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映画日記 2025年 (更新中) |
見た映画の記録です。2025年分です。上の方ほど新しく観たもの。 評価は ★★★★★ が最高。
No. | タイトル | 評価 | 感想 |
---|---|---|---|
10 | 異端者の家 Herestic |
★★★ | モルモン教の若い女性宣教師二人が訪問した町はずれの一軒家。迎えたのは人当たり良くハンサムな初老の男。 穏やかな会話は次第に不穏な宗教論議に様相を変え、知らぬうちに密室となった館で、男は彼女たちにある選択を迫る。 密室脱出の頭脳戦を予想してたら、思ったより陰惨で血まみれなホラー展開。にこやかなヒュー・グラントがこんな恐ろしいとは。 高齢男性が自分のフィールドで若い女性にしつこくマウントかましてる、と考えれば単なるゲスな話だが。 宗教をボードゲームに例えたり、モルモン教を直接揶揄したりと結構攻めてるので、アメリカだと物議を醸してそう。 |
9 | ゴーストキラー | ★★★★ | 「ベイビーわるきゅーれ」シリーズでブレイクした高石あかりの初の映画単独主演となるバイオレンスアクション。 同シリーズの監督、アクション監督である阪元裕吾、園村健介がそれぞれ脚本、監督を務め、 シリーズ1作目で敵方主戦力を演じた三元雅芸がバディ役という、 ベビわる組が、高石あかりを改めて世に押し出す映画となった。 ひょんなことから殺し屋の幽霊にとりつかれる女子大生を演じる彼女の硬軟織り交ぜた顔芸・演技・アクションが相当良いし、 一般人だが社会の不正・悪意に自覚的に怒り立ち向かう肚の座った姿も説得力あり。 殺陣の一番ハードなところが憑依した三元雅芸の姿で描かれるのは仕方がないけどちょっと残念かな。 次は、伊澤彩織単独主演作を是非。 |
8 | ロングレッグス Longlegs |
★★★ | ニコラス・ケイジが製作に名を連ね、自身が連続殺人者を演じるオカルトサスペンス。 ネットなどではなぜか低評価が多いのだが、かなり良くできてると思う。常に何か悪いものが映ってそうな不穏なカメラワークが怖い。 宗教的でかつ謎めいた連続殺人とそれを追う捜査官コンビという設定に『セブン』を連想してたのに、 よくわからない力・手段で人が死んでいくのが意味不明と感じた人が多いのかも。 でも理を超えた存在を前提にしたオカルトなので、そのロジックで見ないとね。 岸辺露伴のエピソードの一つであれば高評価になってたかな。 |
7 | フライト・リスク Flight Risk |
★★★ | アラスカの僻地で逮捕されたマフィアの会計士、マフィアのボスの裁判の証人として彼を護送する保安官補、 彼らをアンカレジに運ぶどこか怪しいセスナのパイロット。 登場人物は実質3人、舞台のほとんどは狭いセスナの中だけなのに、上映時間中切れ目なく続く、手を変え品を変えの危機また危機。 よくぞここまでキレイに詰め込んだと感心する職人技のような作品。 |
6 | シンパシー・フォー・ザ・デビル Sympathy for the Devil |
★★★ | 出産する妻が待つ病院に向かう主人公の車をカージャックするエキセントリックな風体の男。 饒舌だが何かかみ合わない言動で主人公を翻弄し、唐突に無関係の人を巻き込む暴力を振るう謎の男を演じるのは 自身もプロデュースに携わるニコラス・ケイジ。 ただ、ニコラス・ケイジがやりそうな役をニコラス・ケイジが演じる、ある意味予想通りの枠を超えない作品。 もうすぐ封切の『ロングレッグス』の前振りと考えておこう。 |
5 | 邪悪なるもの Cuando acecha la maldad |
★★★★ | アルゼンチン発のオカルトホラー。かなり出来が良くて相当に怖い。 悪魔憑きが出没し「教会が終わった」世界。アルゼンチン辺境の田舎町で暮らす主人公が、近隣の家族に現れた「腐敗者」を処理しようとするが、 狡猾な悪魔の虚言に惑わされ、そそのかされて、選択肢を間違い続けてしまう。 もともと生きるのが下手で人生の選択を誤ってきた主人公だが、この間違いの代償は甚大で、 家族や多数の人々を次々と巻き込み拡大する惨劇と絶望の結末に繋がっていく。 映画の中では主人公の周辺しか描かれないのだが、ブエノスアイレスや他の国々はどんな状況になってるんだろう。 |
4 | ハイパーボリア人 Los Hiperbóreos |
★★ | 『オオカミの家』の C.レオン & J.コシーニャ 長編第2作。 実写をベースとしながらも前作のような奇怪な人形やアニメーションがシームレスに混じる、極度にアーティステックな混沌と狂気の作品。 かなり難解で観ていて置いてきぼりになった。チリの政治史を知ってたらついていけてたかもだが。 ピノチェト政権下で行方不明になった若者の名前を連ねる短編『名前のノート』と併映。 |
3 | ヘヴィ・トリップII 俺たち北欧メタル危機一発! Hevimpi reissu |
★★★★ | なんと『ヘヴィ・トリップ』の続編。 前作で起こした騒動で刑務所に収監されている Impaled Rectum の4人が、脱獄してドイツで行われるメタル・フェスへの参加を目指す。 メフィストフェレスのようなプロモーターが持ち掛ける商業主義的成功のための取引が引き起こすメンバー間の軋轢と解散騒動。 ステップアップしたバンドのありふれた危機は前作ほどハチャメチャではないが、下品でくだらないギャグは相変わらずで好し。 それに BABYMETALが出演していることは知っていたが、チョイ役ではなく、かなり重要な役割でストーリーに絡んでいて驚いた。 彼女たちの在り方って商業主義そのものなのは皮肉だが、それも立派なメタル。正解などないんだよね。 |
2 | トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦 九龍城寨之圍城 |
★★★★ | 良かった。香港映画まだ生きてた(本土資本はかなり入っているようだが)。 1980年代香港、九龍城を舞台に、黒社会と住民たちの混戦をハイカロリーで描く。 逃げ込んできた主人公と彼の友人となる若い住民たち、数十年にわたり地域を作り束ねてきた黒社会も含めた大人たち (サモ・ハン・キンポーがいる!)が、それぞれ強くて、高低差を生かした肉弾戦がとにかくカッコよくて燃える。 大人たちから主人公らへの世代交代の主題も胸アツ。 香港返還・九龍城取り壊しが予定されるなか、生き残った登場人物たちが、目まぐるしく変化するだろう香港の未来を想い、 それでも変わらないことがあると語り合うラストは香港映画に対する信念・覚悟を感じさせる。 予定されている続編にも期待大。 |
1 | 敵 | ★★★ | 筒井康隆による同名の小説を映画化。定年から20年弱、妻をずいぶん前に亡くし、 今は一軒家で丁寧な一人暮らしを送る元大学教授の主人公が、 老いにともなう心身の衰え、広がっていく社会との隙間、ふいに湧き上がる性欲に自制を失い、 不条理な白日夢に囚われていく。そしてそれらは、近づく「敵」に関するネット上のニュースとして形を得ていく。 理性と成熟を体現したような主演の長塚京三が、崩壊する現実に狼狽する様、それをモノクロ映像で描く造りに引き込まれる。 その境遇に近づく我が身としては、年齢を重ねた果てのデッドエンド感に気が重い。 |