古法推命では、日柱と年柱を重視しますが、とくに日柱を自分とみます。これは普通の四柱推命でいう「日干を我と為す」と似ていますが、普通の四柱推命が日支をもっぱら配偶者とみるのに対して、古法推命では日柱全体を自分とします。ただし、日干で本人の特質をみる見方はありますので、そういう意味では日干を自分とする考え方がないというわけではありません。また古法でも変通星や十二運は使いますから、日干が自分という発想があるといえるでしょう。
ここで日干の見方について述べると、日干の持つ象意を本人の基本的な特質とするものです。この見方は今でも使われますので、これ以上は述べません。「十干の象意」を参照して、その人の特質を推測してください。
さて、日柱について。日柱をどう考えるかといえば、日柱を一体としてみる考え方と日干と日支に分ける考え方と二通りあります。
日柱を一体としてみる代表的な方法は納音です。この納音については、『淵海子平』や『三命通会』など、名著と言われる古典でも詳説しているにもかかわらず近代以降の四柱推命ではほとんど使われていません。
その他、特殊日という考え方があります。これは択日(選日)とか通書とかによく出ています。例えば八専とか魁[ゴウ]とか。
また日柱自体ではないのですが、日柱から派生するものとして空亡があります。いわゆる天中殺です。逆に言えば、日柱がどの六旬に属しているかということです。細木数子の六星占術みたいな方法です。
日干と日支の関係で使われるのは主として十二運です。十二運も日干から出す十二運と納音から出す十二運があります。その他、日干や日支から求める神殺で日柱を判断する方法があります。
日柱だけを取り出して推命する方法を、潘文欽師は「一柱論命」と称していますが、何も潘師の特許ではなく(本人も別に自分が発明したと言っているわけではありません)、日柱で推命する方法は古くは『李虚中命書』から、日本の『新推命学』までさまざまな書にあります。『李虚中命書』については、そのうち翻訳することにします。
これから、日柱について具体的に見てみることにしましょう。
十二運の象意については、「四柱推命事典」や「“hiroto的”四柱推命入門第6回」を見てもらうとして、ここでは梁湘潤師の『大流年判例』に書かれている「双軌命学」的十二運の見方のさわりを書きます。
なお、書かれていることは、断定的に書かれていることでも、あくまでそういう可能性が偶然的中率に比べてやや高い、というだけです。
胎 | 体型が虚弱な人であり、最もよい職業は「設計、観察、守業」を行う職業である。 |
養 | 母親の影響を受けるというのが最大の特徴である。基本的には大局観のある人である。 |
長生 | 統計的に3割程度若くして父に生別死別する(増永篤彦師の説)。自我の保護能力がなく、保護を受けながらの発展をする。逆境の中の発展ではない。 |
沐浴 (敗) | 感情的なもつれ、不満足が根底にあり、なにごとにも「後悔」する傾向にある。 |
冠帯 | 若者にありがちな悪気のない世間知らず、物事の軽重がわからないという特色がある。人を支配したがり、敵を作りやすい。 |
建禄 (臨官) | 自信と実力があり、まずは行動して後に理屈をつけるタイプ。生日建禄は、甲寅、乙卯、庚申、辛酉日の4日しかなく、しかもいずれも子丑空亡で、運勢的には同じような傾向がある。 |
帝旺 | 盛運の中にも陰りがあり、忙しくなると隠退したくなる傾向がある。家族とは縁が薄いが社会的には活躍する。陰の日柱帝旺の場合、すなわち丁巳、己巳、癸亥日は意外と内気な人が多い。 |
衰 | 子供のころ苦労する人が多いせいか万事につけ地味。何も使わず何も残さない。女性は多くは貞淑。 |
病 | 2つのタイプがあり、一つは事前に結果を予測して細心の注意を払い行動する人、もう一つは何にも考えずに行動する人の両極端がある。いずれにしても「後悔」はしない。自己の欠点をよく知っている。口うるさいところがある。芸術や芸能に才あり。 |
死 | 日柱が死となるのは、甲午、乙亥、庚子、辛巳の4日しかなく、陽は日支傷官、陰は五行の長生である。外柔内剛。成功失敗に無頓着。自分をあまり表さない。男性は愛妻家が多く、女性は乙亥を除いて夫婦円満。一人っ子が多い。 |
墓 | 職業的には学者タイプの人と事業家タイプの人。だいたい晩年に発展することが多い。条理をわきまえており、人との距離を置く。実際的な人物。日支が墓の場合、刑冲を喜ぶという説もある。 |
絶 | 極端に静かであるか、極端に騒々しい人。集団生活に向いている。役人や軍人、サラリーマン向き。家庭的には恵まれない。女性は水商売に携わる人が多い。また女性は晩婚、年下の夫と結婚するのがよい。 |
次に六十干支を一つずつ見ていきたいと思いますが、その前に特殊日を挙げておきます。特殊日といっても日干神殺とみることもできるものもあり、分け難いところもありますが、ひとまず挙げておきます。
日貴日 | 丁酉、丁亥、癸巳、癸卯 日干からみた天乙貴人が地支につく場合です。神殺と考えてもいいでしょう。昼夜別にすべきと言われていますが、昼夜逆の貴人は簾幕貴人といいますから、いずれにしても貴人であることには違いありませんので、とくに昼夜分ける必要もないかもしれません。純粋で仁徳あり、風流を好むとされます。 |
日徳日 | 甲寅、丙辰、戊辰、庚辰、壬戌 慈悲心が深く福徳が厚いとされます。ただし日干が強いのがよく弱くなるのはよくないとされます。また魁罡運は大凶とします。 |
魁罡日 | 庚辰、壬辰、戊戌、庚戌 聡明で決断早く、進取の気性があり、身旺となれば発福するとされます。刑冲があると逆になります。中村文聡師によると、文筆家や芸能関係が多いそうです。 |
進神 | 甲子、甲午、己卯、己酉 本によっては、己卯、己酉のみを進神としています。これは己が大地で、卯は日の出るところ、酉は日の沈むところ(日の出のときの満月の位置)からくるとしています。性格は果断で、事に当たっては積極的、衆群を抜くとされます。 |
六秀日 | 戊子、己丑、戊午、己未、丙午、丁未 聡明霊巧、才芸に優れるとされます。火土の長生です。 |
十霊日 | 甲辰、乙亥、丙辰、丁酉、戊午、庚戌、庚寅、辛亥、壬寅、癸未 霊敏聡明とされます。六秀日は己日なのに対し、十霊日には己日がありません。かわりに庚日は2つあります。意味はだいたい同じなので、何かの意図があるのでしょうか? |
天赦日 | 春の戊寅、夏の甲午、秋の戊申、冬の甲子 支の方は各季節の陽支をとっていますが、干は戊と甲という理由はよくわかりません。いずれにしても凶を吉にかえ、一生災難に遭わないとされます。とある書には酒好きとあります。 |
十悪大敗 (禄空) | 壬申、庚辰、辛巳、丁亥、己丑、丙申、戊戌、甲辰、乙巳、癸巳 十悪大敗は禄空とも言われますが、これはそのものずばりで、六旬干支のうち建禄が空亡となる日干の日を指します。例えば甲子旬は戌亥が空亡ですが、戌亥が建禄となる日干は、戌は建禄とならないので、壬だけです。で、甲子旬の壬は壬申となります。甲戌旬の空亡は申酉となります。申が建禄となるのは庚、酉が建禄となるのは辛です。甲戌旬の庚辛は、庚辰、辛巳となります。これが十悪大敗です。建禄は日干を強めるものですが、それが空亡なので十分な力がないということでしょう。 古来目の前に財あっても使うことはできず、勤勉さがなければ財を失うとあります。ただ十悪大敗をいう名称の割には凶となることは少なくて、ほとんど偶然的中率と大差ないと思います。 |
日刃日 | 丙午、戊午、壬子 これを特殊日というかどうかは異論のあるところですが、上の3日を日刃日といいます。理由は簡単で火土水の陽刃(陽の羊刃)にあたります。甲の場合の陽刃は卯、庚の場合は酉ですから日刃格は成立しません。気性が強く、男は妻を剋し女は夫を剋すとされます。 |
陰陽差錯 (陰錯陽差) (陰差陽錯) | 丙子、丙午、辛卯、辛酉、丁丑、丁未、壬辰、壬戌、戊寅、戊申、癸巳、癸亥 人によっていろいろな呼び方があり、それこそ陰陽差錯が交錯していますが、同じものです。 『子平粋言』によると、これらは交神、退神、伏神であるとしています。それらは何かというと、六十干支を4つに分けたときには、一つが15の干支になるわけですが、そのうちの初めの日を進神、終わりの3日すなわち13日目、14日目、15日目を各々交神、退神、伏神というとしています。例えば、甲子で始まる15日間は甲子(進神)~戊寅(伏神)です。次の15日は己卯(進神)~癸巳(伏神)、次は甲午~戊申、次は己酉~癸亥となり、それぞれの終わりの3日間、計12日が陰陽差錯です。 これが異性関係が乱れたり婚姻が挫折したりという象意につながるのかはよくわかりません。ともかく異性関係、夫妻関係に難があるとされています。また喪中に妻をめとるとか、妻と死別する(とくに日刃と重なる場合)とか言われます。当然のことながら、60干支中12もあるので、結構この星を持つ人がいますが、もちろん全員がそうなるわけではありません。再三再四述べているように、偶然よりも少し高いという程度でしょう。 |
孤鸞日 | 乙巳、丁巳、辛亥、戊申、甲寅、丙午、戊午、壬子 実はこの孤鸞日については異説が多く一定していません。『三命通会』によれば、上にあげた8日等の日とありこれが一般的ですが、「等」とあるのでその他もあるということを示唆しています。術者によっては壬寅を入れている人もありますし、張琦平師の『星命術語宝鑑』によると癸巳、己未、己丑を孤鸞日というべきとしています。 男は妻を剋し女は夫を剋すとされます。 |
日干支から出す神殺にはいろいろありますが、そのうちの何を採るのかは術者によって違いがありますが、比較的多くの術者が採るものをあげます。
文昌 | 丙申、丁酉、戊申、己酉、壬寅、癸酉 文昌はすべての十干にありますが、甲の文昌は巳であり、甲巳という干支はありませんから、そういうものを除くと上の5つになります。聡明で文芸に優れるとされます。 |
学堂 | 丙寅、丁酉、戊寅、己酉、壬申、癸卯 これは十二運の長生ですから、長生の意味とともに、試験に合格できるような知識や教養をもつとされます。 |
十干学堂 | 乙亥、丙寅、戊申、辛巳、壬申 これは前の学堂と同じようなものですが、日干五行から出した十二運が長生のものです。土は水と同じとしています。意味は学堂と同じです。 |
金輿 | 甲辰、乙巳、庚戌、辛亥 金輿もすべての十干にありますが、日干支の組み合わせとしてはこの4つです。性格は温厚で生活を楽しむという意味があるとされます。 |
紅艶 | 甲午、丙寅、丁未、戊辰、庚戌、辛酉、壬子 年干からとるという書もありますが、日干からみるのが普通だと思います。この神殺の由来がよくわからないのですが、それはともかく、とくに女性はロマンチックで愛嬌があり淫乱であるとされます。まあロマンチックで愛嬌があれば異性関係は奔放になりがちでしょう。これも全員が全員そうなるわけではなく、あくまで偶然より高めぐらいに考えたほうがいいでしょう。 |
羊刃・飛刃 | 羊刃:丙午、丁未、戊午、己未、壬子、癸丑 飛刃:丙子、丁丑、戊子、己丑、壬午、癸未 前に日刃日をあげましたが、それの陰干を含めたものが羊刃です。飛刃は羊刃の対冲です。性格は剛強にして短気、男は妻を剋し女は夫を剋すとされます。とくに飛刃は投機的であるといわれます。 |
流霞 | 庚辰、辛卯 流霞もまた十干全部にあるのですが、陰陽の組み合わせができるものは、庚辛だけです。男は他郷で死に、女は産後に亡くなるとされます。この神殺をとりあげている術者は少ないですから、あまり意味がないのかもしれません。 |
これから甲子から順に60の干支を一つ一つ見ていくことにします。
これまで説明した納音、十二運や特殊日、日干神殺を載せている他、『盲派命理珍宝』『大流年判例』に書かれていることも掲げています。この表の文章だけでなく、納音、十二運、神殺等の象意を総合的にみてください。
何度も言うようですが、日柱だけでは確度はかなり低く、おそらく書かれていることに当てはまる人は2~3割程度、まあ5割はいかないでしょう。巷に「日柱で占う」という本やサイトがありますが、的中率はそんなものだろうと思います。この日柱と次章以降で述べる(予定の)干支関係や神殺などを併せてみて初めて的中率が上がるものです。その点を重ねて強調しておきます。
甲子 | 海中金 | 沐浴 自死 | 進神 冬天赦日 |
海中金は他から見えずひきこもりがちである。 沐浴であるが甲が強ければ冬生まれでも沐浴の凶意はない。 直感に頼ると失敗する。 |
乙丑 | 海中金 | 衰 自墓 | . | 海中金は他から見えずひきこもりがちである。 乙庚の合があるのが最もよい。火がなければよくない。 |
丙寅 | 炉中火 | 長生 自生 | 学堂 紅艶 |
炉中火は奔放で積極性がある。 金絶水死、財官ともに背く。ただし食神独旺で寿あり。 己亥、辛卯、癸巳時は貴。楽観的で積極的、持久力あり。 |
丁卯 | 炉中火 | 病 自敗 | . | 炉中火は奔放で積極性がある。 財官ともに背く。合気、禄、貴の助けが必要。風格あり。 |
戊辰 | 大林木 | 冠帯 自衰 | 日徳 紅艶 |
大林木は衆望仁義の人で善を好む。 壬庚が墓に入れば、乙木は自ずから財官に坐す。 事を成す力量があるが、刑冲を忌む。 |
己巳 | 大林木 | 帝旺 自病 | . | 大林木は衆望仁義の人で善を好む。 水の絶で木の病、丙寅時は貴。婚姻を損なうことあり。 |
庚午 | 路傍土 | 沐浴 自胎 | . | 路傍土は心が狭く私利に走る。 庚金が死に坐す、ただし午上は自ら官に坐す。官印は敗といえども困らず。 真才、実学、逆中に成る。 |
辛未 | 路傍土 | 衰 自養 | . | 路傍土は心が狭く私利に走る。 身旺、丙申時は貴。壬水を喜ぶ。 |
壬申 | 剣鋒金 | 長生 自臨 | 十悪大敗 学堂 |
剣鋒金は孤高で直情径行。 水の長生で聡明秀麗。理知の人。 |
癸酉 | 剣鋒金 | 病 自旺 | 文昌 | 剣鋒金は孤高で直情径行。 財官に気なく、月が旺じるのは吉。文人宗教の命。 |
甲戌 | 山頭火 | 養 自墓 | . | 山頭火は奔放にして熱情あり。 財官に坐して火庫に臨む。性格は慈善。丙寅時は貴。六合あれば先吉後凶。 |
乙亥 | 山頭火 | 死 自絶 | 十霊日 学堂 |
山頭火は奔放にして熱情あり。 壬午甲申時は貴。冬月で火がなければ柔弱。 |
丙子 | 潤下水 | 胎 自旺 | 陽差 飛刃 |
潤下水は風雅にして清新。 財官に坐す。癸巳時は貴。 |
丁丑 | 潤下水 | 墓 自衰 | 陰錯 飛刃 |
潤下水は風雅にして清新。 金庫が栄え豊か。辛亥時は貴。困難に遭ってかえって大成する。 |
戊寅 | 城頭土 | 長生 自病 | 春天赦日 陽差 学堂 |
城頭土はこだわりが強い。 官殺は吉。周囲に遠慮して謙譲。 |
己卯 | 城頭土 | 病 自死 | 進神 | 城頭土はこだわりが強い。 殺に坐し、身殺両停は吉。婚姻を損なうことあり。 |
庚辰 | 白鑞金 | 養 自養 | 日徳 魁罡 十悪大敗 流霞 |
白鑞金はケチで心が狭い。 刑冲を忌む。母親の影響を深く受ける。 |
辛巳 | 白鑞金 | 死 自生 | 十悪大敗 学堂 |
白鑞金はケチで心が狭い。 死に坐するが問題なし。戊子時は貴。壬があれば文才あり。 |
壬午 | 楊柳木 | 胎 自死 | 飛刃 | 楊柳木は変通にして風に従う。 財官双美、賢く謀あり。壬寅時は貴。異性の友達を慎む。 |
癸未 | 楊柳木 | 墓 自墓 | 十霊日 飛刃 |
楊柳木は変通にして風に従う。 殺に坐す。身殺両停がよい。日柱無根を忌む。 |
甲申 | 泉中水 | 絶 自生 | . | 泉中水は寛大にして懐が深い。 四柱すべて絶なら吉。聡明にして性急、疑りぶかい。 |
乙酉 | 泉中水 | 絶 自敗 | . | 泉中水は寛大にして懐が深い。 四乙酉か化殺すれば吉。従殺は貴命。 |
丙戌 | 屋上土 | 墓 自冠 | . | 屋上土は誠実で表現するのを好む。 夏生まれならば財官は無気。土が多ければ病重い。 |
丁亥 | 屋上土 | 胎 自臨 | 日貴 十悪大敗 |
屋上土は誠実で表現するのを好む。 壬寅、乙巳時は貴。冬生まれは甲が必要。 |
戊子 | 霹靂火 | 胎 自胎 | 六秀 飛刃 |
霹靂火は怒りっぽくすぐに火がつく。 乙卯時、丁巳時は貴。良き妻を得る。 |
己丑 | 霹靂火 | 墓 自養 | 六秀 十悪大敗 飛刃 |
霹靂火は怒りっぽくすぐに火がつく。 財あって官なし。丙寅時は貴。冬生まれは火が必要。 |
庚寅 | 松柏木 | 絶 自臨 | 十霊日 | 松柏木は心は和やかで善良。 絶だが吉。財に恵まれる。 |
辛卯 | 松柏木 | 絶 自旺 | 陰錯 流霞 |
松柏木は心は和やかで善良。 財が衰えてもよい。戊子時は貴。女命は婚姻不調。 |
壬辰 | 長流水 | 墓 自墓 | 魁罡 陽差 |
長流水はじっとしていられず娯楽を好む。 刑冲を喜ばず。建禄に遇えばかえって卑。言い方がきつい。 |
癸巳 | 長流水 | 胎 自絶 | 日貴 十悪大敗 陰錯 |
長流水はじっとしていられず娯楽を好む。 財官双美。丁巳時は貴。楽しみにふけって道を誤りやすい。 |
甲午 | 沙中金 | 死 自敗 | 進神 夏天赦日 紅艶 |
沙中金は高貴で優雅だが気が小さい。 夏生まれは大吉。水があれば妻財が得やすい。 |
乙未 | 沙中金 | 養 自冠 | . | 沙中金は高貴で優雅だが気が小さい。 財に逢う傷官格は吉。同輩の助けを得る。 |
丙申 | 山下火 | 病 自病 | 十悪大敗 文昌 |
庚山下火は怒りっぽいが積極的で向上心あり。 寅時は貴。癸巳時も貴。 |
丁酉 | 山下火 | 長生 自死 | 日貴 十霊日 文昌 学堂 |
山下火は怒りっぽいが積極的で向上心あり。 学に精を出す。壬寅時は貴。頭がよく勢いがある。 |
戊戌 | 平地木 | 墓 自養 | 魁罡 十悪大敗 |
平地木は含蓄があり無用な争いを避ける。 冲刑を忌む。剛毅で敏捷。 |
己亥 | 平地木 | 胎 自生 | . | 平地木は含蓄があり無用な争いを避ける。 財官に坐して高名を得る。丙寅時は貴。刑冲がなければ一生安逸。 |
庚子 | 壁上土 | 死 自旺 | . | 壁上土は個性散漫。 丁火あれば吉。 |
辛丑 | 壁上土 | 養 自衰 | . | 壁上土は個性散漫。 食神栄昌、長命。家族の圧迫を受ける。 |
壬寅 | 金箔金 | 病 自絶 | 十霊日 文昌 |
金箔金は表面は華やかだが実質がない。 壬寅時は大吉。三寅は富。 |
癸卯 | 金箔金 | 長生 自胎 | 日貴 学堂 |
金箔金は表面は華やかだが実質がない。 食神旺は吉。学問の素養がある。 |
甲辰 | 覆燈火 | 胎 自冠 | 十霊日 十悪大敗 金輿 |
覆燈火は聡明善良、神仏を好む。 財庫。善良。丙寅時は吉。秋生まれは火が必要。 |
乙巳 | 覆燈火 | 沐浴 自臨 | 十悪大敗 孤鸞 金輿 |
覆燈火は聡明善良、神仏を好む。 家族に縁がない。壬があれば軽い。財に苦労する。 |
丙午 | 天河水 | 帝旺 自胎 | 六秀 日刃 陽差 孤鸞 |
天河水は気位高く婚姻は道険しい。 刑冲を喜ぶ。家族に縁なし。乙癸があれば軽い。艱難を厭わない。 |
丁未 | 天河水 | 冠帯 自養 | 六秀 陰錯 紅艶 羊刃 |
天河水は気位高く婚姻は道険しい。 小吉。中年後隠退するのがよい。 |
戊申 | 大駅土 | 病 自生 | 秋天赦日 陽差 孤鸞 文昌 学堂 |
大駅土は懐深く慈悲に厚い。 甲の絶。財あっても無官。女命は自立すべし。 |
己酉 | 大駅土 | 長生 自敗 | 進神 文昌 学堂 |
大駅土は懐深く慈悲に厚い。 財禄二背。生扶がよい。足るを知り争わない。 |
庚戌 | 釵釧金 | 衰 自衰 | 魁罡 十霊日 金輿 紅艶 |
釵釧金は高貴だが気位高い。 火旺、冲刑を忌む。性格が激しく丁方がよい。 |
辛亥 | 釵釧金 | 沐浴 自病 | 十霊日 孤鸞 金輿 |
釵釧金は高貴だが気位高い。 財生官絶。寅を要する。 |
壬子 | 桑柘木 | 帝旺 自敗 | 日刃 孤鸞 紅艶 |
桑柘木は剛強にして負けずぎらい。 刑冲を喜ぶ。婚姻を損なう。 |
癸丑 | 桑柘木 | 冠帯 自冠 | 羊刃 | 桑柘木は剛強にして負けずぎらい。 冲を喜ぶ。丙火が必要。 |
甲寅 | 大渓水 | 建禄 自病 | 日徳 孤鸞 |
大渓水は積極的でいろいろと手を出す。 財官二背。辛未時は貴。夫婦不和。 |
乙卯 | 大渓水 | 建禄 自死 | . | 大渓水は積極的でいろいろと手を出す。 財官無気。庚辰時は貴。財官が透るのを喜ぶ。 |
丙辰 | 沙中土 | 冠帯 自墓 | 日徳 十霊日 |
沙中土は孤独無援。 冬生まれは不吉。庚寅時は貴。婚姻が悪いとかえって大成する。 |
丁巳 | 沙中土 | 帝旺 自絶 | 孤鸞 | 沙中土は孤独無援。 家族に縁がない。戊があれば重く、甲、寅があれば軽い。春は金、秋冬は木が必要。 |
戊午 | 天上火 | 帝旺 自旺 | 六秀 十霊日 日刃 孤鸞 |
天上火は性格が落ち着かず奔放。 刑冲を喜ぶ。四、五月は刑地が吉。女子は俊男を得る。 |
己未 | 天上火 | 冠帯 自衰 | 六秀 羊刃 |
天上火は性格が落ち着かず奔放。 丙寅時は貴。柔中に剛あり。時勢に従う。 |
庚申 | 石榴木 | 建禄 自絶 | . | 石榴木は考えは緻密だがうまくいかない。 長寿。異性とは相処易からず。 |
辛酉 | 石榴木 | 建禄 自胎 | 陰錯 紅艶 |
石榴木は考えは緻密だがうまくいかない。 戊子、丙申時は貴。婚姻を損なう。 |
壬戌 | 大海水 | 冠帯 自冠 | 日徳 陽差 |
大海水は寛容にして忍耐あり。 玄武当権。財官双美。五行不全を忌む。 |
癸亥 | 大海水 | 帝旺 自臨 | 陰錯 | 大海水は寛容にして忍耐あり。 癸亥時は大貴。壬が透れば女命は寡婦。 |
ここでは私の蔵書にある命式のうち、有名人をとりだして六十干支別に並べてみたいと思います。古い本からの引用が多く、最近はあまりなじみのない人が多いですが、とくに選択基準があるわけではありません。また並びの順にも特別な意味はありません。年齢順というわけでもなく適当です。かっこ内には職業等を記載していますが、これまた適当に記しています。以上の点ご容赦願います。
有名人をあげた目的は、あくまで日柱の六十干支は、偶然性よりはちょっとだけ高い何らかの傾向が見られる程度で、これだけで判断するのは危ういということを示すためです。世の占いの本の一部は、日柱だけでずばり判断できるような書き方をしており、その傍証として有名人を列挙していますが、私の目的は全く逆です。人間は複雑であり、単純に日柱だけで判断できるものではないということを再確認できるのではないかと思い、ここに列挙するものであります。
といって、日柱で占うことが意味がないと言っているわけではありません。偶然よりも高い確率なら、それらを組み合わせることで使いようはあります。(それはその1で縷々書いたとおりです)
ここで、日柱論命の実例をあげようと思ったのですが、「日柱だけだと偶然的中率を若干超える程度にすぎない」と言った手前、日柱だけで推命する例をあげても意味がないでしょう。よって、実例は次の話題をしたあとにします。日柱推命プラスアルファの段階でないと占術としての意味をもたないでしょうから。
余談ですが、日柱について考えることを少しばかり。
日柱は六十干支ですから、日柱だけの分類だと60種類しかありません。日干は甲から癸まで10あるわけですから、それぞれの干には6つしかありません。これはあたりまえだと言われるでしょう。ただ、それをよく考えると、例えば甲日干の場合には、十二運のうち6つしかありません。もう少し具体的にいえば、甲日主の場合には、日支が長生になることはありません。甲の長生は亥ですが、甲亥という組み合わせはないからです。一方、丙日主の場合には、丙寅という組み合わせがありますから、日支長生ということがありえます。同様に、甲日柱には帝旺がなく丙日柱には帝旺があります。逆に甲日柱には建禄がありますが、丙日柱には建禄がありません。同じ陽干日主ですが、十二運を考えると、このような差があります。他の干も同様です。
また納音十二運にも同様のことがいえます。例えば甲子は自死、甲戌は自墓、甲申は自生、甲午は自敗、甲辰は自冠、甲寅は自病となります。すなわち六種類しかありませんが、先の日干からの十二運とは異なります。
このことから例えばこんなことが考えられます。甲日生まれの人には帝旺や自旺の十二運を持っている人はいませんから、甲日生まれの人は帝旺のような性格を持つ人は他の日干の生まれの人に比べて少ない(いないとは言えない)可能性があります。一方丙日生まれの人は、丙子が自旺、丙午が帝旺ですから、帝旺のような性格を持つ人は他の日干の人に比べて多い可能性があります。帝旺とはエネルギーの高い状態であるわけですが、丙日生まれの人は甲日生まれの人よりもエネルギッシュである可能性が高いといえるかもしれません。もちろん個別に見れば、そうでない人もたくさんいるわけで、あくまで全体的な比較の問題であります。
白水社から出ている『占星術』(クーデール著)という本に、2817人の音楽家のホロスコープ上の太陽の位置を統計的に処理した結果(実際にはロビュールという占星術者の統計の再検討)、音楽家と太陽の位置とは無関係という結論しか出なかったという話が出てきます。で、本書の結論は、「このばかげた偽科学(占星術のこと)の拡大に抗して戦い、この古い迷信(占星術のこと)の危険極まりない遺物に反対して布教すべく、法的な手段や公的な方途にようる全面的な支援をとりつけなければならない」(一部略)ということです。まあ、この結論はちょっと行き過ぎな感じがしますが、あやしげな悪徳宗教がはびこる今日では、このくらいのことを言った方がいいのかもしれません。
仮に日干支で同じようなことをやれば、やはり無関係という結果が出るのかどうかはわかりません。実際やったことがないので。誰かやってくれるとうれしいのですが…。意外と大変だし(上のように有名人を並べるだけでも結構大変)、そんな時間もないので私はやるつもりはないです。ま、定年後の楽しみにとっておきましょう(笑)。
次は日柱を離れて、神殺について論じたいと思います。