雨の栗山 カラー版(その3) -1972年7月16日-


さて白老は前回でひとまず完了しましたが、今回から前回の流れで1972年7月に行った初めての北海道撮影旅行で室蘭本線で翌日撮影したカラーポジのカットをお届けします。翌7月16日は栗山-栗丘間での撮影。この日撮影したカットは、モノクロのメイン・サブとも全列車をここで公開していますが、蝦夷梅雨も本格化して朝からしとしと、午後には本格的になり時折激しい雨が降ってきました。栗山-栗丘間は都合二回訪ねたのですが、どちらも蝦夷梅雨の時期で、大雨に祟られてしましました。まあ、この区間のミニサミットは北海道らしからぬ風景が展開していますから、雨の景色も東北地方とかを思わせてそれはそれで味わいがあるのかもしれません。しかし、晴れた日に行ったことがないのでぼくとしては比較のしようがないのも確かですが。



といいつつも、最初の2カットは栗山-栗丘間ではありません。1972年7月15日に白老で撮影したカットの残りが発見されてしまいましたので、前回の続きからスタートします。まずはギースル・エジェクタを装備した追分機関区のD51842号機が牽引する下りの貨物列車。この日は晴れていたので、ポジの色味もまあまあ残っています。この列車は<「まっすぐな道」を訪ねて(その3) -1972年7月15日->の中で35mmのメインカメラで押えたカットを公開しています。そちらはかなり手前まで引き寄せてシャッターを切っていますので、まずカラーで周囲の景色を入れたカットを押えてから、35mmでアップのカットを撮ったものと思われます。


続いては、岩見沢第一機関区のC57149号機が牽引する上り旅客列車。モノクロではこの間に下りの油槽貨物列車を撮影していますが、これはカラーでは撮影していません。C57149号機は、鉄博に保存されているC57135号機の僚機として昭和20年代以来活躍を共にしてきたカマですが、1974年5月に廃車になったあと135号機とテンダを振り替えの元になったと思われます。かなり遠い位置でシャッターを切っていますが、これは模型のレイアウトの山のような背景を大きく写したかったためと思われます。この列車を35mmのメインカメラで押えたカットは<「まっすぐな道」を訪ねて(その3) -1972年7月15日->の中で公開しています。


ここからが正真正銘、7月16日に栗山-栗丘間で撮影したカットになります。カラーの最初のカットは、鷲別機関区のD511098号機の牽引する下り貨物列車。この列車を35mmのメインカメラで押えたカットは<雨の栗山(その1) -1972年7月16日->の中で公開しています。望遠撮影がないところを見ると、これはブローニーも35mmも手持ちで、まずかがんだ位置でカラーポジを撮影し、そこから立ち上がってちょっと引き付けてモノクロを撮影した流れです。モノクロだとナンバーが読みにくいのですが、カラーだと何とか読めますね。しかし、全体の汚れ具合・錆び具合についてはカラーの方が一段と強調されています。鷲別のカマは、本当に汚いですね。


今度は上りの貨物列車です。牽引するのは滝川機関区のD51561号機。この列車を35mmのメインカメラで押えたカットも<雨の栗山(その1) -1972年7月16日->の中で公開しています。モノクロは引きと寄りと2カット公開していますが、良く見るとブローニーと35mmのメインをどちらも首から下げた上で手持ちし、まずモノクロのワンカット目を撮ってからブローニーに持ち替えてカラーポジを撮り、まだ余裕があったので、さらに持ち替えてモノクロの寄りを撮るというシーケンスです。当時の北海道の貨物列車が、幹線といえどもいかにスピードが遅かったのかよくわかる展開です。ブローニーの75mmと35mmの55mmの画角の違い(多少のトリミングはしてありますが)が見てとれますね。




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