街並みサーベイ・メモ19 街並と広告看板その4
  ● 無電柱化か電柱美化か 2006.11
      
無電柱化率:欧米各都市100%、東京7%・・・この数字の理由は色々あり(100v供給、建替頻度、都市構造・・・)。なぜ出来ないかの議論は沢山あり、必要だという論も劣らずに多い。
これを議論するより、どうすればできるのかの検討が欲しい。
 地下埋設システムも多様であり、地域事情もあり、コストは公表されていない。@共同溝(CABもその一つ)やC.C.BOX(複数配線直埋設+ボックス)は幹線道路用で高価。A単独配管方式でも自由が丘あたりの建物密度、高圧受電率でb当り50〜100万円と聞いている。この他、無電柱化と電柱美化の中間でB各戸引込線のみの埋設(送電線は高架でもかなりすっきりする)やC裏配線(宅地裏側に電柱を建てる。住宅地向き)もある。D軒先配線(中国、韓国の大都市では良く見かける)は、建物壁面の揃っていないわが国の街並みでは難しい。
 都市景観の論者はその必要性を繰り返すが、現実の無電柱化は制度と行政の参画なしには実現しない。普通の商店街で、無電柱化の可能性を追ってみると、まず国土交通省の「無電柱推進計画」によって概略が理解できる。ここでは「まちの顔となる道路の無電柱化を48%〜58%にする」といっているが、市町村道では4車線以上としているので、この制度で自由が丘あたりの無歩道道路では遠い夢になる。
 例えば区の独自の援助があるとして、電力会社に電柱広告料を主たる資金源として供出してもらうとした場合、100mの細い道を5000万から1億円の費用(上記Aの工法)に対し、10本/(100m道路両側)に年間60万円の広告料では100年かかる。電力会社の負担が30%として他を行政や電話・有線等が分担しても30年という計算である。既に「ブロードバンドの普及に地中化がブレーキをかける」という論議もあり、電力会社が主力であるとすれば、資金源にもならない電柱広告は止めてもらい、Bの引込線埋設と電柱のスリム化、街のイメージカラーによる美化などに精を出してもらうのが得策か。> 無電柱化特定地区の電柱広告料をあげ、5年先に実現する一部資金にする(地元還元という原理)。或は電柱、標識柱、商店街灯を一体にした美しいランドスケープポール(複合柱)とでもいったものにする。
細かい話になってしまったが、関係諸機関や識者、地元も諦めず実現可能な案を推進してもらいための提案である。
    

制度的な無電柱化は大きな道路優先。細い道路こそ必要なのに・。@工法

C.C.BOX方式のコストダウン・・・・@工法

電柱はあるが少しすっきり・・・B引込埋設工法。今からでもできる。

複合柱の例。京都平等院。関西電力グループHPより転載
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