映画は受け手が一方的に受け取るだけなので、きわめてホットなメディアと言える。時間軸も制作者に委ねられ、受け手は制作者の思うがままに誘導されていく。 各シーンのシークエンス(順番)も制作者の思いのままだ。すると、自然とある解釈を受け手は持たされることになる。たとえばある人が歩いているシーンとハンバーガーを食べているシーンと人をナイフで刺して殺したシーンとを別々に撮影して並べるとする。 「ハンバーガーを食べる」モ「歩く」モ「殺す」 なら、普通の殺人シーンで済む。 ところが次の順番ならどうだろう。 「歩く」モ「殺す」モ「ハンバーガーを食べる」 この行動をした人の猟奇性が現れるだろう。 もし本で読んだとしたら、読むのを中断していろいろと考えることができる。ところが映画は途中で止まることができないので、受け手はそれぞれのシーンを思い返すことなく、一方的に受け取ってしまうことになる。見ている最中には批判もなにもない。目の前に展開される世界をただ受け取っていく。 情報は映画の世界だけで完結し、それ以上でもそれ以下でもない。だからきわめてホットだと言える。 |