東京の自由が丘をベースに活動している建築家の石川忠氏は地元のマリクレールという400mほどの道に100台以上のベンチを設置することに尽力した。石川氏によるとこの道の中央部は昔小さな川であった。その川は埋め立てられたのだが違法駐輪場と化してしまったがそれは決して良い風景ではなかった。
この事態を改善すべく、町会の人々は自分たちの手でベンチを組立て、行政の許可もなく職人の手も借りずその通りに配置した。驚くべきことにベンチを配置すると人々は自転車をこの通りに置かなくなった。
最後には、区役所はベンチ設置の効果を認めその後は追加のベンチを提供するようになった。
マリクレール通り(緑道)は今では自由が丘の商業の軸を北口エリアから南口エリアへシフトさせる要因となったほど人気のスポットになっている。この石川氏の語る成功例の裏にはある秘密がある。ベンチが置かれた通りはかっては川であったため、それ故その道の法律上の種分けはいわゆる道路ではなく(公園――訳者注)、整備にあたり警察にも確認する必要が無く、整備には非常な自由度があったことである。
-------中略----
この国では、歩道などの公共空間にくつろぎのベンチを設置を実現するには行政の壁に闘いを挑まなくてはならない、と東京大学の内藤氏が述べた事はこのことをよく示している。石川氏紹介の自由が丘事例が示す成功への課程はそのよき教材である。 ----以上
自由が丘街づくり小史(2011.1石川)より「自由が丘緑道の変遷
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