七政占星術の基礎 その3


 その2までで、基本星図の作成と簡単な見方を紹介しました。次に推命には欠かせない行運法について説明します。


 -このページの目次-
   1.大限法
   2.小限法
   3.月限法
   4.流年星法
   5.その他の運限法
   6.神殺法
   7.例題




1.大限法


 大限法というのは簡単です。四柱推命における大運のようなものですが、七政では男女陰陽にかかわらず同じ方法をとります。
 大限は各宮に年齢を当てはめるもので、各宮の吉凶がその期間の吉凶を示すと考えればいいです。
 命宮は命度によります。命度を3で割った数字を10に足した年齢が命宮の支配する期間となります。
 例えば、命度が12度であれば、3で割った4を10に足し、命宮が示すのは0~14歳の運である、とします。本来は数え年だそうですが、厳密に区分すること自体はあまり意味がないと私は思っています。だいたいその頃までとすればいいでしょう。
 命宮を第一限という呼び方をすることがあります。
 以下は次のとおり。

 命宮 : [命度÷3(四捨五入)+10]歳まで
 第二限 : 相貌宮で10年。
 第三限 : 福徳宮で11年。
 第四限 : 官禄宮で15年。
 第五限 : 遷移宮で8年。
 第六限 : 疾厄宮で7年。
 第七限 : 妻妾宮で11年。
 第八限 : 奴僕宮で4年半。
 第九限 : 男女宮で4年半。
 第十限 : 田宅宮で4年半。
 第十一限: 兄弟宮で5年。
 第十二限: 財帛宮で5年。
 第二限から第十二限までを合計すると、95年半となります。命宮は最高25年ですから、最高で120年となります。

 前の例、命宮が12度の場合、命宮が0~14歳、相貌宮が15~24歳、福徳宮が25~35歳、官禄宮が36~50歳、遷移宮が51~58歳・・・となります。ただ、厳密に境目があるわけではないので、0~14歳、14歳~24歳、24歳~35歳とだぶった方がいいかもしれません。この場合、一周すればだいたい110歳になるという勘定になります。
 こうしてみると、中年期に官禄宮が来て、老年期にさしかかったところで疾厄宮になるということになり、年数の由来はわかりませんが、なかなか理屈にあっているな、と感心するところもあります。

 この年数の取り方は、西洋占星術でいうハウスシステムの取り方と関係があるかもしれません。ただし、宮自体はすべて30度であり、いわゆるイコールハウスシステムであるということは前述のとおりです。




2.小限法


 普通に使われる小限はさらに簡単です。生まれた年を命宮とし、一年を一宮にあてはめるものである。ただし、大限が十二宮位を順行するのに対して、十二宮位を逆行します。すなわち、生まれた年は命宮、1歳を財帛宮、2歳を兄弟宮、3歳を田宅宮・・・とします。(ここでの年齢は満年齢です)
 ということは、12の倍数の年齢が命宮ということになります。0歳、12歳、24歳、36歳・・・が命宮となるわけです。




3.月限法


 月限は小限宮位を生月支の十二支の月として逆に配布します。例えば、4月生まれの人の小限宮位が戌であった場合、戌宮を4月、酉宮を5月、申宮を6月・・・とします。
 なお4月というのは節月のことです。なお人によっては、旧暦の生月とする人もいます。それは小限が一年で一つずれますので、1年で13宮動くのが正しいと考えるわけです。これはなるほど筋が通っているように思えますが、ここでは一応節月としておきます。もっとも実際に推命で行運をみるときに1ヶ月ずれたからといって実害はあまりないでしょうから、私は、節月としても旧暦としても西暦月と考えてもいいと思います。
 この辺の厳密性はとりあえずほっといて先に進みましょう。




4.流年星法


 流年星法とは、そのときどきに七政四餘がどの位置にあるかをみて判断する方法です。これは、七政四餘と十二宮との関係(というか宮に入った星)でみます。しかし、この方法は星の位置を常に星表なり計算なりで求めなければなりませんから、ちょっとやっかいです。そのせいか、伝統的な七政四餘の本にはあまり見られません。むしろ西洋占星術での使われ方を七政四餘に応用した形になっています。
 流年星で使われるのは、木星と土星というのが西洋占星術では定番ですが、詳細については、後述する予定です。




5.その他の運限法


 その他、四柱推命と同じ大運法で求める干支を使うやり方、竹羅三限法とよばれる方法などの運限法がありますが、実際にはあまり使いませんので、ここでは省略します。もしそれが出てくるようなことがあれば、そこで説明することにします。




6.神殺法


 これは各年月の干支等から神殺を出して、それによってその年月の運を占う方法です。これまでの運限法とは意味が違いますが、とりあえずめぐってくる運を見る方法ではあります。
 具体的には、次ページから述べる神殺のところで詳述します。




7.例題


 例は引き続き台湾国民党主席の馬英九氏の星図を使いましょう。


例 1950年7月13日14時40分 東経114度 出生地 香港

[巳]


福徳
張5
翼23
×土16

.
[午]


官禄
鬼5
柳10
星27
.

.
[未]


遷移
井5太陽20
水23


.
[申]


疾厄
畢8
觜23
参24
○金19
月28
[辰]


相貌
軫10
角23
○計都2
火14


.
  [酉]


夫妻
婁3
胃16
昴29
◇月孛20
[卯]


命20
亢4
[テイ]14
.

.
  [戌]


奴僕
壁8
奎20
羅[ゴウ]2
[寅]


財帛
房2
心7
尾15
.

.
[丑]


兄弟
箕1
斗9
紫気3

.
[子]


田宅
牛3
女11
虚23
.

.
[亥]


男女
危3
室23
◎木7

 命宮は卯の20度ですから、3で割って6.7、10を加えて約17となります。よって、命宮(卯)は0~17歳、相貌宮(辰)は17~27歳、福徳宮(巳)は27~38歳、官禄宮(午)は38~53歳、遷移宮(未)は53~61歳、疾厄宮(申)は61~68歳・・・となります。現在は57歳なので遷移宮ということになります。
 例えば、台北市長に当選した年は1998年戊寅年48歳(厳密には47歳)でした。これは命宮にあたります。大限は官禄宮です。残念ながら、これらの宮には星曜がありません。ですから、今までの知識ではちょっと判断ができません。こういう場合には、やはり神殺や星曜がない場合の見方を習得する必要があります。
 では現在(2008年)はどうでしょうか。現在は58歳(正確には57歳)で、福徳宮にあたります。大限は遷移宮です。遷移宮には太陽と水星が同宮しており、これは吉です。福徳宮には土星があり、土星は難星ですから、吉とはいえません。おおざっぱにいえば、現在の状況は基本的に吉だが、こと2008年は必ずしも吉ともいえない、ということになります。細かい象意などは、やはり他の星との関係や神殺が必要で、それについては今後説明していくことにしましょう。


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   作成   2008年 5月19日
   改訂   2017年 3月20日  HTML5対応