Pt19

インターネットリアルタイム旅行記ユーラシア編98〜99その2(通算パート19)
フランス編その2

居候放浪記


ダイアナ元妃の事故現場前らしい

藤堂パリへ行く
ぼくは98年11月30日TGVに乗りフランスの首都パリに乗り込んだ。まず一番安いユースホステル81FFに荷物を置き、初日は散歩。日本の書籍だけの書店ジュンク堂発見。日本の情報にキャッチアップ。というかここにいると自分が旅行中という事実を忘れてしまう。この空間は日本そのものだ。地下鉄代をケチってバスティーユの東の宿から凱旋門まで歩く。日本食の店も多くラーメンを食ってみるが大阪屋まずい。

12月1日はまた市内をぶらぶらする。凱旋門の西に大丸を発見。でも10日で閉店とかでセールをしていた。翌日お世話になったリヨンのミケーレとエクスのぺレン兄妹に焙じ茶と羊羹を買う。1日もユース泊だが同部屋のフランスの高校生は常識がなく、少々険悪になる。要約すると「フランスの高校生はこういう時酒やハッシシをやって遅くまで騒ぐものだ。10時以降は音を立てないのがユースの規則でもフランスの高校生の実態はそんなものではないので大人しくしろと言われても困る。」というような身勝手この上ないことを言う。案の定寝てる私の横でハッシシをやりだして音を立てるので頭に来たので日本語で怒鳴ったら大人しくなり、11時には寝始めた。やれば出来るじゃねえか。だったらなにももめるこたあねえんだ。ガキはこれだから嫌いだ。

パリはとにかく天気が悪い。リヨンもそうだが滞在中一日も晴れず雪まで降った。当然かなり寒い!

2日は日本大使館に行くが対応冷たい。ルーブルにも行った。夕方からは料金が安いので大丸で買い物の後行った。バスティーユからリボリ通りをすこし横に安くて美味しい中華のテイクアウトの店があった。この店はおすすめ。昼は年貢の納め時、マックばかりになったのでここはうれしい。3日はベルサイユとオルセー美術館に行く。ルーブルは古今東西美術大全という内容、絵画はルネッサンスの少し後までがメインなのに対しオルセーは印象派がメイン。この日はミレーとゴッホ展(2人の競作をフューチャー)をやっており、通常の展示もモネ、マネ、ドガ、ゴッホ、ルノアールの名作が多くあり、いままでで一番見ごたえのある美術館だった。ぼくの好きな画家を3人あげるとマティス、ダリ、カンディンスキーだが5人あげるとマグリット、モネという風に抽象画や空想画以外では印象派もかなり好きだ。ルネッサンスまではどうも苦手なのだ(といいながら美術史上最大の名作はミケランジェロのシスティナ礼拝堂の天井画だと思っているが)。これを言うと必ず反論にあうが、15、6世紀までの絵より今世紀の絵のほうが、方法論の蓄積がある分優れていると思うのだ。これには「美術の本質はイマジネーションにあるのであり方法論ではない」、といつも言われるがルネッサンス期の画家でいくら優れた発想をしてもいざ筆をとった段階で師匠の作風の殻を打ち破るような試みをしたとは絵を見る限り想像できないのである。

3日夜夜行列車がないらしく、しかたなく急遽TGVでリヨンへ。遅く着いたのでミケーレ宅に行かず、またユースへ。よく4日ミケーレ宅へ。ミケーレ宅は5日彼の友人が4人も来ると言うので早々に引上げ5日エクサンプロバンスへ戻る。この日エリナに紹介してもらった、彼女のかつての同居人で現プロバンス大学の留学生大石昭典さんと会うことのになってたのだが、ティエリーがいないらしので彼のスタジオに鍵を借りて寝泊まりする予定がサンディさん鍵を預かるのを忘れたと言う。しかたなくこのまま大石さん宅に3泊させてもらった。どうもありがとうございました。そんなわけでフランス滞在中居候がなんと11日。でもまだ終らない。ミケーレの実家イタリア・パドヴァにも泊まれと言われているのだ。

12月7日大石さんの大学の学食に連れてってもらって安く飯を食い、切符の手配をしたあと(パドヴァまでは337フラン。思ったより安い)漸くティエリー、サンディさんと連絡が取れて出発前夜大石さんと4人で飯を食うことに。エクスのエジプト人経営のレストランへ行く。ここも安くて美味しい。無事羊羹と焙じ茶を渡せた。あーよかった。そりゃ日本に帰ってお礼状を書いたっていいかもしれない。彼らが日本に来たとき恩返ししたっていいかもしれない。でも出来る範囲なら出来るだけ早めに感謝の気持ちは示したほうがいいと思ったのだ。
旅行中嬉しいことは「日本人旅行者はマナーがいい」とたまに言われることだ。フランスW杯の応援ではないが、ごみを投げ捨てたり、遅くまでさわいだりというのがないらしい。礼を尽くした振る舞いや、してもらうだけでなく早めに感謝の気持ちを示したりすれば彼らも気持ちいい。無理はする必要はないし、また向こうの考え方にあわないんじゃないかと萎縮する必要もない。言葉や文化は違っても人間はみな同じ。誠意ある対応をすれば心は必ず通じる。日本でするようなことをすればいい。そうすれば僕の後の日本人旅行者も彼らに素晴らしい時間を僕同様に提供してもらえるのだ。逆に僕が非礼を働けば彼らは日本人旅行者を泊めようとはしなくなるだろう。


ティエリー、サンディさん、大石さん、ぼく

ずいぶんお金もセーブできたけど結局大きいのは交通費の高さ。ケチろうと思っても、宿代はそうメチャクチャアフリカと違うわけじゃない。つまりお金じゃないのだ。地元の生活に入り込み、深く異文化に触れ、旅行ガイドにないその国を吸収し、そして僕の後の旅行者にも同じ感動をしてもらうことが大事なのだ。

そうして僕の予想外に長いフランス滞在が終ろうとしている。人生とは出会いと感謝の繰り返しだ。そして旅は人生だ。

 

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