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映画日記 2010年・2011年 (13本)


2010年・2011年分です。上の方ほど最近見たもの。 評価は ★★★★★ が最高。

No. タイトル 評価 感想
November, 2011
13 ミッション:8ミニッツ
Source Code
★★★★ SF映画の佳品。死者の記憶を基盤とする8分間の仮想世界をリプレイしながら 爆弾テロ事件の真相に迫るというサスペンスだが、これを実現する「ソース・コード」、 量子論的に並行世界を創出するテクノロジーの取扱いが、実にSFをよくわかっている。 G・イーガンに通じる世界認識。 しかし、あのラストだと、最後まで登場しなかった主人公は人生を奪われたままか? 本来は事件に巻き込まれた誰か本人を徴用すべきだよな。
12 電人ザボーガー ★★★ 往年のロボットヒーロー物を下敷きにしたバカ映画のつもりでいたら、実際のところそうでしかないのだが、 エンドロールに流れるオリジナル映像を見てディテールは相当忠実にリメイクしているのに驚く。 僕はまさにその世代なのだが、たぶんまともに見ていなくて覚えていないのだ。 ギャグ主体のバカ映画ではあるが、うがった見方をすると、 ままならぬ世の中に擦り切れてしまってからの生き様を問いかける映画でもあるので、 人生に迷う中年が見ると百人に一人くらいは勘違いして生きる希望を得てしまうかも。 悪の領袖を演じる柄本明がグッド。
September, 2011
11 探偵はBARにいる ★★★ 大泉洋がいいね。コメディの印象の強い彼だが、その印象はそのままにハードボイルドな役柄が意外とはまる。 ススキノという舞台のそこはかとないエキゾチックさ、北海道の雪景色に、 かの地のローカルタレントである彼が絶妙になじむ。相棒役で共演する松田龍平の父親が主演した『探偵物語』以来の、 伝統的ともいえる街を愛し街に愛される探偵の物語。ウィスキーを飲みたくなった。
August, 2011
10 トランスフォーマー ダークサイド・ムーン
Transformers: Dark of the Moon
★★ 3Dになって、映像はさらに派手になったが、今作はストーリーが雑すぎて。 前2作はすさまじい映像表現に圧倒されたものだが、もう飽きたかな。3Dもそれほどありがたいわけでもないし。 異星の金属生命体が、表情までふくめ人類の相似形なのが今更ながら気に入らない。 人類と接触する前からセンチネルが爺さん顔とかね。
June, 2011
9 X-MEN: ファースト・ジェネレーション
X-MEN: First Class
★★★ 古いSFファンなら、ヴォクトの『スラン』やスタージョンの『人間以上』を即座に思い浮かべるだろう。 圧倒的な能力を持つがゆえに迫害される少数者の葛藤 — 逃避か同化か革命か — や彼らに自己投影することで得られる選民感の隠し味という超人類テーマ(懐かしい響きだ)は、 本シリーズの通底音だったのだが、これを前面に押し出してきたのがシリーズ本編最終作の 『X-MEN: ファイナル・ディシジョン』だった。 本作は、さらにこれを意識的に中心に据えたもので、面白さの核ともなっている。 X-MEN創設者のチャールズが実にスカしたイヤな奴に描かれているのが良い。 悪役たちや将来の悪役たちの方がカッコいいんだよね。
8 ブラック・スワン
Black Swan
★★★ 芸能の道を究めるには、その神に持てる全てを捧げ、狂気に身を浸さなくてはならない、 というのはバレエに限らずあらゆる芸事に共通のことなので、本作には目新しい要素はない。 しかし、『レクイエム・フォー・ドリーム』で底知れなくリアルな絶望を描いたD・アロノフスキー監督が、 ナタリー・ポートマンを媒介者として表現する黒々とした狂気は観客を飲み込みそうな存在感だ。 人生、そこそこが一番。
November, 2010
7 エクスペンダブルズ
The Expendables
★★★ 往年の筋肉系アクションスターが集合してドンパチする映画で、驚くほど内容は空っぽだが、 それはこの映画の本質をより純化するものだったりする。 監督・主演のスタローンに、主役級のジェイソン・ステイサムとジェット・リー (この二人は「往年の」と言うにはまだ少し早いか)、ドルフ・ラングレン、ミッキー・ローク (この人はもともとはアクションスターじゃないな)、 カメオ出演のシュワルツネッガーとブルース・ウィリスが一堂に会したという事実と、 旬を過ぎつつある自分たち、 映画史における自分たちの位置付けを語るようなアイロニカルなセリフの数々こそが主題であって、 それを楽しむべき作品なのだ。これでスティーブン・セガールが出てたら完璧だったね。
August, 2010
6 特攻野郎Aチーム
The A-Team
★★★ 吹き替えでやってた昔のTVシリーズはよく見てたんだが、そのままの感じで懐かしい。 なので、小難しいことは言わず、頭をカラにして楽しむのが正しい。 この調子だと「ナイトライダー」とか「エアーウルフ」なんかもリメイクされるかもね。
5 インセプション
Inception
★★★ 人の夢に潜る、という手垢の付いたアイデアだが、夢の中の夢の中の夢の中の… という多層構造と階層間のルールを置くことで現実かそうでないかの判別を惑わせる悪夢的手法が、 いかにもC・ノーラン監督的。 会えない子ども達、が主人公の妄想かもしれないと見る者に不安を与え続ける演出もそう。 夢の幾何学にのっとった超物理的な都市・建築の造形も良い感じ。
July, 2010
4 アイアンマン2
Iron Man 2
★★★ 前作同様、問答無用に格好いい。 何となく(平成シリーズの)仮面ライダーに近づいている気がして仕方がないのだが、 それでもパワードスーツを個人が手作りする感じと、今回の敵役であるミッキー・ロークのヤサグレ度が良いね。 で、他のマーヴェルのヒーロー達と統合されるアヴェンジャーズに繋がるのはどうなのかねぇ。 今回もラストでトール(Thor, ソーの方がいいのかな)の登場が仄めかされるし、 「インクレディブル・ハルク」でも アヴェンジャーズへの流れが示されているわけなんだが、なんかねぇ。 それぞれの良さを消してしまうような気がするなぁ。
May, 2010
3 アリス・イン・ワンダーランド
Alice in Wonderland
★★★ ハリウッドお手軽ファンタジーの要素が強いんだけど、どこをどう切ってもティム・バートン印の毒気が効いた作品。 エキセントリックな悪役である赤の女王は邪悪ではあるが、 アン・ハサウェイ演じる浮世離れした白の女王だって相当陰険なので、 統治者が変わってもワンダーランドの住人は幸せに暮らしましたとはいかなさそうだぞ。
January, 2010
2 Dr.パルナサスの鏡
The Imaginarium of Doctor Parnassus
★★★ 個人の妄想はかそけきもので、これに骨格と血肉を与え、現実性を付加することなく世界に定着させるには 相当の幻視力が必要だ。テリー・ギリアム監督はその希有な能力者であって、 まがまがしいまでに歪んで構築された幻想の伽藍に酔う。 急逝したヒース・レジャーの後を引き継ぎ、ジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルが 4人1役を演じるのが思いの外、効いている。
1 秘密結社鷹の爪 The Movie 3 ~http://鷹の爪.jp は永遠に~ ★★★★ スケールは大きくなったものの、ある意味 前作と全く同じ話なので★を一つ減らしたが、 それでも他の追随を許さない圧倒的なクォリティのバカ映画。 下らないギャグの中、バカバカしいドタバタの中に、なんというか品格を感じさせる(大家さん除く)のがすごい。 誰もが笑顔で平和に暮らすことの出来る世の中を実現するために世界征服を目指す鷹の爪団のドンキホーテ的な 格好良さに、泣きそうになること何度か。彼らのような想いこそが世界を救えるのだと信じたい。あと島根の力もね。