44. 日々
 2002.03.24
 「GI」…257匹、「HI」…92匹、「SSP」…6匹。
 2002.04.10
 「SSP」が増えた。8匹になった。
 2002.05.02
 「GI」…289匹、「HI」…105匹、「SSP」…8匹。
 2002.06.09
 「SSP」9匹になった。
 2002.06.17
 「SSP」、またしても1匹消失。8匹に逆戻り。
 進んだり戻ったり、なんだか双六みたい。
 2002.07.17
 「SSP」再び9匹に。
 2002.08.09
 「GI」20匹、「HI」10匹を里子に出した。
 新潟へと。
 Sさん、どうぞよろしくお願いいたします。
 2002.08.11
 「GI」…362匹、「HI」…114匹、「SSP」…9匹。
 2002.08.21
 「SSP」が10匹になった。
 2002.08.23
 「GI」20匹、「HI」10匹を里子出し。
 今度は千葉県のMさん家へ。
 Yくん、どうぞよろしくね。
 2002.08.25
 「SSP」11匹に。
 2002.09.11
 「SSP」15匹に増えた。
 2002.09.15
 「SSP」17匹。
 2002.09.18
 「SSP」18匹。
 2002.09.28
 「SSP」19匹。
 2002.10.14
 「SSP」21匹。
 2002.10.20
 「SSP」22匹。
 2002.10.27
 「SSP」24匹。
 2002.10.30
 「SSP」28匹。
 2002.11.04
 29匹。
 一時はたった5匹にまで落ち込んだ「SSP」が、約1年間でどーにかこーにかここまで増えた。
 よく頑張ったね。ありがとう!
 2002.11.13
 「SSP」33匹。
 2002.12.08
 「SSP」42匹。
 2003.02.12
 「GI」…約700匹、「HI」…194匹、「SSP」…79匹。
 もうたいへん! 数えるのに骨が折れた。
 2003.06.02
 暑くなってきた。
 プラナリアたちを今年も発泡スチロール箱に移した。
 避暑地、と呼べるほど涼しくはなくて、温度は摂氏20〜25度くらいなんだけれど、それでも暑すぎる部屋の一角や寒すぎる冷蔵庫の中よりは、まだ少しはマシに違いない。
 さあ、今年もなんとか夏を乗り切ってくれよ。
 2003.07.09
 「SSP」のみ数えてみた。
 212匹。
 よくぞここまで! と改めて思う。
 ありがとう、と改めて思う。
 2003.07.31
 恒例、夏の里子出し。
 「GI」20匹、「HI」10匹を岡山県へ。
 Aさん、どうぞよろしくお願いいたします。
 2003.08.03
 「GI」20匹と「HI」10匹を都内葛飾区へ、さらに「GI」20匹と「HI」10匹を遠く札幌市へと送り出した。
 Eさん、Iさん、どうかよろしく頼みます。
 2003.10.08
 夏を乗り切ったプラナリアたちを発泡スチロールから出す。
 私の部屋の棚の上、レコードプレーヤーの横、小さなオーディオスピーカーの前。
 そこが秋から春にかけての、奴らの住所。
 45. 詳録・お掃除
 2004.01.18
 エサやりは週に1、2回。
 キューブ状に固められた冷凍アカムシ団子のひとつをカッターで3つに切り分けて、それらを「GI」「HI」「SSP」それぞれのタッパーの中に放り込む。
 あとは何もしなくていい。アカムシに群がったプラナリアたちが、やがて各々の身体を赤く染めて散り散りに食後の泳ぎを始めるまで、私は何もしなくていい。楽なモンだ。
 そう、エサやり自体は楽な作業だ。
 まぁ、ペットへのエサやりってのは、大抵は楽なモンだろうと想像するけどね。イヌにはドッグフードを、ネコにはキャットフードを、金魚には金魚用のエサを、鳥には鳥用のエサを、適量与えてあげればいい。「あーんして、あーん!」とか「んもう、ちゃんと席に着いて食べなさい! 走り回らないの!」とかをうるさく言わなくても、赤ん坊だったり病気だったり激しくわがままだったりしないかぎりは、黙って勝手に、そしてたぶん喜んで、与えたものを食ってくれる。
 エサやり自体は、うん、楽なんだ。
 ところが、その他がけっこうたいへん。プラナリアの場合でいえば、たいへんなその他とは、水換え&寝床の掃除、である。
食事開始直後のGI
食事開始直後のGI
食事終了直前のGI
食事終了直前のGI
 そろそろいいかな? ころあいを見計らって、私はポリエチレン製のピペットを手にする。
 テーブルの上には3つのタッパー。覗き込めば、うっすら赤い食後のプラナリアたちが泳ぎ回っている。自身の排泄物と冷凍アカムシの残骸により汚れて濁った水の中で。
 よっしゃ始めるか!
 タッパーのひとつにピペットの先を突っ込んで、汚れた水とともにゴミをひとつ吸い上げる。吸い上げたそれらを、用意した透明容器にピュウと圧し出す。
 吸い上げる。圧し出す。吸い上げる。圧し出す。──ひたすら同じ動作の繰り返し。タッパーの中にゴミが見当たらなくなるまで、ただひたすらに繰り返す。
 単純な作業だけれど、油断がならないんだな、これが。気を抜くと、ゴミだけでなくプラナリアも吸い取ってしまう。
 吸い取ってしまったら…いや、ま、吸い取ってしまっても、受け用の透明容器に一旦ゴミと一緒に吐き出して、そこから今度はプラナリアだけを拾ってタッパーに戻せばオーライ! 慌てるこたぁない。うん、慌てるこたぁないのだが、しかしただでさえ“吸い上げて圧し出す”を数えるのも面倒なくらいループさせてるというのに、そのうえさらにっていうのも、バカバカしい話じゃないか。
 だから、なるべく余分な手間を増やさないよう、ゴミだけを吸い取ろう、ゴミだけを吸い取ろうと、かなり気を張ってピペットを操る。そうしてるつもりなんだ、いつも。にもかかわらず結局は、プラナリアも吸い取っちゃうんだけどね、毎度。
 だいたい、黒っぽくてデカイ「HI」は目立つからいいとして、「GI」「SSP」チームはみな白〜赤〜褐色のゴミとよく似た色合いで、しかも小さいからゴミの中に紛れると見えなくなっちゃったりするんだよ。それと、ゴミの多くが解した繊維のよう、あるいは湯の中のとろろ昆布のよう、あるいは巻き取られる直前の綿あめのよう、そんな形状なのも問題。それらが小さなプラナリアを搦め捕ってしまうから厄介なんだ。ゴミだけ狙ったはずなのに、あ〜ん、手繰られるようにしてプラナリアまでずるずるとピペットの口の中へ、だよ。くそぉ。
 さてそんなこんなの吸って吐いてでゴミはあらかた取り除いた。先へ進むぞ。
 やにわに私はタッパーを掴んで左の掌に載せる。で、ぐい〜んと傾け、容器の一角に、中に残っているすべてを集める。水とプラナリアども、を集める。
 大半のプラナリアはタッパーを斜めにするだけで容易に集められるんだ。けれど一部は容器の内壁に貼り付いて傾きに堪えている。揺すっても動かない。なかなか頑張り屋さんじゃあないか。そんな殊勝なプラナリアには、ご褒美代わりに水鉄砲をくれてやる。右手に持ったピペットに水を吸い入れ、プラナリア目掛けて噴射!ビュッ! するとプラナリアは水とともにずるずると仲間たちの集う場所へと滑り落ちていく。よかったね。って私がいいだけの話だが。
 そうしてすべてを一角に集めたら、さらにタッパーを傾けて、水だけを透明容器にジョボジョボと落とす。タッパーにはプラナリアの塊だけが残る。
 うじゃうじゃ、うみょうみょ、ぐにゅぐにゅ、みゅにみゅに……。何百匹ものプラナリアが固まって蠢くさまには美しさの欠片もない。デリケートな方にはお見せできない絵かも。しかし私は平気。むしろ見てて楽しい。
 とはいえ、水のない状態を長く強いてプラナリアたちを干物にするわけにもいかないので、眺めるのはそこそこにして、作業を続けよう。
 右手に今度はティッシュペーパーを握り、それで容器の内側を拭く。プラナリア塊のいる一角を除いて、底の汚れも側面の汚れもきれいに拭き取る。ティッシュが茶色に染まっていく。
 その茶色いティッシュを一旦離し、再度ピペットを手にしてヤツらに水をかけながら、同時にタッパーをそれまでとは逆方向に傾ける。うまくプラナリアの塊を対角の位置まで移動させれば、拭き残した一角が空いて、最後のひと拭いが可能になる。
 うん! キレイになった!
 ピカピカのタッパーに新しい水を注ぎ入れて、お掃除終了〜!
寄せて集めてプラナリアの塊
寄せて集めてプラナリアの塊
 は〜あ、やれやれ。お茶でも飲むか。って、いや、ウソ。実はまだ終わりじゃないんだ。
 タッパーにフタを被せる前にやらなきゃならないことが残っている。
 今や透明容器に溢れんばかりとなったゴミ混じりの汚れた水を、ここで厳しくチェックせねば!
 動いているものはいないだろうか? 濁った水の底を這うようにして泳いでいるものはいないだろうか? 覗き込んで目を凝らす。ピペットで小さな水流を作り邪魔なゴミをどかしどかししながら、隅から隅までを丹念に調べる。
 だって、いるのだ。2、3匹は毎度いるのだ。ゴミとともに吸い上げられた挙げ句、タッパーに戻されることなく汚水の中に放置されてしまったプラナリアが。黙ってサルベージを待っているプラナリアたちが。
 そいつらのほとんどは体長2、3mmくらいと至極小さい。小さくて、なおかつ透けていると言ってもいいほどに色素が薄い。だからとても目に着きづらくて、どうにも見落としがちになっちゃうんだよね。それで未だに汚い水の中、というわけなのだが、どんなに小さくて透けていてもそれらは立派にプラナリアなので、この哀れな状況から救い出してやるのがやはり飼い主としての私の責務でしょう。必ずや見付け出して、元の住処に帰してあげなくっちゃ!
 そうやってしつこくゴミ漁りをして、もう大丈夫という確信を得てから、ようやく透明容器を流しへと運んでジャバァと中味を排水口に捨てる。そして空になった透明容器とピペットを洗って、消毒のつもりでお湯に浸し、あとはテーブル上の3つのタッパーを定位置の棚へと戻せば、ここで本当に一段落できる。
 ふぅ。
溜った汚水(左)と清掃後のタッパー(右)
溜った汚水(左)と清掃後のタッパー(右)
 ま、“たいへん”と言ったところで、散歩に連れて行ったり、散らばった毛を掃き集めたり、臭い糞尿の始末をしたり、身体を洗ってやったりするわけじゃないから、ペットの世話としてはとっても楽な部類だと思う。それでもエサやりの後の、上記の作業をひととおりなすのに、毎回たっぷり1時間はかかるんだよね。タッパー3つ分だし。
 自分のことですらあれこれ面倒くさがる私が、ヘンテコリンな生き物のために数日おきとはいえ1時間もかかる世話を続けているなんて、我ながら驚き。う〜ん、これってやっぱり“情”、なのかね。どうかな。
 正直なところ、面倒くせぇなとはたまに思うんだけれど、プラナリアの動きを目で追いながらピペットを手にしている時間が私は決してイヤじゃないんだな。その間の私は、無心だったり、あるいは何かくだらない考えをぼんやり巡らせたりってな具合で、うん、なんだか悪くない状態なんだ。
 いったい何がそうさせてくれるのか──プラナリアのせいなのか、それとも単調な繰り返し作業のせいなのか──よくわからないが、プラナリアの面倒をみているときに感じる、うるさくない時間の流れが私は好きだよ。
ぴかぴかのタッパーの中で泳ぐGI
ぴかぴかのタッパーの中で得意げに泳ぐプラナリアたち(GI)
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