■◇■僕のおしゃべり   Vol.16     おつり

 今日、コンビニで買い物した。726円だった。千円冊を出し、小銭入れから26円出したつもりだった。ところが実際に出てきたのは35円だった。一円玉を出すべきところを間違えて十円玉を出してしまった。そのことにしばらく気づかず、レジのお兄さんはそのまま1035円を打ち込んだ。そのときになってはじめて僕は間違いに気づいた。

「あ、すいません、間違えちゃった」

と言って十円玉を一円玉と取り替えた。するとレジのお兄さんはあわてふためいた。

「あ、あ、あ」とか言って、「計算機貸して下さい」ととなりのレジの人に言っていた。

「おつりは300円ですよ」

と言ったら、

「あ、そうですね」

とおつりをくれた。

 昔、(そうか、もう二十年もたつのか)浪人中と大学生の頃、本屋でバイトした。そのときに、お客さんを相手にそっくりなことをした。誰かがお金を払おうとして、中途半端な金額で、計算しておつりを払おうとしたら、お客さんが間違いに気づいたのだった。僕がコンビニでしたように小銭を交換し、おつりを待っていた。コンビニのレジのお兄さんと同様、僕もあわてていた。計算が正しいか、お金のやりとりの際に何か細工されておつりを多く払わされるのではないか、ちゃんと計算機で計算した方がいいのではないか、単純な計算を計算機でするのは恥ずかしい・・・。いっぺんにいろんなことを考えてアワアワしてしまった。

 それを思い出して一瞬にしてお兄さんの気持ちがわかった気がした。

    

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