デュラレックスのコップ

デュラレックスのコップはよくレストランで使われている。
そんなに高価でもないし、誰でもが一度は見たことがあるだろう。
ぱっと見たところでは全体に歪んでいるように見えるので
安物のコップのようにも思えるが
ところがこのコップはすごい。
歪んで見えるのには理由がある。
注意しないと気づかないが、その形状は複雑だ。
まず、コップの胴の外側が丸みを帯びた正九角形をしている。
胴の外側が正九角形なのに、
飲み口の部分は丸いし、コップの内側も丸い。
コップの内側は、底から微妙に広がり、
飲み口の部分でさらに広がりを増す。
この微妙さがいい。
胴の外側は正九角形が同じ割合で錐を作るのではなく、
コップの中程で少し膨らみが持たされている。
この微妙さもまた素敵。
こういう風に説明すると、
言葉だけでは繊細なガラス工芸品のように聞こえるかもしれないが
ガラスは肉厚で割れにくい。
とても頼もしいコップだ。
普通コップは重ねるとはまりこんでしまうし、割れやすくなる。
それをコップの厚さと、丸みを帯びた正九角形と、
内側の広がり具合と、胴の外側の微妙な膨らみとで解決している。
雑貨屋で見つけてすぐに買った。
これで水を飲むだけで、頬がゆるむ。

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