■◇■僕のおしゃべり   Vol.17     外国語の難しさ

 かつてテレビを見ていたら外人が「私たちのことを『外人』というな!」と叫んでいた。当時私はなぜ外人が外人と言われるのを嫌がるのか理解できなかった。私にとって外人は日本人以外の人を示す言葉でしかなく、怒る理由をまったく理解できなかった。もし外人と呼ばないならばなんと呼べば良いのか? 「日本外人間」? それとも「異国人」? 私には「異国人」の方が「外人」よりも侮蔑的なニュアンスを感じてしまう。「外国人」という言葉はそれを圧縮して「外人」と言っているのだからほぼ「外人」と意味は同じである。

 ある日ふとそのことを思い和英辞典を調べた。すると「外人」の訳には「foreigner」と「alien」があった。そこで「alien」を英英辞典で調べるとまずは名詞として「foreigner who is not a subject of the country in which he is」とあり、そのあとに形容詞として「1.foreign 2.differing in nature or character 3.contrary or opposed」とある。つまり「alien」には「敵対する」とか「反対する」というニュアンスがあるのだ。「foreigner」は「alien」ほどひどくはないが「foreign to」という言葉に「not natural to,unconnected with」などの意味がある。つまり「foreigner」という言葉のニュアンスにもしかすると「不自然な」とか「関係ない」というニュアンスがあるかもしれない。つまりそれまで私が感じていた「外人」の意味はイコール「foreigner」や「alien」とは違うのだ。ところが和英辞書には「外人」イコール「foreigner」「alien」と書かれている。外人が誤解するのは当たり前だ。

 和英辞典に正確に「外人」の訳を入れるとしたら明確に「敵対する、反対する、または不自然なと言ったニュアンスはなく、日本以外から来た人をそう表現する。『外人さん』というと尊敬の意味も含まれる」くらい書かなければ正確な外人のニュアンスは伝わらなかっただろう。

 ところが最近は外人を「外人」と言ってはいけないという日本人がいる。これは私が思うに明らかに「外人」という言葉に「敵対する、反対する、不自然な、関係ない」といった意味を加えてしまっている。主張したとおりに日本人が賛成するのだ、外人からすれば「外人」には「敵対する」などの意味があったとしか思えない。   

    

僕のおしゃべり

tsunabuchi.com