2003年です。上の方ほど最近見たもの。評価は ★★★★★ が最高。
No. | タイトル | 評価 | 感想 |
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December, 2003 | |||
39 | アンダーワールド UNDERWORLD |
★★ | 吸血鬼と人狼が夜の闇のなかでアクション満載の闘争を繰り広げるという、 僕の好きそうな話なのに、体調もあるのか眠かった。 ゴスっぽい雰囲気を出すことに腐心しすぎで、肝心の物語のテンポが悪いのだ。 これよりは『ブレイド』シリーズの方がよっぽど良い。 これで続編作る気マンマンなラストは無謀。 |
November, 2003 | |||
38 | キル・ビル Kill Bill : Vol.1 |
★★★★ | ある意味パーフェクト。ケバケバしい俗悪の極みにして、洗練された映像美。 人によっては気分を悪くしそうな暴力シーン・流血シーンを堂々と前面に押し出すイカレ具合が素敵。 観客のテンポを狂わすヒロインたちの日本語(非日本語圏的にはどうなんだろう。クールなのかな) とも合わせて観客の評価を二分するところだが。それにしても飛行機の機内持ち込みに日本刀はマズいだろ。 |
37 | 10億分の1の男 INTACTO |
★★★ | 「運」というものは科学の光がいまだ届かない領域にあり、「運」を自在に操る、 という物言いには、必然的にオカルトの匂いが付きまとう。 この映画はある種の洗練(実は麻雀劇画のソレだが)によってその胡散臭さを消しているんだけど、 作中で行われているのは結局、互いの力の奪い合いで、その意味では吸血鬼映画でもある。 それにしても最近のスペイン映画は元気だなぁ。 |
36 | マトリックス レボリューションズ MATRIX Revolutions |
★★★ | うーん。ネオとスミスの最終対決は「ドラゴンボール」にしか見えないよね。 手から何か発射したりはしないけど。上映が終わったあとの、なんじゃこりゃ、という劇場の空気が印象的でした。 それはさておき、今回は、選択と犠牲というテーマが色濃く描かれている。 ネオは試練の果てに、キリストその人に重なりあう運命をたどり、 そして、ザイオン攻防戦での有名無名の人々の戦いもこのテーマに沿って描かれている。 しかし、この壮絶な戦いで勝ち得た「平和」も実は一時的なものにすぎない。 前作以上に自己満足ベクトルの作品になっているので、あまり売れないかもね。 |
35 | マッチスティック・メン Matchstick Men |
★★★ | 詐欺師モノは観客をいかに騙すか、というのが重要な要素だけど、 この映画では、ここに伏線がありますよ、といわんばかりの伏線の張り方なので、 本当のところ何が起こっているかというのは簡単に読めてしまう。 だけど実は、潔癖症に悩む主人公が他人とのかかわりの中でこれを克服し自分を取り戻すというプロットこそが中心なんだね。 最近、N・ケイジはこんな役多いなぁ。 |
34 | リーグ・オブ・レジェンド 時空を超えた戦い The League Of Extraordinary Gentlemen |
★★ | 実にもったいない。これだけ魅力的な素材を集めておきながら、脚本の拙さが全てをブチ壊しにしている。 悪役はベラベラ企みをばらすし、ハイド氏は葛藤もなく善人になっちゃうし、敵地への侵入は簡単だし、 なんというか「危機に陥った感」が全く欠如しているんだよね。 作りようによってはいくらでも面白い話にできそうなのに。ノーチラス号の勇姿だけはすごくいい。 |
October, 2003 | |||
33 | フレディvsジェイソン Freddy vs. Jason |
★★ | 『エルム街の悪夢』も『13日の金曜日』も映画館で観てないのに、企画のバカさ加減に、つい。 「ジェイソンは水が、フレディは火が弱点なのよ」って、頭の悪さ満開だよね。 ともかく、お約束の積み重ねに終始して意外性はほとんどないけど、 今時分これだけ血飛沫ドロドロの映画も珍しいといえば珍しいかな。 多分次(あると思うよ)では橋本と小川のように仲直りしていそう。 |
32 | アイデンティティー Identity |
★★★ | 最近、どうも「人の心」とやらが偏重されすぎている気がする。 そんな風潮を反映した、いかにもな変格心理学的サスペンス。 豪雨に孤立したモーテルの正体はともかく、あんな描き方で表現できてるのかな? そんなもんなのかな? (これ以上のネタばらしは控えます) |
September, 2003 | |||
31 | 28日後... 28 Days Later |
★★★ | 意外と爽快な印象を残すサバイバル・ホラー。イギリス全土が人をゾンビ化するウィルスで壊滅するという災厄の中で、 主人公達が生き残る為の苦闘がちょっとしたロード・ムービー風で清清しい。 多分、ハッピーエンドに変えたラストが効いている。 |
30 | ドッグ・ソルジャー Dog Soldiers |
★ | 無名の単館上映系ホラーは、ハズレのときはとめどもなくハズレなのだけど、 そのハズレの一本。字幕が悪い可能性が少しあるのだけど。面白いのは結末の新聞記事のみ。 |
29 | 閉ざされた森 BASIC |
★★★ | おお、いいねぇ、騙すねぇ。パナマの米軍基地に巣食う陰謀が... って、 ネタバレになるのでこれ以上書けないんだけどね。 でもこのオチから考えると、J・トラボルタ扮する麻薬捜査官が招聘された経緯はちょっと合点がいかない。 |
28 | アダプテーション Adaptatoion |
★★★ | 何の映画だ、こりゃ。現実にはいない脚本家本人の双子の弟が、とかの事前知識なしだと理解困難だろうなぁ。 原作どころかその作者や登場人物をズタズタに切り刻む大胆不敵な反則“だけ”で出来上がった妄想大作。 『マルコヴィッツの穴』『ヒューマン・ネイチュア』に続く 他の誰も真似できない(しない)怪作の系譜。 |
August, 2003 | |||
27 | HERO 英雄 | ★★ | タイトルロールの「英雄」って実は敵役である秦王のことなんだね。 メッセージも「乱世を平定するには英雄が必要で、その覇業の為には多少の犠牲は仕方がない」という政治色の濃いもの。 何故、今? 剣劇シーンは華麗だけど、飛んだりクルクル回ったり美に走りすぎで方向性間違ってるよ。 |
26 | コンフェッション Confessions of a Dangerous Mind |
★★★ | 裏『ビューティフル・マインド』。 まずは俳優陣が豪華(B・ピットと M・デイモンがほんの一瞬出演)。 内容を見ても、敏腕TVプロデューサーが裏でCIAの暗殺者でもあったという奇想天外な話で、 しかもこれが自伝だというからスゴい。 表も裏も虚業の華やかさに満ちた仕事に躁的に突き進む主人公が、 両側での仕事のプレッシャーに押し潰される緊迫感が良く出ていて面白かったけど、 多分原作のパワーなんだという気がする。製作・監督・出演のJ・クルーニーはいい本見つけたね。 |
25 | パイレーツ・オブ・カリビアン Pirates of the Caribbean |
★★ | 2時間半の長丁場をダレずに見せる技は誉めるけど、ディズニーランドのアトラクション並に健全。 ディズニー映画だから当然なんだとしても、闇や毒の匂い全くなし。骸骨海賊ゾロゾロなのにねぇ。 |
24 | アンダーカバー・ブラザー Undervover Brother |
★★★ | 僕の座標系では「バカ」は相対的に高く評価される傾向があるので、大変楽しめました。 大バカです。白人至上主義者組織ザ・マンとこれに対抗する黒人の秘密組織(でも雇用機会均等法で白人もいる) の争いなんだけど、実はジェンダーの対立が大きい要素だったりするのが面白い。 『オースティン・パワーズ』よりは好きかな。 ザ・マンに洗脳される黒人の大統領候補の将軍が、どうみても○ウエルってことは、 顔を見せないザ・マンの首領は○ムズフェルド?(髪型もそんな感じ) |
23 | ハルク THE HULK | ★★★ | 「怒り」を思うさま解き放つ、後ろめたい爽快感がいい。 最近の作品らしく人間ドラマを装おうとしてはいるけど、こちらの方面では破綻していて成功しているとは言いがたい。 作中で主人公が時折漏らす、圧倒的な力の行使に酔う快楽が主題なのだから。 もちろん質量保存の法則がどうのとかいった無粋なツッコミも無意味。 |
July, 2003 | |||
22 | テープ TAPE | ★★ | 舞台は安モーテルの一室固定、登場人物は3人のみという脚本と演技力勝負の一本。 イーサン・ホークがダメダメなヤクの売人を演じるのは珍しくて面白いけど、 アッというほどの展開もなくセンスもさほど、で地味な作品。 |
June, 2003 | |||
21 | ソラリス SOLARIS | ★★ | 派手な作品になりそうな監督や役者がそろったリメイクだけど、地味極まりない作品。 個人的な苦悩の記憶が再現なくリプレイされ、登場人物を異界に取り込んでいくのだが、はっきり言って眠いよ。 |
20 | the EYE 【アイ】 the EYE |
★★★ | 香港-タイ合作の叙情系ホラーって、あんまり想像つかないね。 角膜移植により見えてはいけないものが見えるようになるヒロインの話だけど、 怖がらせるだけではなくて、死者の満たされぬ想いが哀しい日本的とすらいえる幽霊情話。 もちろん近年世界に発信されている日本の作品の影響もあるんだろうが、 これが現代のアジア風というのであればちょっとうれしいかな。 |
19 | マトリックス リローデッド
MATRIX RELOADED |
★★★ | ヴィジュアルはとてつもないんだけど、CM等での事前の露出が多すぎてインパクトが薄くなってるのは 宣伝のミスだと思われる。100人スミスとの対決がモロCGなのはちょっと興ざめだし。 今回はネオが何でもアリになりすぎて、むしろモーフィアスらの方がカッコいいのだが、 ネオの役割は、作品の哲学的な「味付け」にある。 つまり、救世主としての立場の真の意味と秘密に悩む姿に象徴される運命論と自由意志の相克である。 そして、反救世主となったスミスとの対決という宗教的側面も読み取れる。 ハリウッドアクション大作の姿を借りて、実はカルト系作品であるというのはある意味すごいことだとは思う。 |
18 | CUBE2 CUBE2 Hypercube |
★★★ | 前作『CUBE』とほぼ同じ内容。仕掛けが4次元になって多少派手になり、 舞台となる迷宮の正体の説明がされてわかり易くなっているくらい。 それでも、不必要な要素を削ぎ落とした緊迫感が類作を圧倒しているのは評価。 |
May, 2003 | |||
17 | アバウト・シュミット About Schmidt |
★★★ | 全く守備範囲外の映画なのだが。主人公のJ・ニコルソンがアクチュアリーを演じるというので観に行ったけど、 たまにはこういう感動人生話もいいかな。5年に1回くらいは。詳しくはこの当サイト内の 「描かれたアクチュアリー」に書くとして、 登場人物が全員スピーチに力入れすぎです。ウィットと苦味と愛に満ちてはいるけど、気がききすぎて何か変。 |
16 | TAXi 3 | ★★★ | アクセル全開、バカメーター振切り。 前作がイマイチだったので実はそれほど期待していなかったんだけど、 徹底的かつテンポのよいバカっぷりとヘンテコ東洋趣味の佳作にしあがってました。 やっぱり4作目も作られるんだろうね。 |
15 | サラマンダー Reign Of Fire |
★★★ | 蘇ったドラゴンの群れが現代文明を破壊し尽くした後、 僅かに生き残った人類がギリギリの反撃に出る、っていまどきありえないストレートなモンスター映画だが、 意外にというかかなり高水準のでき(尺度は偏っているけど)。 空を制し火を吐き人を喰らう凶暴なドラゴンの前に隠れ暮らすしかない人々の窮状と、 その前に現れたかすかな希望が悲劇につながる非力感・絶望感がメジャー映画にはない感じでよろしい。 まあ、結末は定石どおりだし、あれくらいの力では文明瓦解に追い込まれることはなさそうなんだけど。 |
14 | デアデビル DAREDEVIL |
★★ | 表でうまく果たせなかった正義を裏で無理矢理って、あまりにも独り善がり。 バットマン(2作目まで)の狂気にも届かず、スパイダーマンの爽快感にも届かずで、 まあ、等身大って言い方もできるかもだけど。 ところで、弁護士とはいえ収入はそれ程多くなさそうなのに、どうやってあんな装備とアジトを維持してるんだろ? |
13 | ドリームキャッチャー Dreamcatcher |
★★ | むう。ストーリー云々以前に、異星人のデザインがひどすぎる。 それを除いてもあまり語ることもない作品で、ぶっちゃけていえば失敗作。 |
12 | X-MEN2 X2 |
★★★ | とりたてて何かが突出してるわけではないけど、安心して観てられる面白さ。 ミュータント達の扱いにゲイ・レズといった(今のところ)マイノリティを容易に重ね合わせられる分かりやすい社会派ぽさや、 アクションが派手な割に流血シーンがことごとく割愛されているのも適度に万人向け。 それにしてもイアン・マッケラン扮するマグニートー爺さんのカッコいいこと。 |
April, 2003 | |||
11 | レベリオン Equilibrium |
★★ | ショートレンジでの殴り合いである格闘技にガンアクションをのっけるというのは斬新だしカッコいいんだけど... んー、設定といい展開といい中途半端なんだよねぇ。 感情を禁止されて、それ用の薬飲んでるにしては皆んな結構感情むき出しだし、主人公の葛藤が大袈裟なのに浅くて甘い。 犬を捨てられないところはアイフルのCMを思い出して(多分映画館にいた全員が)含み笑い。 |
March, 2003 | |||
10 | スパイダー 少年は蜘蛛にキスをする Spider |
★★ | 主人公は自らの狂気の蜘蛛の巣に絡めとられて... とか言って欲しいのはわかるが、 結局は狂人の妄想まじりの記憶と心象がダラダラ続くだけの、あまり緊張感のない作品になってしまっている。 いたるところに出てくる蜘蛛の巣のアイコンもうるさ過ぎ。 |
9 | ダークネス Darkness |
★★★★ | うわ、怖いよこれ。 話もかなり凝っていて、『シャイニング』かと思いきや結構壮大な仕掛けになっていくのが面白いし、意外な拾いモノ。 視覚的にはむしろ地味で、急に何か飛び出してくる様なおどかし方はほとんど無いけど、 しばらくは暗いところに行きたくなくなるジワリと効く恐怖。スパニッシュ・ホラー侮りがたし。 |
8 | ビロウ Below |
★★★ | 抑制の効いた演出はOK。「その瞬間」を描くことなく、静かに恐怖をあおる。 超自然的怪異はむしろ背景でしかなく、生者の浅ましさが浮き彫りとなる。でも怖さは普通だけどね。 |
February, 2003 | |||
7 | レッド・ドラゴン Red Dragon |
★★★ | 『羊達の沈黙』『ハンニバル』と比べると気合の入りようは今ひとつ。 むりやり3部作に納めた感じがするのだ。 Mr.D の怪物性にフランケンシュタインの怪物を重ね合わせるのは易しいが、 あちらとは違い、さらに大物の怪物2体に操られ追い詰められてしまうのが哀しいところ。 |
6 | ロード・オブ・ザ・リング / 二つの塔 The Lord Of The Rings : The Two Towers |
★★★★ | すまん。原作も読んでないし「旅の仲間」も観てないので、タイミングとピントをはずしたことを書くと思う。 あ、ちなみに観たのは日本語吹替版。 雄大な風景といい、圧倒的な戦闘シーンといい、スゴい映像だし話の盛り上げも完璧。 でも直球すぎて(1マイルオーバーの剛速球だけど)、あえていうなら子供だましですらあるのだが、 ここまで徹底的に追求すればそれも賞賛の言葉になる。 僕の知ってるP・ジャクソン監督って『バッド・テイスト』とか『ブレインデッド』だったんだけどねぇ。 |
5 | トランスポーター The Transporter |
★★★ | ストーリーなんざどうでもいい、純粋アクション映画。 カーチェイスは意外と少ないけど格闘シーンがなかなかシャープ。 あまりにストレートすぎて印象に残りづらいのが弱いところだけど。 こういう無骨なアクションはいまやヨーロッパ映画なんだよね。 |
4 | 火山高 | ★★★ | うん、バカだ、いいぞ。キャラクター配置とか筋立てとかシーンの多くは『マトリックス』のパクリだけどね。 ワイヤーアクションはなんとなく泥臭いし、役者は(恐い教師達とヒロインを除くと)みんな若手お笑い芸人の雰囲気だけど、 そこらへんも含めていい感じ。 『少林サッカー』の高みには届いていないにしても。 こういうのを観ると日本映画にもコッチ系でももっと頑張って欲しいなと思う。 なんたって、このテの話の源は日本のマンガなんだから。 |
January, 2003 | |||
3 | カンパニー・マン Cypher |
★★★ | うわぁ、そこへオトすか。セピア色調の前半から次第に画面が色鮮やかになるにつれ、 不条理スリラーから普通のスパイスリラーに。偏執狂的なデザインは面白いんだがねぇ。 |
2 | ゴーストシップ Ghost Ship |
★★ | 致命的なことに全く恐くない。“寒気”とかそんな雰囲気が欠落しているのだ。幽霊話なのに。 それにしても、40年もかけて船一杯とは効率悪すぎじゃない? |
1 | マイノリティ・リポート Minority Report |
★★ | トリックは実はそんなに悪くない。 いかにもハリウッド的な枠には収まってるんだけど、ほんのちょっとだけ複雑だし。 でも、見せ方とか未来社会とかのディテールが、ぞんざい過ぎる。 例えば、結末でプレコグ達が解放されてるけど、あのままでは彼らの悪夢は治らないし問題は何も解決しない。 警察の動きのトロさもあまりのご都合主義。 何か、ありきたりの未来風景とハデなアクションを適当に並べとけば客なんて満足するよ、 みたいな中途半端な小手先仕事に見えて。 |