ミツコの香り

町中を歩いていてもミツコの香りはすぐにわかる。

昔、叔母が美津子という名だからと母が好んでつけていた。

数年前、調香師の勉強をしているという女性に会った。

彼女がつけていた香りはミツコに似ていた。

しかし、どこかちょっと違う。

香水の香りはつけている人の香りで微妙に変化するので、

そのためかとも思ったが、

汗の匂いで変化するなら匂いの要素が増えるのだろうが、

僕が感じたその匂いは何かが足りない匂いだった。

「その香り、ミツコに似てるけど、ちょっと違いますねぇ」

「あら、よくわかるわね。

最近、ミツコに使っていた香料で採取できなくなったものがあるのよ。

別の香料で代用しているけど、

ちょっと違うのよね」

昔のミツコが懐かしい。

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