街並みサーベイ・メモ15  歴史の街並み/美濃
 美濃市は岐阜市から長良川上流20kmにあり、中心市街地は1999年に重要伝統建築物地区指定された江戸初期からのまちである。7年間でかなり実績をあげているが、単に歴史的な街の景観づくりだけでない問題を提起している。----@ 以下2006.6.11
 長良川から高みにあり消火防水不足のため、ウダツが発達した。歴史的街並みは地方一律でなく街毎に違うという学習をする。---A それにしても改築か修復で木目も新しい伝統民家が増えている。---B  箱型のスーパーマーケットが取り壊され始めている。瞬間、「街ぐるみのやせ我慢」とも思えたが、よく考えるとむしろ補助支援もあるにせよ、まちの「決意と頑張り」に見えてくる。また、コンクリートの建物を白と黒の外装にして庇を設け、家並みに調和させている例もある。美濃紙という特産、土産だけの集積地でなく、全国チェーンでない地元の製品を置き、売ろうという意識が見える。---C この酒店は"端麗な"にごり酒だけでなく、料理や美術の地域活動拠点にもなっており、景観だけでなく地元活力復活の努力が垣間見え、川越の例を想い起す。修復型の町屋に現代的な商品を置き、内装を施しているのは、便利なロードサイドへ客が流出しないよう気張っている。看板と1階店の内容はまったく違う。---D
● 論点:歴史的な街並みの問題は、普通の街の問題にも繋がる。江戸時代から続く家並みの建替えは、明治初期と大正末期・昭和初期の二度に波があるように見える。或る所では文明開化で洋風建築と混交しながら、しかし伝統の技術を生かしたわが国特有のセンスで家並みが更新されている。社会の変化と経済の上昇がきっかけでもある。しかし戦後、街の開発又は更新で、しっかりとした家並みはつくられているだろうか。お金がかかりすぎるからだろうか。家並みの景観は「集団的な美意識の共有」であり、普通の街ではこれを何かのきっかけで新しく発見しなければならない。創意、発見は歴史的街並みにもあるという意味で、学ぶのである。  
    

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