オリジナルカロリー

 動物性の栄養は植物をエサにして作られます。つまり、動物性の蛋
白や脂肪は炭水化物に換算することができるという考え方です。
これをエネルギー転換計算というそうです。
  この考え方には問題点もあります。すべての動物が同じエサを食
  べているわけでないということです。牧草、食用飼料用に育てた穀
  類、最近の日本であれば期限切れのコンビニのお弁当などもあり
  ます。牧草地に豆を植えてそれをエサにしていたら・・・
  こういった考えから他国との比較には向かないという説もあります。
  その国ごとのエサの内容の分類、牧草地の効率比較など、補正す
  る手段があるような気がしますが、まあ私はそういった研究者では
  ないので、ヒマがあったら調べてみます。

 家畜のエネルギー転換率は15%(約7倍)といわれています。これは
体重の7倍のエサを食べれば食用になるほどに成長するということです。
牛肉については10倍、過激な意見の人では20倍ともいう人もいます。
これを先ほどの2200kcal/日に当てはめると、下のようになります。
  7倍に相当する家畜だけ食べていれば15400kcal
  牛肉を20倍と設定して、それだけを食べると、44000kcal
人間が炭水化物を食べるだけなら550gですむものが、
 穀物換算7倍に相当する家畜だけ食べていれば3850g
 牛肉を20倍として、それだけ食べると、11000gの炭水化物((1日に
 11kgも食えないよ!)を食べているのと同じことと計算されます。

これは計算上の遊びですから実例を見てみましょう。

各国のオリジナルカロリー

カロリー計
(kcal)
うち植物 うち動物 動物によるもの
を7倍で換算
換算によるカロリー
日本 2921 2305 616 4312 6617
中国 2641 2356 286 2002 4358
インド 2229 2075 154 1078 3153
韓国 2826 2452 374 2401 4853
フィリピン 2341 2081 260 1820 3901
カナダ 3242 2200 1042 7294 9494
メキシコ 3062 2506 556 3892 6398
アメリカ 3642 2535 1107 7749 10284
アルゼンチン 3068 2115 953 6671 8786
ブラジル 2730 2301 429 3003 5304
オーストリア 3486 2246 1240 8680 10926
チェコスロバキア 3574 2396 1177 8239 10635
フランス 3593 2207 1385 9695 11902
旧西ドイツ 3472 2221 1251 8757 10978
イタリア 3498 2600 898 6286 8886
ポーランド 3426 2254 1173 8211 10465
スペイン 3472 2354 1118 7826 10180
スウェーデン 2978 1883 1095 7665 9548
イギリス 3270 2162 1108 7756 9918
エジプト 3310 3052 257 1799 4851
オーストラリア 3302 2078 1224 8568 10646
旧ソ連 3380 2430 949 6643 9073

食糧供給量(1991FAO生産統計年鑑)
1人が1日に入手したカロリー、ペットのエサや調理による損失も含まれます

 上の表は1人が入手したカロリーということで、先ほどの摂取カロリー
よりすこし多めになっています。
上の表からわかるように、栄養状態の悪い国と先進国との摂取カロリ
ーの差があるといっても、1.6倍ほどです。(インドとアメリカの比です。
もちろん援助をうけている、もっと悲惨な国もありますがそれは除く)
この資料についてのオリジナルカロリー換算が無かったので、動物性食
物からのカロリー換算を7倍で計算してみました。
これをオリジナルカロリーにしてみると、栄養状態の悪い国と先進国との
摂取カロリーの差が3.3倍に増えてします。
この差がが美味しいお肉を食べているということでしょう。

 先進国だけでみると、日本、イタリアの換算カロリーが低くなっています。
日本ついては体型によるものなのか、もともとの総カロリー摂取も大幅に
低くなっています。
また換算したカロリーで見ると、これはむしろ先進国グループに入っていな
いもといえます。
これについては米や魚を多く食べる食生活によるものかと考えられます。
同じようにイタリアにもそういった傾向があって、米やパスタなど、国民的
な主食がある国は肉偏重になりずらいのかもしれません。

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