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映画日記 2006年・2007年 (19本)


2006年・2007年分です。上の方ほど最近見たもの。 評価は ★★★★★ が最高。

年度リスト 】 【 ◀ 2008・2009年 】 【 2005年 ▶

No. タイトル 評価 感想
December, 2007
19 ベオウルフ
Beowulf
★★★ 笑っちゃうくらいのバカマッチョ映画。剣も鎧も役に立たないし、闘う相手の怪物も素手だから (ったって巨大で凶悪な爪とかあるのに)という理由でわざわざ全裸になって立ち向かう主人公とか、 その股間を色んなもので隠していくカメラワークとか、妙に可笑しい。 あと、人物をCGで描いている場面がいくつかあるんだけど、まだまだ質感がリアルじゃないね。 とはいえ、欧系ヘビメタのファンである僕は結構好きだったりする。 Blind Guardian とか Rhapsody が好きな人ならその感じは分かってくれるかも。
November, 2007
18 SAW4 ★★ 前作で完結したと思ったら、続編が出ちゃったよ。 ジグゾウは前作で死んじゃったわけだが(その割には出ずっぱり)、彼の迷惑な遺志を引き継ぐ人物の動機が分からない。 これまでのシリーズで描かれてきた過激で残酷で不条理なゲームには、不条理なりの理があったが、 本作は全編を通じて、その「理」が感じられないんだよね。 どうもシリーズはまだ続きそうなんだけど、その辺はどうなるかな?
October, 2007
17 パンズ・ラビリンス
Pan's Labyrinth
★★★ ギレルモ・デル・トロ監督が『デビルズ・バックボーン』 と同じく、内戦下のスペインを舞台に選んだ哀調のダーク・ファンタジー。 本作は少女目線なので、『デビルズ~』よりロマンチック度は高いが、それ以上に悲劇的。 現実の無情さ・残酷さはあまりにも強大で、この世の隙間から姿を現す魔法や妖精の力は奇跡を起こすことはできない。 ある意味、逃避としてのファンタジーの否定だが、それでもわずかな、ほんのわずかな救済はもたらされる。 ペイルマンの悪夢めいた異形は強烈なのに、あまり登場しないのが残念。 でも、そんなのを見せる映画じゃないものね。
September, 2007
16 Sukiyaki Western ジャンゴ ★★★★★ シビれた! 猥雑で絢爛でナンセンス。これこそは日本が作りうる究極のB級。 これを傑作と言わずしてなんという。 『キル・ビル』 でタランティーノが到達した境地を、天才三池監督が追い越した。 桃井かおり演じるルミ子の哀しい憤怒、木村佳乃演じる静の復讐の情念、 伊勢谷友介演じる義経の切れた色気、佐藤浩市演じる清盛の鈍い狂気、 伊藤英明演じる主人公(といっても一番存在感が薄い)の侠気、タランティーノ演じる老ガンマンの稚気。 役者達の強烈な個性(と妙なギャグ)が、虚構の舞台、狂乱の物語の中で炸裂する。 と、息巻いてみたものの、こんな映画はクズだと見る方が多数派だろうけれど。 しかし僕を含めたある種の人達は魅了されずにはおれない。昔の西部劇を観たくなった。
15 TAXi 4 ★★ このシリーズは、主人公が運転する改造プジョーのタクシーが、 デタラメなスピードとテクニックで街中をカッ飛ばすのがウリのはず。 不思議なことにその肝心のカーアクションが抜き取られてしまった本作は、 ヌルいドタバタに終始するだけでおおいに期待はずれ。いったいどうした!?
14 トランスフォーマー
Transformer
★★★★ 子供向け玩具から派生した日本のアニメシリーズの映画化で、枠組もそのままなのだが...  元ネタをまともに見たことのない僕でも正直燃えたね。 映像の作り込みと、それを見せる演出の凝り方が凄まじい。 途方もない量のカネとテクノロジーと才能(そしておそらくは情熱)が注ぎ込まれた結果、 精神年齢低めのチャチな内容を維持したまま、 芸術性はともかく娯楽作として高い評価がふさわしい作品に仕上がってしまった。 スピルバーグとマイケル・ベイの神業恐るべし。
August, 2007
13 インランド・エンパイア
Inland Empire
★★★★ 意味不明。したり顔で解釈を語るヤツがいれば、そいつは頭が悪いと断言できるくらい意味不明。 デビッド・リンチ監督が放射する悪夢に幻惑され翻弄され続ける3時間は、しかし、圧倒的だ。 映像の麻薬のもたらすトリップに身をゆだねて、遠く離れた狂気の桃源郷へ連れ去られる快楽を感じよ。
June, 2007
12 大日本人 ★★ 松本人志初監督作品。シュールなヒーロー物の枠組に、 現代社会の偽善・非寛容や介護問題や国際状況を珍妙なやり方で取り込む。 映画表現のセオリーをあらゆる方向で破る試みは評価するが、これがアリか、と聞かれるとナイ気がするなぁ。
11 プレステージ
The Prestige
★★★★ クリストファー・プリーストの原作『奇術師』『メメント』のクリストファー・ノーラン監督が撮った映画となれば、 伏線と騙しが張り巡らされた巧妙な構成になるは当然なので、観客としては上映中、一瞬も気を抜くことはできない。 偉業(プレステージ)に取りつかれた業深い主人公達を演じるH・ジャックマンやC・ベールらの演技や演出・美術も水準が高く、 原作を読んでトリックを知っていたとしても観るだけの価値はある佳作。 ラストにものすごく丁寧な種明かしがあるので見終わった後に謎は残らないが、 全体を一つの手品とすることを目論んだ原作の狙いとは反している。 そこは頂けないところだけど映画の制限で仕方がないかな。
May, 2007
10 スパイダーマン3
Spider-Man 3
★★★ シリーズの3作目。 前作前々作に較べてアクションのケレンは更にすごくなっているが、 それ以上に人間ドラマに力点が置かれている。 街の住人からようやくヒーローとして認められたことに浮かれ、 人の気持ちに気づけないピーターのダメっぷりは身につまされるし、サンドマンの家族への想いや、 ヴェノムに乗っ取られたエディが邪悪と分かっていてもソレにすがる最期など、 人間の「弱さ」がちゃんと描かれているように思える。でもやっぱり甘いよね。 簡単に赦しとか言っておきながら、スパイダーマンが戦いの場に登場するシーンは、 彼を待ちこがれる群衆の拍手と星条旗前のポーズという鼻白むもので、結局、力は正義のカタルシスだし。 と、けなしておきながら、実は嫌いじゃない。
March, 2007
9 パフューム ある人殺しの物語
Perfume : The Story of a Murderer
★★★★ 原作は傑作で、十数年前に読んだときの衝撃的な印象が未だに残っているので、 冷静に評価できないところもあるのだが。「香り」がもたらす官能と背徳の世界が見事に映像化されていると思う。 皮肉に満ちたこの物語のなかで、異能の天才は、無償の愛も神聖な信仰も総てがマヤカシであることを暴き立てる。
December, 2006
8 ソウ3
SAW 3
★★★ 『SAW』 『SAW2』の続編で、おそらく完結編。 「嫉妬」がこのシリーズの主題になるとは驚き。 しかし、エグいなぁ。エクストリームなゴアシーンの連続で、拷問・人体破壊のえげつなさ、 過激さは前2作を大きく上回る。私の隣席の観客は耐えられなくて途中リタイアしてたのだ。 ジグゾウの仕掛けるゲームの不条理さ、どんでん返し、救いの無さも前2作以上。 残虐シーンとも相まって、始めから終わりまで観客に異様な緊張感を強いる映画なので、体力と耐性が必要です。
October, 2006
7 レディ・イン・ザ・ウォーター
Lady In The Water
★★★ ためらうことなくお伽噺をそのまま現代社会に埋め込んでしまう剛胆さはさすがシャマラン監督。 登場人物達が超自然的な現象やら運命を自然に受け入れてしまっていることもあって、 ファンタジー色が変に薄いのが面白い。役割の誤解とか、映画のベタな展開の批評の意地悪さが良いね。 しかし、シャマラン監督。登場するのはいいが、もっとも重要な役割で出てくるのは出たがりが過ぎるのでは。
September, 2006
6 X-MEN: ファイナル・ディシジョン
X-MEN: The Last Stand
★★★ X-MENシリーズの完結作。 社会派ぽさは前作同様だが説得力は結構感じられる出来だと思う。 自由意思の名を借りた抑圧の欺瞞を看破し抵抗を唱えるのが、ナチスのホロコーストを生き延びた 老ミュータント・マグニートーなのだから迫力がある。 その他にもミュータント達がそれぞれ重い選択を行う本作は、シリーズをきちんと締める水準作に仕上がっていて、 いい作品だと言っていいと思う。 なお、エンドロール中に席を立ってしまうと、あのキャラクターの復活を見逃すことになるので注意。
June, 2006
5 トリック 劇場版2 ★★★ 死ぬほど連打されるナンセンスなギャグに大笑い。 1回目のTVシリーズからのファンで、これを作った堤監督は天才だと思うけれど、 どうも劇場版は映画っぽくないんだよね。TV番組として観た方がはまる感じ。 それに2時間の枠になると話のパターンは固定化されてしまっていて、 むしろエッセンスは本筋とは関係ないギャグ・パロディ(オマージュ?)だったりする、が、それがウリか。
4 トランスポーター2
TRANSPORTER II
★★★ 前作よりメジャー指向でゴージャスにはなっている分、 無骨さは薄くなったが、相変わらず痛快な純粋アクション映画。 だけどリュック・ベッソンが手がけるフランス作品だけあってそれだけではないスタイリッシュな作り。 J・ステイサムが演じる主人公フランクが外見はしょぼくれたオッサンなのにストイックで凄腕というところがよい。 S・セガールとかB・ウィリスが主役の映画とやってることは同じなんだけど筋肉オーラが皆無なのが好感度高し (このままシリーズが続くとヤバイかも...)。
May, 2006
3 V フォー・ヴェンデッタ
V for Vendetta
★★★ 主人公は正義を標榜するテロリストなのだが、動機は復讐だし、 やってることは殺人と公共施設爆破と社会擾乱だしで、本当にテロリストなんだよね。 敵は、陰謀で権力を奪い英国を支配する独裁者政府という倒されるべき存在ではあるが、 テロの世紀にこのアジテーション(理念があれば暴力革命OK)をしかも格好良くキメるのは結構ヤバイ。 それに、その後の英国はもっと混沌とした内乱状態になりそうな気がするぞ。
April, 2006
2 SPIRIT ★★★★ 君は、格闘技の試合を観て血を熱くしたことはあるか。 あるか、ならばこの映画を観ておいたほうがいい。1910年上海で行われた異種格闘技世界戦をクライマックスに、 実在の武術家、霍元甲の魂と武が彷徨の果てに昇華する過程は、極めて劇画的で、あざといまでにクサいのだが、 そのクサさがたまらない。 闘技場に最後に立った霍元甲(ジェット・リー)と日本人武道家田中(中村獅童)が、 列強の薄汚い陰謀を超越して互いを敬いあい、潔く拳で語り合うシーンなど、 僕の中にある「漢」と書いてオトコと読む部分にビシと刺さる。 芸術性もメッセージも関係ない(かなり立派なメッセージはあるけど新しくはない)ので、 評価は多分二分されるけれど、僕は買う。
February, 2006
1 スキージャンプ・ペア
Road to TORINO 2006
★★★★ ある物理学者が発見した奇妙な現象から生まれた、一組のスキー板に二人の選手が乗る新種目スキージャンプ・ペア。 その普及に人生の全てを賭けた物理学者と彼の双子の息子達の情熱と挑戦。 幾度もの挫折を乗り越えついにはトリノ・オリンピッグの正式種目に認定されるまでを、 各国の選手達の華麗な飛行を交え描く感動のドキュメンタリー。
という内容のバカ映画の新境地。澄ました顔して細部まで徹底的にバカ。 今というタイミングで最大限に楽しめるバカ好き必見の一本。