七政占星術の基礎 その4


 その3までで、基本星図の概要が終わりました。いよいよ、この基本星図に神殺を加えていきます。この神殺こそが、西洋占星術と七政占星術の大きな違いとなります。
 下の表をみるとわかりますが、七政における神殺は年干支から求められる神殺を重視します。


 −このページの目次−
   1.十干変曜星
   2.年干神殺その1
   3.年干神殺その2
   4.年支神殺その1
   5.年支神殺その2
   6.生年納音十二運
   7.月支神殺
   8.年干命宮神殺
   7.例題




1.十干変曜星

 十干変曜星というのは、年干によって各星曜が天○星と変わるとするものです。考え方は年干を基準にした四柱推命でいう変通星のようなものです。
 十干変曜を求めるにあたり、まず各星曜の干支を配当を知らなければなりません。干支の配当は次のようになります。

星曜太陽太陰木星火星土星金星水星紫気月孛羅ゴウ計都
寅亥卯戌子丑辰酉巳申

 どうしてこういう配当になるかは私はよくわかりません。
 この干の配当をもとに十干変曜星が決まります。
 すぐ気がつくとおもいますが、太陽には十干が配当されていませんので、十干変曜星はつきません。

年 干備考
天禄比肩に同じ
天暗陽干は劫財、陰干は傷官
天福食神に同じ
天耗陽年は傷官、陰年は正財
天蔭偏財に同じ
天貴陽年は正財、陰年は正官
天刑偏官に同じ
天印陽年は正干、陰年は正印
天囚偏印に同じ
天権陽年は正印、陰年は劫財

 各変曜星のおおざっぱな意味と特徴は次のようになります。詳細は後述します。

 天禄:禄貴の星。七強宮(命、官禄、夫妻、田宅、男女、福徳、財帛)にあれば吉。
 天暗:暗澹の星。七強宮に入るのはよくない。日月と同宮を忌む。
 天福:財福の星。福寿をうける。強宮や命身宮に入れば富む。
 天耗:耗財の星。財帛、田宅宮を忌む。
 天蔭:蔭助の星。夫妻宮なら配偶者の援助を受ける。弱宮を忌む。
 天貴:天嗣の星。七強宮にあれば貴子を得る。
 天刑:掌刑の星。兄弟宮および奴僕宮にいれば目下の助力をえる。それ以外はだいたい凶。
 天印:印綬の星。七強宮に入れば祖先の援助をうける。あるいは家業を継ぐ。
 天囚:休囚の星。命宮や疾病宮に入れば病気や障害に苦しむ。他の神殺に悪影響を与える。
 天権:権貴の星。主には権威。命宮や身宮にあって太陽にあえば福禄を得る。




2.年干神殺 その1

 年干をもとに星曜につく神殺を表にします。

年 干意味、備考
禄元財禄
仁元
科名
科名に同じ。
官爵、名声、長寿
文星文章、秀気
魁星文武、官職
官星官職、政事、輔弼
印星印章、権威
催官遷官、昇進、転職
禄神
俸禄
喜神婚姻、慶事
天嗣子孫、子息
追魂

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3.年干神殺 その2

 年干をもとに、十二宮位につく神殺を表にします。

年 干意味、備考
禄勲地位、財禄
天乙昼貴人、異説あり
福禄、貴人
玉堂夜貴人、異説あり
福禄、貴人
文昌聡明、文学
天厨食禄
唐符
飛刃
顕爵、分離
国印顕爵、権力
陽刃
陰刃
紫暗星とも
分離、凶刃
流霞出奔
紅艶淫欲
天蠱小児の疾病、疱疹




4.年支神殺 その1

 年支をもとに星曜につく神殺を表にまとめます。

年 支意味、備考
爵星進爵、受禄
赦文化悪為善
産星生産、産厄
血支血光の災い
血忌疾病、血毒
馬元行動
天馬行動、進退
地駅行動、進退




5.年支神殺 その2

 年支をもとに十二宮位につく神殺を表にします。
 ただし、この中には相互に矛盾した神殺があり、全部を採用はできないのは明らかですが、まずはそういうことを考えずに挙げてみます。

年 支意味、備考
歳駕
太歳
剣鋒
伏屍
不測の災い
天雄
飛廉
白虎
大殺
官事、破財
地雌
喪門
破財、喪服
太陽
晦気
天空
阻害、命限、刑罰、太陽は男に吉
太陰
勾絞
貫索
卒暴
官災、刑罰、凶悪、太陰は女に吉
飛符
官符
五鬼
三台
官災、横事、三台は科甲の喜
死符
小耗
月徳
訴訟、災病、散財、月徳は貴
歳破
大耗
闌干
月空
官事破財、不成功、傷残、自縊
暴敗
天厄
紫微
龍徳
破財、訴訟、災病、化吉
福星
巻舌
福徳
天徳
披麻
福禄吉利、官非横事
天狗
弔客
血光、刑剋、葬式、家宅不安
病符
陌越
命限、訴訟、災病
的殺
破砕
破財、官非、破耗
咸池
桃花
淫欲、浪漫
血刃
浮沈
天解
解神
血光、疾厄、命限
天解解神は凶を解く
孤辰男に凶
寡宿女に凶、寡婦
三刑官災、災禍
六害官災、災禍
劫殺盗賊、失脱
亡神
天官符
盗賊、失脱
華蓋孤独、文章、才芸
将星禄重権高、文武
災殺
囚獄
官非、喪事、破財、刑獄
天殺官非、喪孝、口舌
地殺官非、喪孝、口舌
年殺非災、横事
月殺非災、横事
天哭喪服、家宅不寧
天喜喜事
板鞍
陰殺
変動、遷移、小破財
駅馬変動、遷移
黄旙病気、破財
豹尾病気、破財
紅鸞喜びあり
地解化吉
披頭化吉
指背嫉妬、無功、離反、不睦
八座試験、名声
呑陥六親妨害、不睦、難成
玉堂
歳合
福禄、近貴人




6.生年納音十二運

 七政占星術においては、四柱推命などとは違い、生年干支の納音五行を求めて十二運を出すのが普通です。干支の納音については、「四柱推命事典」を参照してください。
 納音十二運は次のとおりです。なお土行は水行に寄せます。

生年納音長生沐浴冠帯建禄帝旺 衰 病 死 墓 絶 胎 養
木行
火行
土行
金行
水行




7.月支神殺

 月支をもとに星曜、十二宮位につく神殺を表にまとめます。なお、月支は正月寅からの表となります。

月 支意味、備考
令星.
氷消瓦解先祖を破る
天耗破耗
地耗破耗
月官符官災、口舌
月飛廉不吉、官災、口舌、破財
血刃血光の災
血支血光の災
注受化吉
値難災禍
月殺誤殺人




8.年干命宮神殺

 年干および命宮で決まる神殺を表にまとめます。これはもっぱら行運に用います。

名 称年\命宮意味、備考
天経甲、己身命なら貴
乙、庚
丙、辛
丁、壬
戊、癸
地緯全ての干天経に同じ
天元甲、己順ならば吉、逆留陥を忌む。
乙、庚
丙、辛
丁、壬
戊、癸
地元廟旺に吉、文僚より武権
人元甲、己旺ならば福寿
乙、庚
丙、辛
丁、壬
戊、癸
天馬甲、己変動、移動
乙、庚
丙、辛
丁、壬
戊、癸
地駅全ての干天馬に同じ
職元官職、才能
局主増吉、貴人に吉
 


 以上で神殺の表は終わりです。
 実は、書によって神殺の名称は同じでも配布が異なっている場合があり(例えば天馬、地駅)、そこはあまり考えずにそのまま挙げています。また、途中でも述べてますが、同じ位置でも異名があったり、また相互に矛盾する神殺があったりで、実は表を作りながら、もっと的を絞るべきだったかとちょっと反省しています。今さら削除するのも何ですのでそのままにしていますが、おいおい効力というか優先順位というか、そういうものをつけていきたいと思います。
 次にその5では、これまで書いてきたことをもとに星図を作成します。


   作成  2008年5月19日


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