猫屋の曲




あ行


愛されるもの (c)1989 作詞・作曲江幡育子・藤井良彦
たくさん曲を作ってると、時として「どうしてこんな曲ができたんだろう」と当人も思ってしまうほどとんでもない作品が産まれてしまうものですが、この曲もそんな曲の一つです。スタート10秒間ですべてが決してます。猫屋で最初に作った曲ですが、代表曲になってます。それのみならず、maimai江幡さん自身の代表的パフォーマンスの一つともいえるでしょう。結局猫屋はこの路線ではこの曲を超えられませんでした。そういう意味ではヴァン・ヘイレンにとっての「エラプション」みたいなものでしょうか。タイトルが「産むのがこわ〜い」だと思ってる人も多いようですが、「愛されるもの」ですのでよろしく。
176bpm Key=E minor


愛してる (c)1990 作詞江幡育子・作曲藤井良彦
ぼくの書くバラードの一つの典型ですね。おまけに三拍子だし。好きなんですよね、こういうの。それだけでなく、曲の盛り上がりのピークがギターソロになってるという身勝手さ(笑)。このソロのつかみは、本当に燃えます。唄が充分盛り上がってから、もう一段シフトアップする感じですからね。実は、一つ一つの音符がまったりしてるので、唄うのがスゴく難しい曲でもあります。一部でカラオケが出回っています(笑)。
112bpm Key=C major

愛は蒼き地平線を超えて (c)1996 作詞・作曲江幡育子・藤井良彦
猫屋では、いろいろ人々の心に深く刻まれた(何が?)曲は多いのですが、みんなに歌ってもらえる「代表曲」というのがないのが気にかかっていたので、一念奮起して書いた曲です。ということで、ぼくの曲の中でも3指に入る、「演歌ロック」の代表作となりました。あまりに気に入っているので、女のコ用の歌詞に加えて、それに対するアンサーソングになっている男のコ用の歌詞も作ってしまいました(詳しくはここ)。前半がフィンガーピッキングスタイルで奏く関係上、キーが女のコ用はAm、男のコ用はEmということもあって、やれ「天国への階段」だ「Wishing Well」だ「空へ」だと、色々言われがちなのですが、そのワンパターンさこそ「演歌ロック」の極意と思って誇りに感じております。
72,92bpm Key=A minor

赤い糸 (c)1989 作詞江幡育子・藤井良彦・作曲藤井良彦
ぼくのメロディー作りの特徴が出まくってる曲です。マイナーで半音進行が多いし、三拍子だし。各連とも歌詞は、前半を江幡さん、後半をぼくが書いてますが、明らかに別物の歌詞ですね。口語体・文語体からして違うし(笑)。その割にこの手のメロディーは、江幡さんも書くんですよね。それでぼくがアレンジして、ディミニッシュとかいっぱい出てくると、どっちの曲か判別不可能になったりします(「天駆ける舟にのって」の項参照のこと)。
140bpm Key=C minor

7/365の涙 (c)1988 作詞江幡育子・藤井良彦・作曲藤井良彦
これは猫屋でやったことはやったけど、厳密には猫屋プロジェクト用のナンバーではありません。それ以前作った企画モノなのですが(くわしくはここ参照)、初期のネタ不足の折に(データがあったことから)アンコール用ナンバーとして繰り込まれ、その後に至っています。松岡直也バンドがバックに入った、本格的ラテンノリの歌謡曲というイメージ(「赤い鳥逃げた」ですか)で作りました。シーケンサーでモントゥーノ奏かすのって、意外とハマっててイケることがわかりました。
104bpm Key=A minor

いっぱいのこれたち (c)1989 作詞・作曲江幡育子・藤井良彦
たてノリ路線の極みです。猫屋最初の半年ぐらいは、こう考えてみると圧倒的にたてノリ路線でしたね。4番の歌詞にはまだ「ストーカー」とかいう言葉すらなかった頃変なメールをいっぱい出されてストーキングされる女性が出てきます(有馬か(爆))。当時のパソコン通信事情が良く分かってなつかしいです。
248bpm Key=E major

か行


ガラスビンの恋 (c)1989 作詞江幡育子・作曲藤井良彦
この歌詞読んでると、ほんとにどうにも救いがないような、暗く重い気分になれます。こういうことばを書けるというのは、それはそれでスゴい才能だと思います。そういうこともあって、封印されてしまいました。それでは曲があまりに不憫ですし、この曲のプロダクションフレーズの間奏も、様式美系でけっこう気に入っていることもあって、実は別バージョンの男のコ用の歌詞を作ってあります(詳しくはここ参照)。
132bpm Key=G minor

きっとなれるから (c)1996 作詞江幡育子・作曲藤井良彦
メッセージ路線の第二弾です。これも元気だしてソングになってます。「負けないで」「きっとなれるから」はどちらも、コミケで販売したオムニバスCDに収録されていますので、そちらで初めて猫屋聞いた人は、そういう路線の人達と思ってしまったかも知れませんね。12弦ギターまで持ち出したのは、時代に迎合しすぎとのそしりを免れないでしょう。まあ、間奏でオリジナリティーをキープしてますが。
108bpm Key=C major

逆行する蝋人形館 (c)1989 作詞江幡育子・作曲藤井良彦
愛されるものとならんで、猫屋を代表する曲です。「歌謡様式美ロック」の極みですね。半音進行が多くて、音とりにくい曲なのですが、勢いがそれを上回って、ちゃんと歌い切っていました。ちょっと谷山さんっぽい(やべー)ピアノ奏き語りスタイルバージョンもあるんですが、そっちは一度も日の目は見てません。様式美なのでギターソロもプロダクションフレーズですが、オルタネイトフルピッキング、エコノミーピッキング、スイープと使い分ける早奏きや、HMP5↓、コンディミ、ホールトーンと次々出てくるおいしいスケールで、ぼくの代表的ギタープレイといえるでしょう。ツカミがなぜかルカサーフレーズというのも含めて(爆)。
164bpm Key=A minor

ここはエリシア王国 (c)1993 作詞江幡育子・作曲藤井良彦
「たかまぁ亭」というTRPGのイベントのテーマソングに使うべく作った曲なので、唄うRPGとばかりに、ぼくの作った曲のワリには、めったやたらとモチーフ数の多い曲です。6曲分近くのネタをつぎ込んでます。ライブではその一回しか公開してないし、おまけにその時は歌詞がイベント用の替え歌という幻の唄です。もっと加えると、この時もう一曲やったのが、猫屋バージョンの「マニキュア団のテーマ」という超珍曲。リズムは一緒だけど、細かいアレンジが違うんですね(ロックバンド形式で奏けるアレンジ)。この時聞けたあなたは運がいい。実は、なんとこのときの同録を持ってる人がいることも知ってるんですが(笑)。
100,156,94,88bpm Key=G major

さ行


Sea Sea Sea (c)1991 作詞江幡育子・作曲藤井良彦
これはライブでやったことはなくて、コミケで販売したオムニバスCDでのみ発表した曲です。ライブを考えなくていいということで、日頃の路線を離れて、当時のハヤリを意識しすぎてしまいました。今聞くとまんまプリプリですね。奥井香さんの声って倍音がメジャー系列が強いので、ブルーノートが入ってもかなり明るいブルーススケールなのですが、江幡さんの声はマイナー系列の倍音が勝ってるので、こういう曲想だと暗めになってしまうようです。その辺がストレートに類似性がでてこない理由でしょうか。
120bpm Key=C major

草原を風が渡る (c)1990 作詞江幡育子・作曲藤井良彦
もともとパソコンゲームのオープニングだか、OVAのテーマソングだか、とにかくインストで業務用に作ったのがボツって、一部作り直した上で猫屋のナンバーとなった曲。これがなかなかファンが多くて、キワモノ縦ノリ路線以外にも猫屋が進むきっかけとなりました。ステージではキーボードを奏くことが多かったのもなつかしいです。でも、ぼくが自分で唄うとなんともコブシが効きすぎちゃうんですよね。この曲。
95bpm Key=C major

た行


大地の声 (c)1995 作詞江幡育子・作曲藤井良彦・江幡育子
いろんな意味で、問題作、実験作だったんですが、結果は意外に好評でした。エニグマ聞いてて「ハウス+ワールドミュージック」っていうのから、「ハウス+日本の童謡・民謡」って思ったのが元です。あとGM音源で、エクスクルーシブ使わない互換性のあるデータでどこまでできるかもトライしました。エフェクトも含め、コルグのGM音源1台でやってます。あと、色々仕掛けはあるけど聞けばわかると思います。聞こえてる通りで。ワンコーラス当り4小節分だけ、江幡さんの作曲した部分がありますが、多分わからないと思いますね。違和感なくつながってますから。唯一ライブでやったときには、フォークっぽくやってしまったので、この曲にとっては先祖帰りという感じでしょうか(笑)。
94bpm Key=A minor

冷たいヒヨコ (c)1990 作詞江幡育子・作曲藤井良彦
アレンジはフォルクローレが入っているのでまぎれがちですが、メロディーそのものは、マイナー演歌にちょっとケルト系の味が入った、典型的な「藤井メロディー」です。これも、じっくり歌詞を読むと心が重くなって、いたたまれない気持ちになる恐い歌です。こういう言葉が書ける才能は、やはりスゴいと思います。データまで含めて30分ぐらいの間に作っちゃった曲です。
88bpm Key=A minor

デカダン (c)1989 作詞江幡育子・作曲藤井良彦
曲は猫屋では珍しいブルースベースで、8Barsブルースを引き伸ばした16小節がワンコーラスになってます。2タイプのアレンジがあって、初期のアレンジは8ビートで、ブルース形式という曲想のまままとめました。ベースもリフパターンになってます。後期のアレンジは自分でも良くわからないくらいスゴくて、P-Funkが第二宇宙速度に達したような怒涛のノリです。退廃もここまで行けば歌舞伎者、といったところでしょうか。
132bpm (110bpm in new version) Key=E major

天駆ける舟に乗って (c)1997 江幡育子
猫屋のライブで、ぼくの個人コーナー(実はコスチュームお色直しコーナー)と称して、ぼくのソロナンバーとかインストナンバーとか企画モノとしてやったライブもありますが、猫屋の公式ナンバーとしては、これが唯一のインストナンバーです。この曲は江幡さんの作曲なのですが、ぼくの作風を知っている人ほど、ぼくの曲だと勘違いしているようです。なんと言ってもぼくがアレンジしてるので、dimやm7b5といったお得意の「平均律コード」が出まくってますし、おまけにインストということもあるのでしょう。でも自分で奏いていてもけっこう納得する曲想ですから、このあたりの曲、大地の声とか、赤い糸とか、その手のメロディーに関してはかなり似たセンスがあるんだと思います。
96bpm Key=E minor

DOLL (c)1989 作詞江幡育子・作曲藤井良彦
女のコバンドにありがちな、ポップパンク路線の曲。この頃はちょうど「いか天」とかバンドブームだったことが思い起こされます。ちょっと聞くと、2分30秒ぐらいの曲に感じるのですが、実は4分以上あることもミソです。
168bpm Key=F# major

な行


猫になる日 (c)1989 作詞江幡育子・作曲藤井良彦
ぼくの得意なメロディーラインですね。これも(笑)。牧歌的なの。アレンジには2バージョンあって、最初のはフュージョンっぽいというか、デイヴ・グルーシン的なAORというか、そういうアレンジでした。その後原点帰りして、より素直なニューロマンティック的な80年前半のブリティッシュっぽい曲想になりました。ドラムには、思いっ切りゲートエコーかけたいあの感じです。イントロとか、特にそれっぽくハマってます(苦笑)。
100bpm Key=B minor

Nekoyoのどうぶつづくし (c)1989 作詞藤井良彦・江幡育子・作曲藤井良彦
「極楽娘」プロジェクトのときに作った、「Hanamiのどうぶつづくし」のパワーアップバージョンです。白いワニの連が、新たにつけ加わりました。元バージョン以上に、歌と唄い手がマッチしたという珍しい例です。それもこういうタイプの曲で(笑)。4ビートのピアノソロは、ぼくが必死にハンコックフレーズを奏いたものです。
112bpm Key=E minor

は行


PAPA (c)1990 作詞江幡育子・作曲藤井良彦
気楽に口ずさんでしまいそうな曲ながら、実は歌詞は発禁モノという深い曲。はっきり言って放送コードギリギリか、要修正かというチェックが入るでしょう。ジョンベネ事件ですね。「わたしはパパのオモチャ」というフレーズは、猫屋でキーボードを奏いてもらった植岡氏の大のお気に入りで、このフレーズを思い出してはよだれを流さんばかりの表情をしていたのが思い出されます。
164bpm Key=A minor

ひとつになりたくて (c)1989 作詞江幡育子・作曲藤井良彦
当時ハヤっていた「ニュー・ジャック・スイング」的なリズムパターンを使った曲。今で言うハウスノリの原点みたいなリズムで、808の音とか多用し、7:5ぐらいにハネてる。こういうノリの大元は、マーヴィン・ゲイ傷心時代の「セクシャルヒーリング」とかそのあたりだとは思うけど。ワンコードなので、60年代末のブルースロックのリフみたいなベースパターンを組み合わせてオリジナリティーを出しました。
100bpm Key=E minor

ぼくは標本 (c)1989 作詞江幡育子・作曲藤井良彦
人体標本が踊り出すけっこうシュールな歌詞なのですが、多くのファンに愛されてる人気の高い曲ですね。この曲は曲・歌詞同時進行で打ち合わせながら作ったのですが、そうでもないとでてこないノリです。実は、戸川純の「パンク蛹化の女」にヒントを得た、たてノリ・パンクバージョンもあり、一回だけライブでやってます。
168bpm (216bpm in new version) Key=G major

ま行


負けないで (c)1995 作詞江幡育子・作曲藤井良彦
このあたりから、一切ライブをやらなくなり、活動が録音もの中心に移行しました。結局、キワモノものでいく限り「愛されるもの」は永遠に越えられないし、色物はま団にお任せすればいいということで、ライブやらないのをいいことに「普通の唄」がこれ以降続くことになります。折からメッセージのある歌詞を持ったバンドがブレイクし出したので、それなりのメッセージを持った唄作りを心がけたつもりです。この唄聞いて、元気を出してくれた人がいるなら、とてもうれしいです。
116bpm Key=A major

見て欲しいの (c)1989 作詞江幡育子・作曲藤井良彦
当時ハヤってたモータウンリズムをもろに取り入れた曲です。歌詞にけっこうキツい言葉がでてくるので、紛らわす意味も含めて思いっ切りポップに振ったのですが、慣れないことはやるもんじゃない。おかげでどぎつさは薄らいだものの、インパクトも薄らいでしまいました。まあ「殺しちゃえ、殺しちゃえ、殺しちゃえ」ですからね。なんか事件が起きたときに関連性をとやかくいわれないで良かった(笑)。
104bpm Key=A major

や・ら・わ行


夢 (c)1975 作詞鈴木緑・藤井良彦・作曲藤井良彦
この唄はもともと、ぼくがまだ10代の頃に作ったものです。作詞者の鈴木緑さんはその後社会人になってからも、業界の先輩としてお世話になってます。当時、鈴木緑さんのヴォーカルで何回かはプレイしていましたが、カラオケを作った勢いで猫屋のアンコールナンバーとしてよみがえりました。リメイクに当っては、元の絶望的な詞に一部手を加え、かすかな希望の香りがする歌詞にすると共に、タイトルも「夢」と改めたので、こちらのバージョンは猫屋のナンバーということでここに入れました。
80bpm Key=E major

迷宮(ラビリンス) (c)1990 作詞江幡育子・作曲藤井良彦
この時期パソコンゲーム関係者の間で、迷路になった競技場の中、チーム対抗でレーザー射撃で実際に撃ち合い点数を競うゲーム、PHOTONが流行っていて、ぼくたちも参戦していたし、猫屋のお客さんの中にもPHOTONチームの常連さんが多かったので、それにインスパイアされて作った、PHOTONのテーマソング。曲の長さが、PHOTONのワンゲームの時間と同じという凝りよう。それだけでなく、パーカッション類の音もイメージを出すため、これ専用にPPGという特殊なシンセサイザーで作ったものをサンプリングしたのでした。
116bpm Key=E minor

LOVE MORE SLOWLY (c)1990 作詞江幡育子・作曲藤井良彦
歌詞だけもらっておいて、曲つけたのはけっこう後になった曲です。もらった当時は初期路線で、雰囲気が合わなかったから。一見普通のポップロックに見えますが、そこはそこ。ポップスの嫌いなぼくの曲だけのことはあって、メジャークリシェの部分には、およそひねくれたコードがつけてあります。これにはノリのいい会場用に、アカペラになってお客さんと掛け合いで唄うという、およそシーケンサーでやるのは無謀なアレンジの別バージョンがあります。
132bpm Key=G major

流星が彼方横切るとき、天使は微笑む (c)1998 作曲江幡育子・藤井良彦
ここまで来ると、猫屋路線とは縁もゆかりもないのサウンドですが、まあ、このメンツならではの曲なのでここに入れます。一応名義は「猫屋外伝」になってますが(笑)。junk.testシリーズの参加曲は、けっこうその年のハヤリを意識しすぎとの一部のそしりのありますが、これもいかにも98年ですね。どうみてもドラムンベース+デジタルロック。ドラムンベースのところにはアシッドも入ってるし。当然(?)作曲は、ドラムンベースのところがぼく、デジロックのところが江幡さんです。江幡さんのデジロック路線はSTRのプロジェクトで定評あるところですが、いい味がでてます。
96bpm Key=E bluenote

わたしの中に…… (c)1989 作詞江幡育子・作曲藤井良彦
これはファンク路線ですね。80年代の半ばとか、けっこうP-Funkとか好きで六本木のウィナースとかで、よくLPあさってたモノです。その成果が「歌謡ファンク路線」で、この曲もその方法論の延長ですね。808とシンベだけのラップのところから、ホーンと共に一気にバンドが入ってくるところなんて……。ギターソロが長くて、思いっ切り奏きまくれるのもミソでした。
112bpm Key=E minor

(98/08/14)



「オリジナル曲大全集」にもどる


「Contents Index」にもどる


はじめにもどる