Pt31

インターネットリアルタイム旅行記再開ユーラシア編その3(通算31

世界最強の遺跡アンコールとカンボジアの青い空

アンコールトム・バイヨン

9942日アランヤプラテートの国境を越えてカンボジアへ。最後の観光。国境を越えるなりアフリカの再現のように地平線が広がる。実に良い。夜8時前にシェムリアップ着。タケオゲストハウスにチェックイン。なんちゅう雰囲気のええ宿だろう。アットホームで和気藹々としている。バンコクが大都会過ぎて落ち着かなかったので出来るなら一週間くらい居たかった。部屋が満室なので僕は1US$で廊下に簡易ベッドのドミで寝た。

カンボジアは女子供が可愛い。とにかく可愛い。タイとは大違い。国境からシンホンという街でピックアップトラック乗り換えるのだがそこで群がる売子のガキ(みんな女の子)とにかく可愛い。しつこいが可愛いので嫌味がないほど。タケオのガキどもも、完璧に「上を向いて歩こう」や「サザエさん」が歌えるラッチャナはじめ茶目っ気たっぷりで顔も整ってる。まるで天使のようだがいったんいたずらが始まると悪魔の本性を出す…でもこの子達も10年経ったら変わってるんだろうな。ラッチャナなんかもう日本語全然話さなくなってて凄い恥ずかしがり屋になってたりして。少なくとも上半身裸で駆けずりまわってはいまい。タケオはミルクシェイクもめちゃ美味い。僕はとくにグレープが好きだ。街ものんびりしてていいとこだ。バンコクも嫌いじゃないが、僕が本来好きなのはこういった落ち着きだ。


タケオの子供たち

そしてアンコールへ。バイタク(バイクタクシー)を6$で雇い、3日から早速出かけた。アンコールトムから見たけど実にバイヨンは凄い。アンコールワットのレリーフも見事。多くのバックパッカーが「世界最強の遺跡」と絶賛するのも肯ける。

でもカンボジアの魅力は遺跡自体より寧ろその雰囲気だ。大都会タイと違いのんびりした眺めが残っている。僕がアフリカを好きなのは何といってもその車窓の眺めにある。スーダンの抜けるような青空。マダガスカルのかっこいい雲、エチオピアの鮮やかな緑、マラウィのドでかいグレートリフトバレー、ナミビアの雄大な荒野。それには負けるがタイにはどれもなかったものだ。アフリカで今回スーダンとエチオピアに行かずトルコ、イランといってたら、アフリカの旅は片手落ちになってたんじゃないかって凄く思う。それと同じでカンボジアに来ずにタイだけに居たらインドシナの魅力はまったく理解できないままだったと思う。ひいてはアジアの魅力自体何一つ理解できなかったかもしれん。カンボジアに来て、もし機会があれば中国、ベトナム、ラオス、カンボジア、タイとまわってみたくなった。ああ、そんなこといったらこの旅の最大の宿題は次回ガボン、ザイール、カメルーン、ナイジェリア、ニジェール(アルリット行きたいぜ)、サントメに行く事じゃないか。アジアだって、インドシナにチベット、ネパール、インド、パキも絡めたい、そこまで行ったらウズベクにも行きたい。イラン、トルコ経由してハンガリー行ってポルトガルまで行きたいわな。そっからサハラ越えしてセネガル行ってギニア湾経由してナイジェリアからさっき言った中部アフリカ行きたいよ。ああもう、旅はドラッグのようなもの。習慣性が強い上より長い旅を求めるようになる。だが僕はこの旅プロの旅人へのプロローグとはするつもりは毛頭ない。男には旅立つ時がある。その時が来たから旅に出ただけで生涯旅行ばっかりする人間にはならないつもりだ。でもその生き方もすばらしいのだろうが。だって僕はたった8ヶ月でこれほどの感動を味わっているのだし。

そんな長い旅の最後にふさわしい素晴らしいカンボジア。人の表情にもやっと訪れた平和の瞬間を心から祝い、今の幸せに100%満足してるのを感じとれる。長かった戦乱。大虐殺や難民問題を越え、いま生命の危険もなく貧しくても家族と暮らしていける幸せに感謝して生きているかのようだ。年端の行かない子供たちも良く働く。しかもなんの不満もなく。

それに比べておなじアジアの日本はどうだ。物が溢れ、金に困る事もなく、一家全員何不自由なく抜群に治安のいい平和な国で暮らしていながらも、より多くの金を求め、より高い地位や名誉のためにあくせくし、今の幸せに満足できず愚痴ばかりこぼす人のなんと多い事よ。子供も貪るように快楽を金で買っている。この豊かな国で、働かなくても小遣いを充分与えられていながら、黄色い髪の少女たちは遊ぶ金欲しさにオヤジに身を任せ、オヤジはさしたる良心の呵責もなく、束の間の快楽のため、金で娘ほどの年齢の少女を買う。このアジアの貧しい国ではろくに仕事がなく男の子は生きていくためバイタクになり、女の子は売女になるというのに(韻ふんでるね)。「誰もが満たされない心を持っている。金を貯め自分の役を演じても誰もが満たされない心を持っている」と歌ったのはブルース・スプリングスティーンだけど幸せって、豊かさって一体どんな事なのだろうと考えさせられてしまう。もちろんその答えは僕の中にはないが、そんな日本人に欠けているもんは何だろうか?おそらくキーワードのひとつは「愛」のような気がする。

4月5日後ろ髪を引かれる思いでシェムリアップを出発し、タイ国境のポイぺトまでトラックで5$、タイ側のアランヤプラテートからバスで112バーツ、朝6時半に出て夜8時半空気の悪いバンコクはカオサンに到着した。これですべての観光が終った事になる。

帰国が迫る。

Back

Next

Home