無限回廊の街(二)
  
【43】

腰にペンキを入れた革袋をさげ、

馬のしっぽの毛をすいたハケを持ち、

空に長いハシゴをかけてのぼっていく。

ペンキ屋は夜までに空を黒くぬる。

はるか下に連なる屋根の上で、

猫があくびをする。

(本文より)