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【2004/10/19】アンブシャー考−その2−口の中はいったい?
アンブシャーの一環として口の中はどうすればいいのだろう?そもそも口の形であるとかは外から見ればだいたいわかります。では口の中は?そのときの喉の状態は?舌の位置は?とか気になることだらけです。それこそ尊敬するクラリネット奏者の吹いているときの横顔をレントゲン写真で撮ってくれて、教則本に載せてくれたらいいのに、なんて思います。

中学2年のとき、クラリネットのパートリーダがクラリネットパート全員に配ってくれたプリントにこう書いてありました。

「ヴォイシングについて。高音(注:いわゆるハイベーというやつ)以下の音程ではoooの発音で、それよりも上の音はeeeの発音を意識して」

クラリネットのアンブシャのまま上記の音を作ろうとすると、喉の形が変わるのがわかると思います。しかし、これやってみると口の形まで変わりそうな弊害があるような気がします。それはちょっとマズイのでは?と思いつつ当時は純情かつ従順な少年であった僕はそれに従っていたわけです。

そうこうしているうちに中学3年になったときのパートリーダに紹介してもらった本がキース・スタイン著「クラリネット演奏技法」(ちなみに僕は中高一貫の学校にいて、吹奏楽部も中高一貫。高校2年生から中学1年生までが同じパートに居られたのです。中学3年といえどもパートリーダは高校2年生。高校生に教えていただける非常にラッキーな身分だったわけです)。僕はすっかりこの本の信者です。とりえず実践してみて得るものが多いし、例えが非常に面白く読んでためになるから。

で、この本の中ではアンブシャーのところで口の中の話しもこと細かく書かれています。その中で特に印象に残るのが、口の奥を弛緩させることというところの説明。「弛緩させる」と言われてもよく分からないし、口の奥を丸く保つのも重要らしいけど。というところで、著者自身の体験が面白いです。口を閉じたままあくびをするというのがクラリネットを吹くときの口の内部の形として説明しやすいし、生徒にもそれを実践させていると。

僕は一度何を血迷ったか合唱団にいたことがありまして、歌を歌うとき、喉は当然締め付けません。むしろできるだけ喉の奥を広げることが重要であります。これ、僕の体験から考えるとクラリネットを吹くときでも当然のことのようです。喉を締め付けて吹いても朗々とした音が鳴るわけはないみたいです。それこそ息が詰まったような音が出るみたいです。で、実際にあくびが出そうになったときに無理に口を閉じてみる。すると、普段あくびをするときに意識したことがなかったくらいに喉の奥が無理なく開いているのを感じられます。そして舌の奥(付け根というか)も無理に引き攣っているわけもなく自然に喉を閉じる為に「緊張して」いるわけではありません。で、この口の奥の形を無意識にできるようになるとなんとなく(人がどう思っているのか実は知りませんが(^^;;)すこーしだけ音が広がったような気がしています。これ意識的にやって長時間練習しているとやがて口の上の鼻に息が抜けるところの蓋をしているようなところの押さえがきかなくなって、楽器を吹いている最中に鼻から息が抜けるようになってしまいます。しかし、クラリネット演奏技法によると、その鼻から息が抜けてしまうんじゃないかというギリギリのところまで口の奥の上のところを弛緩できるのが理想だそうです。弛緩(脱力?力を抜く?)ということは非常にイメージしづらく、意味不明ではあるのですが、そんなことらしいです。で、そういう「ヴォイシング」で高音を吹いてみると、これが面白いように遠くに音が飛ぶイメージがつきます。

中学2年の時の先輩には悪いけれど、上記の意味で、今では全音程においてoooで吹いています。高音がやけに細くなるのはeeeのせいではないか?なんて気もしてきたり。最早素直な少年ではない僕はそう思っています。でも、重要なのはクラリネットセクション全員で「ヴォイシングを揃える」ということだったのだと思います。パートの演奏者全員がばらばらのヴォイシングでいるということは音を揃えるという点で問題があるということで、聞いている人に音の統一感を与える為にヴォイシングをとりあえず揃えさせようとしたことと今では受け止めています。


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