体験者の感想

シン・インテグレーションを通して感じたこと     山田玲子

 わたしの背中には、強いコリがある。それに気づいたのは、ある演劇指導者から、君の体はここが固まっているね、と肩と背中をぐっと矯正された時だった。

 なぜだか、わっと涙が溢れた。痛かったのではない。体の力が抜け、心地よかった。

 しかしそれによって封印が解かれたのか、以来、強烈なコリを背中に感じるようになった。

 解放されたいのだが、どんなマッサージや整体も、そのコリをほぐしてくれることはなかった。

 唯一、ある気づきを得て心が解放された時、瞬時にしてそれが消え去ったことがある。心が動けば体が変わることを、劇的に味わった。

 シン・インテグレーションの何セッション目だったか忘れたが、事情を知っていた倉持さんがオリのように残っていた最後のコリをていねいにさぐり、解きほぐしてくれた。

 これほどまでに背中を軽くしてもらったことは初めてだったが、喜んだのもつかの間、翌朝起きると背中のコリは元に戻っていた。

 体は何を溜め込んでいるのだろう?

 体のコリを解消することで、その原因となっている「心の偏り」から解放されるだろうか?

 それが、私がシン・インテグレーションを受けた動機だったが、結局、外からどんなにほぐしてもらっても、私自身が、そのコリの原因となるものを手放さない限りだめなのだと実感した。

 そして、これは「オリのように残っている」コリではなく、今も私の心によって作り続けられているコリだと自覚した。

 さまざまなボディーワークに共通のことかもしれないが、シン・インテグレーションは、問題を解決してくれるのではなく、問題と出会わせてくれたと言うべきかもしれない。

 それを解決にもっていくのは、自分しかいない。

 自分の根元的な願いが叶わないための辛さを味わっていても、それを邪魔している何かが自分の中に存在していることにはなかなか気づきにくい。

 周りの人がどうのとか、環境が悪いとか、自分の願いが叶わない原因を自分以外のところに見ている。

 しかし、シン・インテグレーションを受ける過程で感じたのは、目的にまっしぐらには向かっていない自分だった。

 集約されるべき願いをいくつかの違うものに振り分け、エネルギーの向かう方向を分散し、結局あっちにもこっちにも満足せず、本来の望みにたどりつけない焦りを感じたり、自分の力不足にあがいたり。

「一度バラバラになって、統合される。そんな感じかもしれない」

 始めに倉持さんが言った言葉だが、今私はバラバラになっている最中かもしれない。

 それは、力不足にもがく原因が、自ら力を分散していることにあることを自覚し、エネルギーの流れを変えよういうことだ。

 もっと簡単に言えば、執着を手放すということ。その先に、統合があるのだと思う。

 セッションは終わっても、過程は終わっていないんだと感じている。

 この過程が私自身のものであることを支え続けてくださっている倉持さんに、感謝いたします。