街並サーベイ・メモ6 所変われば  パサディナ事情  2006.1.15

  わが国の都市景観を語るとき、外国の例で埋め尽くすやり方もあれば、外国は事情が違うので比べられないという説もある。"外国の違う事情を考えながら"比較し論じてみよう。
欧米でも地方では都市は独立したまとまりであるが、近年の大都市周辺は連担して広がっている。東京に似た構造。ダウンタウンから10〜20km離れたエッジシティ(郊外中心地区)といいロサンジェルスではサンタモニカ、マリナデルレイ、ビバリーヒルズ、パサディナ等が知られている。東京で言えば自由が丘、下北沢あたりなのか、多摩NT、八王子なのかと言うところ。
 今世紀初頭起源の街であり、市役所や大学もあるがオールドタウン(中心部)は自由が丘に似ていなくもない。戦後スラム化もあったが修復、再開発を併用し、ロサンジェルスで一番安全な町といわれるまでになった。

● 建物の新旧・大小が混在してもバランスが取れている町はある。
しかし写真で見るように、この様にするには都市計画だけでなく、景観ルールによって個人の権利を牽制するシステムがあるに違いない。ダウンタウンの退廃的な非衛生さがないだけでなく、わが国の街のような自己中心の家のつくり、店先利用もない。ビバリーヒルズのように金持ちだけの排他的な美しさとも違う。
●  メトロでダウンタウンから高架・開渠で北に20km来ると、この街近くで地下に潜る。街の再興に伴なって地下化したに相違ない。でかい目抜き通りは、昔(車の時代)からあったのだろうから議論外としても、商店街を分断しているという悲痛な臭いはしない。(更に大きな歩道にすればとは思うが、通過交通も無茶苦茶ではなさそうだ。)  
●  再開発地区はオールドタウンから少し離れてフルモールスタイル。
雨が少ないのでオープンテラスに出来るのだけれど、東京だって、地下街やアーケードより気持ちが良い。札幌はどうか。厳冬のボストンやシカゴでもインナーモールより伝統的なストリートの方が人気があると聞いている。日本流には雨のときのテントなどを考えればよい。
●  自己主張の塊のような目立つ建物も見当たらないが、古い様式を勝手に真似た建物もない。何よりも隅々まで気が入っている。放置自転車、店外陳列なし。建物の裏手も整然。こんなことは出来るのであろうか。
● あちらで出来てここで出来ないことはないと考えよう。ロサンジェルスの町には汚いの沢山。東京然り。自由が丘はどっちなんだ。
これをアメリカ流コミュニティ論(サスティナブル・コミュニティ/永続的地域都市論)で語っても、それこそ社会事情が違うということで悲観論に陥る。
スペース密度も違うし、開発に対する考えも違う。第一このような類の街をつくるべきかも定かでない。
要はどういう街にするのだという「意志」の感じられることをすればよいのである.

前ページへ レポートTOPページヘ 次ページへ