検証してきた街並みのつくられ方を整理して、自由が丘を位置づけてみるとどうなるだろうか。
1)まちを便宜的に、街並みの成り立ちで分類する。
A.新しいまち:新しく(旧くも戦後)開発若しくは全面再開発されたまち。
新宿副都心、多摩ニュータウン、天王洲アイル、六本木ヒルズ・・・
B.古いまち:江戸時代城下町・明治初期の都市計画等で形成されたまちで、種々の整備や高層化はあっても伝統的建造物等を含んでいるもの。
東京下町、旧山の手、門前町・街道等の一部。
C.普通のまち:多くは昭和初期の耕地整理、戦後の土地改良事業で最低の区画道路は形成されていても、守るべき伝統も、新しいまちの特徴ももたず、街並みとしては都市計画の量的規制のみで成り立っているまち。すなわち、イメージのはっきりしないまち。自由が丘が良いイメージのまちと呼ばれても商店街に人が来なくなれば退行した普通のまちになる可能性が強い。
2) 普通のまちの景観に関する希求、アイディア、実績。
上記のC.にあたる意味での普通のまちの景観形成にたいする希求は大きい。最近はまちづくり条例、景観条例では対応できないことから景観法に基づく景観地区、景観計画等の効力に期待する自治体や専門家が多い。但し、そのアイディアに至っては、あまり多くなく、興味深いものはあるが断片的であったり実現性の乏しい所謂アーバンデザインである。更に実績ということになると、新しいまち、古いまちを除き、実例は乏しい。
3) 普通のまちの景観形成方法。
C1.商店街の意思がない場合:左の下駄履き店舗の工夫など意識的、集合的にで
きれば前進するだろうが、難しい。
C2.3.商店街事業や1企業が事業として景観をつくる特殊解。強烈なテーマが必要。大阪アメリカ村はもう少し自然発生的だがこの極めつけ。こんなことしか方法はないのか。
C4.インフラ(緑道、架空線埋設、舗装等)で啓発し10年かけて大分感じが出てきた例。前2者のテーマパークと違う手法。自由が丘では多様な手法でブロック毎の特性を生かした街並み形成が期待されている。
自由が丘:左はC4:南口マリークレール緑道、右はC3:ベニス風小テーマパーク商店街
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A.幕張新都心:街区毎のデザイナーを替えて変化をつくる工夫

B.神楽坂:新旧混在しても街並みに表情がある

C1.多摩川矢口:多少は工夫しても普通のまちの商店街

C2.大倉山:魚屋も米屋もギリシャ風:電線も埋設。これは大変。
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