横川運転区のお別れ会に居合わせた。全くの余所者である私は場違いに思ったが、中へ入ることを許され、ご厚意に甘えることにした。自分の仕事場を家族に見せる人、昔話を聞かせてくれる人の間を、邪魔にならぬようにならぬようにとすり抜けながら、私は私なりの密かな、ロクサンへの暇乞いをしていた。
大勢の人達に囲まれて、峠の主はただ、黙って雨に濡れていた。
「来年、鉄道文化むらで会いましょう!」
と会はしめくくられた。
長い冬が、始まろうとしていた。
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