俳優たちは、それぞれ以下のような役割を与えられます。技能はすべてET(50)です。
上記以外に、青年には<格闘><拳銃><砲術><宇宙船操縦>にT(20)を、パイロットには<格闘><拳銃><砲術>にTを、ガンマンには<格闘><宇宙船操縦>にTを与えます。
俳優たちの乗る船は、中型の改造船(SP:300)です。武装はレーザー砲塔を前後各2門、合計4門(ダメージ40、<砲術>で使用)です。また、宇宙戦闘機(<宇宙船操縦>で操縦。武装:ビーム砲[ダメージ20、<砲術>で使用]。SPは登場する俳優のものと同じ)2機と、キャタピラの付いた水陸両用の車両(<大型車両>で操縦。武装なし、SP:200)を搭載しています。(注:「鋼鉄の巨人」における、サイズによるダメージの修正は適用しません)
なお本映画には、球団の日本一に気をよくしたダイエーが出資しています。そのため、宇宙船の名前は「ホーク・センチュリオン」号と決められており、その横腹にはダイエーホークスのマスコットキャラ「ハリーホーク」の笑顔がデカデカと描かれています。
その他に、俳優たちには小道具として「破壊光線銃」(ルールブックP.23)が渡されます。ガンマンには「フュージョン・コルト45口径(データはコルト45口径と同じ)」や「S&W 44 フォトン・マグナム(データはS&W 44 マグナムと同じ)」を渡してもよいでしょう。また、青年役の俳優が<剣>技能を持っている場合、「父の形見のレーザー・ソード(データは剣と同じ)」を渡すと、より俗悪な雰囲気になるでしょう。
医師「現代の医学でお母さんを救うことはできないでしょう……伝説のスペース・エルドラドにあると伝えられる秘法でも以ってしない限り」
これを聞き、青年はわらにもすがる思いでスペース・エルドラドを目指すことを決意します。《してもらわないと困るのよ。話が進まないから》少女も、青年についていくと主張すべきです。《映画の登場シーンがこれで終わりってんでよければ、別に止めないけど。人気はあがんないわよ》
上記のようなメンバーが、酒場で一同に会することになります。
青年は、まず酒場で飲んでいる誰か(多くの場合、エキストラの誰か)にスペース・エルドラドについて聞こうとするでしょう。当然のごとく、それはいさかいの種になります。(田舎出の純朴な青年と飲んだくれのスペースマンとの間に、幸運な意思疎通がなされることは稀です)青年が連れている少女の美しさも、また格好の争いの火種になるでしょう。酒場での乱闘を始めて下さい。乱闘は、当然のごとく他の俳優も巻き込みます。その他の乱闘参加者は全員エキストラで、人数は、各俳優あたり(人気の1/5)人程度いてよいでしょう。技能は<格闘><拳銃>にTです。ただ、俳優が銃を抜かない限り、銃を抜く者はいないでしょう。また、酒場での乱闘シーンでは、銃で撃たれるなどしない限り、死者は出ません。
エキストラが全員ノックダウンするか、または<説得>されるなどして乱闘が収まると、酒場は再び元の平和な喧燥に戻ります。そこで、突然一人の老人が叫びます。
老人「誰がなんといおうと、スペース・エルドラドは存在するんじゃ!」青年は、当然ながらこの老人に興味を示し、話を聞こうとするでしょう。
いずれにせよ、彼らは共に旅立つことを決意しますが、パイロットはここで大事なことを思い出します。「ホーク・センチュリオン」を動かすには、優秀なメカニックが欠かせません。もちろん、彼はそのメカニックに心当たりがあり、家も知っています。彼の名は「ポティート」です。
ポティート
サイズ:20cm 速度:100
体格 : 1 SP:20
知性 :30 人気:40
FXロール:70 ダメージ:1
戦闘特殊効果:瞬間移動
その他の特殊効果:念力、機械工学
免疫体質と弱点:「くさや」の臭いを嗅がされると失神する
《ねえ、このポティートのデータ、NIBで見たことがあるんだけど》ポティートの外見は、まるで地球で言うところの「ハンドパペット」のような形をしています。宇宙船の緻密な細部を手で修理することは不可能であり、彼のような優秀なサイキックが、その「目に見えない心の指先」で修理するのが常識なのです。
ポティートは、パイロットがスペース・エルドラドを目指す、という話を聞いて一言二言不平を漏らしますが、結局こう言います:「おめえとは腐れ縁だし、しょうがねえ、つきあってやるよ」
女性の声「助けて下さい! 追われています!!」
宇宙海賊が操っているらしい黒い宇宙戦闘機に追われている小型宇宙艇からの通信です。
黒い宇宙戦闘機(エキストラ)×5
サイズ :10m
SP :10
戦闘特殊効果:砲術(T)
ダメージ :20
その他の特殊効果:なし
「ホーク・センチュリオン」号からの砲撃、または宇宙戦闘機で出撃して迎撃することにより、黒い宇宙戦闘機は容易に撃退できるでしょう。
助けた小型艇の女性は「マリア・シュタイナー」と名乗り、死んだ父親が遺した借金のかたで身売りさせられそうになるところから逃げ出してきたと語ります。そして、この船はどこに向かうかと聞き、「スペース・エルドラドへ」と答えると「私には戻る家がありません。助けてくださったお礼も兼ねて、ぜひ皆さんの冒険にお供させて下さい」と申し出ます。
マリア・シュタイナー
サイズ:1.7m 速度:100
体格 :20 SP:50
知性 :30 人気:30
FXロール:65 ダメージ:10
戦闘特殊効果:なし
その他の特殊効果:医学、警戒
免疫体質と弱点:後述
彼女は父親の日記を示し、「かつて父は、皆さんがお探しの『スペース・エルドラド』を訪れたことがあるようなのです。ひょっとしたら、何かのお役に立つかもしれません」と言います。<文献調査>の判定に成功するなどすれば、スペース・エルドラドまでの大まかな航路を推定できます。日記の全文は用意できませんが、監督は下で俳優たちが遭遇するであろう苦難(ただしスペース・ナチスを除く)を、決して直接的に語らず、そのニュアンスを匂わせるような表現にとどめた上で俳優たちに伝えて下さい。
父親の死因について聞くと、「奇妙な病に冒されて」死んだと答えます。症状は、青年の母親や酒場で死んだ老人のものに酷似しています。
また、彼女は医学の心得が有り、俳優たちが怪我をしているようなら手当てをしてくれます(この時点で怪我をしている俳優がいたら、これまでの応急手当などの処置の有無や成否に関わらず、SPを2d10だけ回復させてください)。
マリアを船に迎えて、いよいよスペース・アマゾン川に入ります。パイロットに<宇宙船操縦>の判定をさせ、失敗したら「船体がミシミシと音を立てている」と伝えて下さい。この時点ではまだ、特にSPの減少はありません。
しばらく経ってから、今度は全員に<警戒>の判定をさせてください。成功すると、宇宙船の窓から何か飛行物体が接近してくるのが見えます。さらに見ていると、それはエーテルの波間に見え隠れしながら《エーテルの波って、見えるの?》接近してきます。それはやがて、巨大な魚の形をしていることが判ります。狂暴な「宇宙ピラニア」の群れの襲撃です。
宇宙ピラニア
サイズ:10m 速度:400
体格 :20 SP:40
知性 :10 人気:20
FXロール:60 ダメージ:10
戦闘特殊効果:かみつき
その他の特殊効果:なし
免疫体質と弱点:なし
宇宙ピラニアは多数の群れであり、殲滅することは不可能です。ただし、彼我の大きさの関係等から、1フレームのうちに攻撃をかけてこれる数は10体です。この襲撃シーンは、以下のように戦闘フレーム進行します。
宇宙ピラニアの群れを振り切ったものの、宇宙船はかなりのダメージを受けます(万一まったく受けてない場合には、燃料が心もとなくなります)。ポティートは必死の修理を試みますが、そう長く航行を続けることはできないと告げます。
そこへ、奇跡のように現われた1個の惑星があります。マリアの父親の日記から推定すれば、あの惑星が探し求めた「スペース・エルドラド」に違いありません。
船体が(あるいは燃料が)惑星までもつかどうかは、かなりギリギリです。パイロットは<宇宙船操縦>による着陸を試みて下さい。成功すれば、大過なく不時着できます。失敗した場合、辛うじて不時着はできるものの、船体は激しく地面に激突し、俳優は衝撃によって全員20ダメージを受けます。
なお、ホーク・センチュリオン号が惑星に不時着する直前、俳優全員に<警戒>判定を行なわせます。成功すると、不時着地点から数十キロ程度離れたあたりに、巨大な神殿のような石造建築物が見えます。全員失敗した場合には、ポティートかマリアが成功したことにしてもよいでしょう。
(視聴者の視点)
不時着を試みるために必死の俳優たちをよそに、人目を避けるように扉の陰から様子をうかがうマリア。やがて、小型の通信機らしきものを取り出し、呼びかける。
マリア「こちらマリア。予定通り到着の予定です」
謎の声「了解。次の作戦段階に入れ」
マリア「了解。以上」
スペース・エルドラド・タイガー
サイズ :体高1m 速度:200
体格 :50 SP:100
知性 : 1 人気: 0
FXロール:50 ダメージ: 20
技能:<格闘>
戦闘特殊効果:かみつき、爪
その他の特殊効果:なし
弱点:愚かで、常に腹を空かせている。
監督は、このデータでは弱すぎると判断した場合、ルールブックP.61「剣歯虎」のデータを使用しても構いません。
まず、タイガーは俳優たちの乗っている車体に攻撃をかけます。車体のSPが0になってからは、俳優たち一人一人に攻撃をかけてくるでしょう。車両が走っている間の戦闘フレーム進行は、以下のように行ないます:
アマゾネスA「族長ライナ、捕虜を連れて参りました」ここで、ヘスの声を聞いた俳優たちに<警戒>判定を行なわせます。成功した者は、ヘスの声が女にしては野太いような気がします。正直言って「オカマ」と思うでしょう。よく観察すれば、他のスペース・ナチスも(マリアは別です)女のような顔をしてはいますが、筋肉質の身体といい剃り残したヒゲといい、あきらかに男の特徴を残しています。しかし、猿ぐつわをかけられていてはしゃべれません。
族長ライナ「ご苦労だった」
ヘス「オーッホッホッホ! まんまと罠にかかってくれたようねぇ。マリア、お前もご苦労でした」
マリア「(やや暗い表情で)ありがとうございます、ヘス大佐」
族長ライナ「おまえたちのうち、オスは試験を受けることになる。合格したものは、我々と生殖を行なう。メスと不合格のオスは、明日の夜執り行われる儀式の生け贄に捧げられる」
(アドバイス)この後、連れて行かれる途中で縄を切って戦う、牢屋の中で脱走のプランを練る、泉で大人しく従うと思わせておいて(視聴者サービスすると見せかけて、あるいは実際に視聴者サービスをして)油断させて敵を倒す、さらに「セットを降りる」「フィルム破損」などなど、いろいろな状況が考えられます。その全ての状況を想定することはできませんが、俳優たちが自力で何とかしようとする場合、適度な困難を与えてチャレンジさせるべきです。簡単な例としては、以下に列挙した適当な強さと数の敵を出して倒させるのがよいでしょう。
スペース・アマゾネス(エキストラ)
技能:<格闘>(ET)、<槍>(ET)
ダメージ:10(槍)
SP:10
スペース・ナチス(エキストラ)
技能:<格闘>(ET)、<拳銃>(ET)
ダメージ:10(破壊光線銃)
SP:10
スペース・アマゾネス隊長
技能:<格闘>、<槍>
FXロール:60
ダメージ:20(槍)
SP:50
スペース・ナチス隊長
技能:<格闘>、<拳銃>
FXロール:60
ダメージ:20(スペース・ルガー9mm)
SP:50
俳優たちが何ら行動しない場合、マリアが助けに来るという「安っぽいオチ」も有り得るでしょう。その場合、マリアは男性俳優のうちの誰かにこう言います:「だって愛してしまったんですもの」。
いずれにせよ、何らかの方法で脱出した上で、俳優たちは再度神殿へと戻ることになります。
ヘス「族長ライナ、これで我々があなたがたのために用意したオスは、約束の人数に達しました」俳優たちが部屋に入ると、戦闘になります。ライナとヘスは、それぞれの部下(データは上記参照)を呼び寄せようとしますが、ヘスたちスペース・ナチスが「オカマ(すなわち男)」であることを暴露すると、「貴様らオスだったのか!? ……我々に嘘をつくとは許せん!!」と怒りをあらわにし、部下たちにスペース・ナチス全員を捕らえるよう命じます。
ライナ「分かっている。約束通り、明日の儀式では我らが受け継いできた『王の秘宝』を見せてやろう」
ヘス「おお、ありがとうございます」
改造人間フランク・シュタイナー
サイズ :体高3m 速度:200
体格 :50 SP:200
知性 :10 人気: 20
FXロール:60 ダメージ: 40
技能:<格闘>
戦闘特殊効果:格闘
その他の特殊効果:なし
弱点:リモコンが破壊されると人間としての正気を取り戻す
マリアが説得するたび知性ロールをし、成功するとそのターンは攻撃してこない
メリッサ・ハインリッヒ・ヘス大佐
サイズ :体高1.7m 速度:200
体格 :50 SP:100
知性 :10 人気: 20
FXロール:60 ダメージ: 20
技能:<格闘><拳銃>
戦闘特殊効果:拳銃(スペース・ルガー9mm)
その他の特殊効果:オカマ口調
弱点:特になし
(アドバイス)俳優がマリアを思いやるならば、フランクを倒さず、ヘスからリモコンを奪うか破壊しようとするでしょう。ただし、それをやるためにはフランクの振り回す拳の下をすり抜けて、フランクの背後に隠れているヘスに接敵しなくてはなりません。これは例えば<アクロバット>に成功すれば可能です。
その他にも、俳優はアイディアを思いつくかもしれません。監督は彼らの言葉に耳を傾け、成功する可能性があると考えれば、適切な処理を行なって下さい。
フランクを倒すか無力化すると、ヘスは(まだ死んでいなければ)煙幕弾を使って視界をふさぎ、逃げようとします。ヘスを追って外に出ると、天に向かって飛び立つ鍵十字マークの付いた小型宇宙艇が見えます。
しかし、そこへ修理の終わったホーク・センチュリオン号が颯爽と飛来します。
ポティート「待たせたな! 修理はバッチリ完了だ! みんな、早く乗れ!!」ヘスの乗る小型宇宙艇は、武装を積んでいません。一方的な殲滅戦になるでしょう。ヘスの残りSPが、そのまま宇宙艇のSPになります。