンバスという町からは車で2時間程かかります。往復4時間のドライブに加え、まだ子供も小さいので、週一回ですが、同じ事を自宅でも毎日1時間やる、という約束付きです。

一番大変なのは、それが全部英語で行われるという事です。セラピストでは、人工内耳をした後には特に'英語'だけで普段からも話し掛けるように、と、御指示をいただき、おののいています。「バイリンガルは今のところ全く考えないようにしなさい」と言われています。

私たちの場合は、とくに最近の傾向のせいもあるんでしょうが、最初に行ったセラピストが、'人工内耳派?'(うまくいえませんが)だったのもあって、「高度難聴」しかも、「補聴器で満足な聞こえが得られない」場合には、「すぐにも人工内耳を」と、こちらが満足に人工内耳の知識もないうちに「早く早く」 とせかされ、私たちが二の足を踏んでしまったほどです。
デシベルでは、たしかに70db以上から受けられると思います。ただ、補聴器での聞こえがややあったりすると、保険はなかなかおりにくいはずです。

欧米では、今は2歳未満が(一才半〜)人工内耳を受ける難聴児の通常になっています。
アメリカでは親の人工内耳への理解度、術後のリハビリ環境、そして、リハビリに対する親のCOMMITMENT(公約、責任)がないと手術を受けさせてもらえません。
わたしも、心理学者や病院のソーシャルワーカーなどに面接を受けました。そこで、散々言われたのが、「人工内耳はパーフェクトではない」という言葉です。

おそらくは、他からも懸念されているように人工内耳への過大評価による誤解のため、「人工内耳さえすれば何とかなる」と思う親御さん達も中にはいて、その誤解を手術前にきちんと解いておかないと、という病院側の配慮なのだと思われます。

けれど、頑張りさえあれば、まるで音のない世界にいた者にとっては、魔法の機械にもなり得る可能性があるのも確かなようです。

手術を迎える今となっては、アメリカの友人が言ってくれた言葉が身にしみます。
「人工内耳が、うまく働いても、もしだめでも、Tは大丈夫。」ですから私たちは、この手術を受ける事を、親の身勝手だという風には考えておりません。聞こえなくても、聞こえても、私たちのT君への愛情は全く変わりがないからです。

私たちには、あと何年で日本に帰るという保証も、目安もないので、やっぱり英語になるんでしょうね。。。がんばります。(毎週行くセラピーはまるで私の為の英語のレッスンのようです。。。)

<4.人工内耳、手術直後>

無事息子の手術が終わりました。一番大変な山場を越したという感じで、少しずつホっとしてきたところです。。。朝の7時半から始まり、12時半にはほぼ終り、1時半には太陽君と対面することができました。

もっとぐったりしてるかと思っていたのですが、私達を見るなり、泣いて泣いて。。。(T_T)
看護婦さんが抱っこしても良いというので、抱っこをすると、モーレツな勢いで、泣くわおこるわ。。。たたくは蹴るは。。。こっちが力をこめて抱っこしてないと,落っことしてしまいそうになるぐらいの勢いでした。(すごいチカラ。。。)

手術そのものはとてもスムーズにいったそうで、なんと、術後3時間で点滴を取られてしまいました。(びっくり。(*_*))点滴の不快さは無くなったでしょうが、水分を補給しなくてはと、必死でいろんなものを飲ませました。ポカリスウェットを飲ませたり、氷をなめさせたり。

夕方になって、気がつくと頭の包帯から、血がにじんで来ていました。慌てて看護婦さんに聞くと、すぐにドクターを呼んでくれました。ちょうど帰宅途中で車を運転していたドクターは、すぐに病院に引き返してくださり息子の様子を診に来てくれました。

結局は傷口からの少々の出血があっただけで、もう殆ど止まっていました。ガーゼを取り替え、包帯を巻き直し、特に問題はありませんでしたが、巻き直した包帯がどうも
緩いらしく、どんどんずれてきてしまいます。看護婦さんに言って巻き直してもらったのですが、なんだかとても不器用で私の方がまだ?うまいのが分かりました。

Tは結局ほとんど一晩中、私から離れず、病室にあるロッキングチェアーで抱きかかえたまま一夜を過ごしました。夜中も不快さで何度も起きてつらそうでしたが、次の日の朝、8時には退院して、アパートに戻ってきました。

退院するとき、ドクターが来てチェックをし、もう包帯も取ってくれて[はい。シャンプーをしてもらって帰っていいですよ。]と言われました。(びっくり!!!)

え?包帯もしないで,ガーゼ一枚つけないで帰るんですか?これからカーシートに,乗せるのに???むき出しのまま?しかもシャンプ〜???シャンプーは病院の個室についているお風呂で看護婦さんが両親にどのようにするのかでデモンストレーションをするためにやるとの事で、息子が大泣きになるのはわかっていたので丁重にお断りし、ガーゼと包帯を、無理矢理!?いっぱいもらって、私が息子に巻いてやり、帰ってきました。(~_~;)

Bくんママさま。。。何日ぐらい包帯はしてあげるべきなんでしょうか?
それから、縫合部分の消毒なんかはしなくて良いのでしょうか??
日本では洗髪は一週間ぐらいしてからだったような気がするのですが???

アメリカさまのワイルドにはずいぶん慣れていたつもりでも、やっぱりびっくりしてしまったTママより。

<5.術後3日目>

今日になってやっと食欲が出てきた?様子のT君です。ですが、お顔半分がだいぶ腫れています。それに、とても偏食なので、野菜はほとんど食べてくれません。つい半年ぐらい前までは何でも食べていたので、今の食べず嫌いはとても不思議です。

ご質問の (というより、日本が過保護すぎるんだろうか???)
いえいえ。日本が過保護というよりはアメリカが異常なような気がします。やはり、アングロサクソンと蒙古民族の違い?DNAの違い?なのでしょうか。。。怖いことがいっぱいです。

忘れてはいけないのが医療保険の問題も大きな一因です。(政府が行う医療保険制度が無い)ですがアメリカ人は、そもそも出産後四日目で、赤ちゃんを乳母車に乗せて公園へお散歩に行けてしまう体力の持ち主であるということを、考えなくてはならないと思われます。

ところで、頭の縫い目部分ですが、かゆくなってくるのでひっかかないように気をつけてと言われました。

一応、オキシフルのようなものを買って、さっと拭いてから包帯を巻くようにして、シャンプーは、髪の毛もたいした量が無いので、お湯でさっと洗い流すだけにしました。いいのかな?

<6.術後一週間>

元気になってきました。心配していた後遺症?も特になく、ようやく今日でアトランタのアパートを最後にし、コロンバスの自宅へ帰ってきました。

上の子(6才)が待ちかねていました。しかし弟の頭の包帯と様子を見てやはり感じものがあったと思います。

とにかく頭をぶつけないようにすることを一番気にかけました。とりあえず、我が家は息子のシングルベッドの両脇にベッドガード(落ちない用)を付けました。ベッドは壁側にあったんだけど、手術前、寝ながらガンガンと頭を壁にぶつけていたので、例のお菓子やなんかに入ってるようなプチプチを壁に張りつけようかともかんがえました。


<7.音入れ(術後一ヶ月)>

4月20日火曜日の日にアトランタの病院へ出向き、ついにT君の「音入れ」をしてきました。それが、本人に特別な反応も無く、泣くでもなく、笑うでもなく、強いて言えば、ちょっとだけ目の玉が動いたかな?という程度の反応しかなく、ちょっと不安になっている私たちです。。。

Sさんから頂いたビデオを見たり、また他から聞いたりしている中で、何らかの反応があるのを聞いていたので、これは。。。?と、不安になってしまいました。先生には、「こういう子供もいるし、珍しい事ではない」と、言われたもののビデオまで用意していった私たちはちょっとがっかりで、あとは祈るばかりです。

先生いわく、環境音で反応できるようになるには、1ヶ月ぐらいはかかる?そうなのですが、いろんな音にすぐ振り向いたり、反応したりするようになるんだと期待していた私は、まだ1ヶ月以上も待たされるのか。。。と、ちょっとガックリ。デス。

けれど、ここで落ち込んでちゃいけないですよね!まだまだこれからの事を信じて、とにかく話し掛けなくては!と、英語と格闘しています。(ときどき、日本語も混ざってしまうけれど。
(^^ゞ)

<8.音入れ約一ヶ月後>

<アドバイス>
> T君の現在の年齢,装用期間を考えると現在音の反応が余りなくとも心配いらない
> ですよ.むしろ,大きすぎるいやな音が入ってつけるのを嫌がるというようにならな
> いように初めはしています
> T君は先天難聴でしたよね.
> 脳の方にいろいろな刺激が入って,言葉の概念ができるなどネットワークが形成され
>音の気づき,言葉の発生につながるのです.T君は音を入れた時点で
>健聴児の生下時と同じだと考えて良いと思いますよ.

ところで、その後の息子君は相変わらずですが、皆さんからのメールですっかり励まされ、「付けても泣かないのは良い事」と、自信を取り戻し、「そうだ、音楽を聴かせよう」とか、8年いてもつたない英語(なんですよ!Tくん!)でなんとか話し掛けています。

<9.音入れ約2ヶ月後>

こちらはTの聞こえに関してはあんまり様子が変わりません。最近ではあせりもだいぶ取れてきてしまい、もうここまで来たら、なるようにしかならないという気分で、結構落ち着いています。(~_~;)

オーディオロジーのテストもしばらくはお休みした方が、私がいちいちがっかりしなくて済むという、あちらの配慮で、毎週行うのはとりあえず止めになりました。なんか拍子抜け。。。。

しかしアメリカでも、田舎の町医者や聾学校や何かでは人工内耳は知識的に、まだ完璧に普及しているとは言いがたい状況があると思います。
やはり最先端の情報は自分で動いてつかんでいかないと、行った先の聾学校の先生が反対派?だったりすると判断がきちんとつきにくくなるし、どの道を選択していくのも本人ではなてこの段階では親だものね。

<10.進歩具合>

ご存知かもしれませんが、私もつい先日、息子の手術を終えたばかりです。とても緊張した私たちでしたが、今はもう髪の毛も大分生えてきて、よく見ないと人工内耳をした子供かどうか分からないくらいです。看護婦さんの友達に見てもらったら、「ふーん。綺麗な縫い口」と言われ、「IMPLANTは頭の手術とはいえ、それほど難しいものではないから」と、あっさりしたものでした。(~_~;)

私はこのところ、T君の聞こえがぜんぜん進歩しない事にすっかり慣れてしまいました。もちろんN24はつけてるし、マッピングもこないだしてもらって来たけど、???でも、あせっても仕方なし、将来はプロゴルファーにしようなどと、勝手に考えて楽しんでます。

実際私たちは、もう半年早く、今の道にたどり着ければと後悔しています。でも、あの時のいろんな気持ちが判断力を鈍らせていたんだと今になって分かります。

実はセラピーで人工内耳手術への判断がうちなんかは本当に遅い方で、本当にあきれられてまいました。しかも、セラピーでは1時間、いすから立つ事を許されないので、結構、子供にとっては厳しい環境です。しかも、同じ事を家でもやれって言われていて一応やってはいるものの、なんか'聞こえ'に進歩がないので、気合いの入らない今日このごろ。。。

<11.音入れ約3ヶ月後。SP故障>

さて、日本へ里帰りにきました。一年ぶりの日本です。

さっき、息子をお風呂に入れようと人工内耳をはずしたところディスプレイに「バッテリー切れ」の電池マークが出ていたので、電池を新しい物に交換し、電源を入れたら、今度はディスプレイに
見たこともないマークがふたつ。。。

(N24にはディスプレイがあり、どのプログラミングをいくつのボリュームとセンシティビティでいれているのか、常に目で確認することが出来ます。その下に小さくいろいろなマークが出てくる
しくみにもなっているのです。)

よく見ると、「警告」のマークと、「レンチ」(工具のレンチ)マークでした。びっくりして、慌ててアメリカに問い合わせると、その二つのマークは"プログラミングが飛んでしまった"という意味だそう。。。
それも装着していたプログラミングだけではなく、4つ全部がです。再起動のボタンを押しても何も変わらず、ほかのどのボタンを押しても反応がなく、電源は入いるという意味なのか、ただその二つのマークが出るのみ。。。

こんな事が、こんな簡単に起こるとは全く予期せずにいたので、もう、びっくりです。残念ながら、日本ではまだN24のプログラミングは出来ないので明日、朝一番でプロセッサーをアメリカのオーディオロジストへ送り返すしか手だてはなく、ここへ来て2週間近く装着を止めなければならないことに本当にがっかりです。。。(T_T)

<12.SP故障、その後>

この「マッピングが飛んでしまった問題」ですが、とりあえず、コークリア社USAから新しいプロセッサーがSTに届き、マッピングを入れたものを主人が日本に来る際に持ってくるという事になりそうです。

皆様、どうもお騒がせを致しました。。。m(__)m

しかし、MさんやWさんのお話のようにプロセッサーの故障はそんなにたくさんある事ではないんですね。。。

<音入れ約3ヶ月後F先生にお会いして>

F先生は大変立派な先生だと、深く感じました。なんの面識もない私たちにも、お会いしてくださるチャンスをくれて、いろいろなアドバイスを丁寧にしてくださいました。

総合すると、やはりこれだけの長い期間、親が何らかの反応にも気がつかない、と言うのはやはり何かが原因にあるべきでは?と疑うのは当然であるとのこと。ですが、確かに子供によってはいろんなケースがあるので、慎重に判断をしなければなりません、とのことでした。

そして先ず、T君の術後に取ったレントゲン写真を見て、22極、電極は確かに綺麗に入っているので、他に考えられる原因としては「マッピング」か、あるいは「聴神経の奇形」だそうです。

「聴神経の奇形」は、術前にMRIを撮れば大体のことはわかるらしく、その時点で、「手術へのGOサイン」が出たならば問題はないとのことでした。

ただ、息子は術前にMRIを受けていなので、(CTスキャンのみ。)その点も不安材料の一つでした。ただ、蝸牛が奇形でない場合、聴神経だけが奇形ということは、まず考えられない。。。のだそうです。

次に「マッピング」ですが、これはN24の装用のため、ここではどんなマッピングをしているのか「診てあげたくても今はそれがかなわない」と、おっしゃって、御自分の良く知っている方でNY州立病院にいらっしゃる非常に優秀なマッピングの先生を紹介してくださることになりました。

先生いわく、実は「アトランタ」は、アメリカの中では人工内耳に関して、学会などでは全く名前の出てこない地域だそうです。(知らなかった。。。)アトランタの先生を否定するわけではないのですが、セカンドオピニオンとして、(アメリカではよくこういう言い方をします。)ちがう先生の意見も
聞いたらどうかという事でした。

<13.はじめての反応>
(ここから今回の本題!)
なななな、なんと、最近やっと、T君に"反応"が見られ始めたのですっ!新しいプロセッサーに変えて、特に変わった反応はすぐには見られなかったのですが、何度かアレ?と思うような様子が。。。あって、3週間目にしてアトランタへ帰り、ドクターでのマッピングの時、明らかに「いやがる」反応がっ。
私にしがみついて泣くのです。それも音の入った瞬間に限り。。。

そしてセラピー(リハビリ)にて。。。音の出るおもちゃに、何度も振り向きました!!!(パパパーン←効果音)ここ数日は、私の声や、紙をくしゃくしゃする音などにも一瞬ですが
反応らしきものを感じます。(T_T)

ドクターとも話したのですが、前のプロセッサーが日本で突然、何の原因なく壊れたところを見ると、そのプロセッサーがあまりよく働いていなかった可能性もある。。。でも、音入れから3ヶ月、いよいよ時が満ちて?反応が始まったのかも。。。事の真偽はわかりませんが、今のこの姿を見ていると、手術をして良かった。。。と、やっと言えるようになったかな?と思います。

F先生に英語で紹介文まで書いて頂いたのですが、もしかしたらNYまで行かなくても済むようになってしまうかも。。。というわけで、ここまで読んでくださった方、どうも有り難うデス。m(__)m
これからは益々、リハビリがんばるゾー!のTくんママでしたっ。

<14.人工内耳手術について、今感じること>

今更ながら、ニュースで最近よく聞く、心臓や、肝臓や、いろいろな生死を賭けた手術に比べれば、人工内耳の手術は「安全な手術」とはっきり言えるのかも。。。と思うようになったカナ。

ついこの間病院に行った時も、昨日手術をした、同じセラピーに行ってる男の子がちょうど退院するところでした。1才9ヶ月の子なんだけど、とても元気そうで、お母さんも一安心といった感じで嬉しそうに帰っていきました。

<ストレス>

ストレスと言えば、息子が2〜3週間前、湿疹が出始めて、おむつかぶれかと思っていたら、首の周りにも出始め、あせも?いや、それにしてはちょっと変。ということで皮膚科へ。

アトピーでした。すっごいショックで、その晩は泣いてしまいました。でも、先生も言ってたんだけど、大きな手術をした後だからストレスも考えられるよって。そのばあい、一過性の事も有りうるからとりあえず様子を見ましょうと言う事になって。。。

いまはその時もらったローションを少し塗るぐらいで、すっかり肌は綺麗になりました。。。でも「ストレス」と聞いて、改めてびっくり。ドクターははっきり、彼にもストレスはあるんだよ、と言っていました。確かに理解は出来るけど、あんまり想像してなかったから、ネ。。。

きっとT君も、子供ながらいろいろあるのでしょうネ。表現がうまく出来ない分、ため込みやすくなってしまうのかも。

<15.幼児虐待>

> アメリカである日本人夫婦の赤ちゃんを診察した医者が、蒙古斑を
>見て、幼児虐待 と勘違いして逮捕された母親がいたとか。(^.^;)
> きっと、まだ黄色人が珍しかったの頃の話だったのでしょう。

これは決して過去のものではありません。実際に私もいろんなところでこういう話しを聞きます。

私の子供たちはなぜか蒙古斑がとてもうすく、よく見ないと分からないぐらいだったので、私自身に経験はないのですが、同じ幼稚園に通わせていたお母さんの子が、とっても蒙古斑の濃い子で、そのこのクラスの先生に私が呼び出されて、「幼児虐待じゃないんだろうか?」と、相談を受けました。

先生方は幼児虐待を見つけたら、役所の担当者に報告をすると言う義務があるのです。そして深刻だと判断された場合は子供は専用の施設へ、親は警察へ、ということになります。

蒙古斑のように、ただの誤解だった場合は当然帰されますが、ひどい時は3日間も、わが子に会えないような状況になってしまう事もあるとか。。。

と言うわけで、人前でわが子をひっぱたく。。。なーんてことは間違ってもできない国なのでありました。ちなみに車の中で寝ている子を、スーパーの駐車場などに置きっぱなしにしても(赤ちゃんでも)、警察につかまり、法の裁きを受ける事になります。(車に鍵がかかっていてもね!)

そして、なーんと、家の中でも12才以下の子供は、一人でお留守番する事はできません。赤ちゃんがベビーベッドで寝ていても。。。
お母さんがちょっとキャベツを買いに行くなんて。。。犯罪者になってしまうのです。。。(^_^;)

<16.装用約4ヶ月、えらそうにアドバイス>

入院中は、"おもちゃの小出し"で乗り切ろう!捨てても、なくなってもいいような安いものをちょこちょこと集めて、なんとか長い入院生活を乗り切ってね。

日本も体調が良ければ、せめて一週間で帰してくれればいいのにね。ちなみに翌日退院の息子は、24時間しか病院にいなかったのだけど、Aチャンがつけていた?ような、頭の血のチューブ?も尿管のチューブも(おむつだった為)つけなかったよ。これはみんながつけるという訳ではないんだよね?

殆ど一晩中、だっこ状態だったけど、(ロッキングチェアーで)翌朝はシャンプーをして、包帯とって、退院だったもんね。。。シャンプーは丁重にお断りしたけど。。。(^_^;)ベッドに括り付けられているAちゃん、なんてかわいそう。。。

T君は2才半になります。人工内耳装用暦、約4ヶ月です。最近だんだん、音?に気がつくようになってきたところです。まだ声にはあまり目立った反応はありませんが、おもちゃのカチャカチャいう音や、手をたたいた音などに振り向くようになってきました。(ハハ、カンドー。(T_T))

> >殆ど一晩中、だっこ状態だったけど、(ロッキングチェアーで)
> ・・・とは、なぜ?やっぱり、本人、相当つらいのかな。

うーん、きっとよく眠れなくて機嫌が悪かったのと、術後、麻酔が取れてまもなく、'抱っこしてもいいわよー'と看護婦さんに言われたので、まだ点滴をつけていたけど、だっこしてました。

というのは病室に帰ってきて私の顔を見るなり、「大泣き」だったのです。抱っこをしても泣きの勢いは止まらず、私に「なんでこんなことさせるんだー」とばかりの怒り泣き?攻撃をしていました。(^_^;)ぶつは蹴るは。。。

よくそんな体力があるもんだと、逆に感心してしまった。。。

>でも、なんで12才までダメなんだろう?
>小学生なら留守番させちゃわない?

ほーんと、そう思うよね。でも、家の中にあるガンをいたずらしてまちがって死んでしまったりとか、いろんな過去にあった事故のケースを考えてこういう法律ができたんだと思う。

アメリカ人は幼児虐待にもセクハラにも、ほんとうに神経質だからネ。セクハラはともかく、子供は社会が守るべき存在だから、どの人も(虐待してしまうような人は除いて)本当に子供にはやさしいよ。バギーを押していたら、必ずと言っていいほどドアは開けておいてくれるしね。(^O^)

<17.アメリカの医療費>

>例えば、海外では確かに装置そのものの価
> 格は多少安いかもしれませんが、手術の費用・入院費用・リハビリの費用などは、
> 日本の何倍もかかります。
> ジョージア州のOさん、何か言って上げてください。

そうですねー。。。アメリカには国民保険も社会保険もありません。したがって、個人で入っている保険会社が人工内耳の費用を負担するわけですが、それも入っている種類が人により違うので、何パーセント保険会社が負担してくれるかは、ふたを開けてみないとわかりません。個人によって違ってくるのです。

ちなみにT君の入れたN24は日本円で(115円)200万円ぐらいでしょうか?(耳かけ型がいくらなのかはちょっとわかりません。)

これに加え、手術費用が執刀医と、麻酔医、病院施設へ約200万円、そしてマッピングは一回だいたい1万8千円ほど。リハビリは一回1万円です。手術を行うまでの診察や人工内耳認定検査など、細かいものを加えると、ざっと5万ドルが相場と言われています。

一日約百万円の入院費用なので、24時間退院の意味がおわかりになるかとおもいます。

<N24>

プロセッサーが壊れた時に、コクレアUSAで、すぐにかわりのプロセッサーを出してくれました。結果的に5日間のタイムラグで替わりのプロセッサーを装用する事が出来たわけですが、日本コクレアのWさんからもすぐにお電話を頂き、私たちに何か出来る事があればと、温かいお言葉を頂きました事、大変感謝しております。

N24の認可がこれほど遅いことについて。全くもって日本のお役所仕事が遅いのがいけないわけで、バイアグラなどの認可はこんなに早いわけですから、出来ない仕事ではないでしょうに、ほんとうに腹立たしい限りです。某先生もぼやいておられましたが、日本コクレアにとっても、日本の医療機関にとっても、(もちろん患者も!)皆、このお役所仕事に泣かされているのだと思います。

<18.音入れ約4ヶ月えらそうにアドバイス2>

我が息子の「Tくん」は現在2才6ヶ月です。人工内耳の手術は2才1ヶ月の時にアトランタで受けました。2才2カ月で「音入れ」をしてから、はや4ヶ月。。。このMLの皆様に何かと支えられながら、手術、音入れとなんとか乗り切ってまいりました。

現在は先天聾ながら、「音」というものの存在に気が付き始め、よく雄たけびのような声を出すようになってまいりました。

人工内耳の手術をするにあたっては、本当に悩みましたが今は、初めて「音に振り向く」様子を見ていると、手術をして良かったと思えるようになってきました。(補聴器ではほとんど反応は見られなかった。。。)

人工内耳をするかどうかを決断するには、先ずは人工内耳がどういった物なのかをよく把握する事が一番大事だと思います。

ACITAのバックナンバーや、先生方が書かれた書物などをとにかく読んで、(ACITAの会報誌の中に紹介されています)納得しなければ手術に踏み込む事は、自分の人生でないだけになかなか決めにくいと思います。

ですが、子供は日一日と大きくなっていってしまうので早くに勇気を持って決断をされた方が良いかもしれません。これは、私事ですが、もう半年早くいろいろ勉強をして手術に踏み切りたかったと思っているぐらいです。

私たちの場合は、人工内耳を決断できたのは、やはり補聴器でほとんど反応が見られなかった事が大きいかもしれません。約5ヶ月間補聴器をしましたが、(うち1ヶ月は嫌がってあまりしなかった)音に振り向いたという経験はありませんでした。

声はわりとよく出していましたが、おっとりした性格もあって、聞こえているんだかいないんだか。。。といった様子でした。

彼の将来を考えた時に、彼が自分で自分の家族を守って生きていくためにも、「危険」を察知できる、「音」というものを知って欲しかった、というのが私の理由です。

確かに手術のリスクはありますが、人工内耳の手術はそれほど危険な手術ではないと思います。(今になって考えると。。。)
T君は、アメリカのせいもありますが、翌日退院をして、一週間後にはお寿司を食べに行ったんですヨ。(^O^)

息子さんは、声はよく出ているみたいだし、音への理解力も十分あるようなので、結論を早急に出すのは難しいかもしれませんね。
わたしも今はこんなに落ち着いていられますが、手術間際は本当にあたふたでした。このMLの先輩方にどれだけ助けられたことでしょうか。。。(謝謝)

とにかく、子供の遠い未来を考えてあげられるのはやはり親しかいないので、じっくり、すばやく悩んでくださいね。応援しております。

<19.おなじくアドバイス>

こんにちは。
先天聾の息子「T君」が2才1ヶ月で人工内耳手術をアメリカで受けました。人工内耳の装用を始めて、4ヶ月がたちましたが、まだ息子からは言葉らしいものは聞かれません。(性格もあるでしょう。。。)

ですが、息子は補聴器(約5ヶ月間)での反応が殆どありませんでしたので、おもちゃの音、水の音、紙をくしゃくしゃする音などに振り向いてくれるだけで実はとっても感動的です。

最近は静かな部屋なら「名前の呼びかけ」にも振り向いてくれるようになりました。声も以前よりよく出ています。

息子は聾学校へはまだ通ってはおりませんが、人工内耳をした事により、その後のリハビリを(言葉の訓練)週に一回受けております。

以前、そこのリハビリのセンターでの卒業式がありました。ちょうど6〜7才の子供たちが卒業の対象となり、普通学校にももちろん通っているわけですが、その時に、先生と卒業生ひとりひとりがマイクで挨拶をしたのです。

その英語はもちろん、私よりも遥かにうまかった!のです。先生との質疑応答はもちろん、英語でジョークまで言うのです。
そして何を言っているか、私にも理解ができる発音の綺麗な英語でした。

中には人工内耳ではなく、補聴器での卒業の子もいて、比べては悪いのですが、若干発音に明瞭さがなかったのを覚えています。その子供たちは、補聴器での聞こえがある程度あるので、人工内耳の手術は受けられないのです。


<20.装用半年、再テスト:NRT>

いよいよ明日になりましたが、私達両親は、普段の呼びかけなどへの反応を、時には見ているので、それほど心配はしていないのですが、彼の聞く姿勢に問題があるせいか、まだ正確なオーディオグラムが作れないでいます。

そのためにST達が?マークをつけ始めていて、もちろん私達としても、頭の中のディバイスがうまく動いているのを確認したいので、今回の検査となりました。
検査といっても、新しいソフトウエアを使って電極の送られ方をモニターするというものなので、痛みなどはないと思われます。

息子(2才8ヶ月)は人工内耳の手術をこちらで受け、現在、装用半年になります。
やっと一定の反応が見られるようになってきたところで、以前はなんとも歯がゆい毎日を過ごしておりました。ですが、本人はいつもご機嫌で、元気よく動き回っています。

<21.海外暮らし>

私の場合も普段からよくお付き合いのある人は、皆自分よりかなり年上の方達ばかりなのですが、本当にいい意味で、精神的に助けられているなーと、よく思う時があります。

海外暮らしはまさに、「遠くの親戚より近くの他人」を実感することの多い毎日です。何の利害もなく、力を貸してくれる人も沢山いて、「助け合いの精神」みたいなものを肌で感じます。

ですから自分もいかに人の為になれるか、できる範囲の小さな「社会貢献」をいつも考えているのが習慣です。

子育ての悩み、問題、ストレスもひとりで抱え込むより、みんなであれこれ知恵を寄せ合いながら、自分の子供への文句の一つでも言いながら、助けあっていけたら一番だと思います!Rママ!私も文句?を言い出したらきっと終わらなくなってしまうぞ〜。(^_^;)

<22.装用9ヶ月、今までを振り返って>

息子の場合、術後すぐには際立った変化はありませんでした。プロセッサーが突然壊れ、交換するなどの事件があったせいかもしれませんが、変化が見られ始めたのが音入れから約3ヶ月後です。

音の出るおもちゃに何度も振り向くようになりました。カチッカチッ、キュウキュウ、カタカタ、
太鼓のようなドンドン以外の音のおもちゃにもです。

名前を呼んで振り向き始めたのが5、6ヶ月後、7ヶ月後には振り向く確立が8割ぐらい?そして
その距離も伸び始めました。今は、私が甘くみられているせいか、聞こえてても振り向かない事がけっこうあります。。。(~_~;)

息を吹きかけて、かざぐるまをまわすことができなかったのですが、8ヶ月後からできるように
なり、また、少しずつ声のリピートが出始めました。

彼の場合、ちゃんとした言葉はまだです。ほとんど母音だけがでてきます。
「アーアー」「アヤヤ」「パッパッパッ」「アブアブ」「ムームー」口から出てくる音をチョットずつ楽しんでいるようなそんなようすです。

彼の場合はかなりスローペースなケースだと思います。音入れから9ヶ月、言葉の伸びの遅さに実はちょっと、かなりあせっているところです。
私の工夫が足りないせいも充分にあると思うのでまだまだ勉強しなくては、と感じる毎日です。

ただ、あのまま補聴器で取り組んでいたら、もっと大変な毎日だったとは思います。
あのRちゃんも、補聴器時代は後ろから呼んで振り向いたことはなかったと話していたし。。。

でもここ一週間、風邪を引いていた間は人工内耳をつけていてもやはり反応は悪いです。
具合が悪いのだから、それどころじゃないんでしょうね。。。

<23.追伸〜2000年1月>

ここまで読んでくださった方、どうも有り難うございます。つらつらとその時々に書いたメールをまとめたこの体験談はその時の心情を赤裸々に書いてあります。

これからお子さんに人工内耳の手術を考えていらっしゃる方、あるいはもうされた方など、いろいろなお立場がそれぞれおありだと思いますが、私たちのこの体験が少しでもどなたかの参考や希望になれば幸いと思い、掲載させて頂きます。
H.Oより     
(01.2.2 renewal)


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