使いなれた辞書を引く

ページを指で滑らせて、視線の下で文字が流れる。

何ページもの薄い紙が密度の濃い文字と共に流れていく。

目標の言葉に近づいて流れが少し遅くなり、

ついにはその言葉のページが表れる。

この動作を私は何度繰り返したのだろう。

いつしかページの端は指の油で黒くなり、

紙もしなやかに引きやすくなる。

私のささやかな努力の印が刻まれていく。

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