こちらでは、パズル愛好家ならきっと気に入る書籍を集めてみました。 一応、以下の区分で分類しています。分類間の区別はあまり厳密ではなく、かなり適当です。たぶん入手困難なものが多いと思います。 2021年のサイト再開後に記載したものには記載した日付を記載するようにしました。
各セクションごとにアイウエオ順です。価格・目次等の情報は版によって変わっているかもしれません。
広い意味での遊び一般に関する書籍のうち、パズル色の濃いものです。
書名 | 「遊びの博物誌1」「遊びの博物誌2」 「新・遊びの博物誌1」「新・遊びの博物誌2」 |
作者 | 著: 坂根厳夫 |
出版 | 朝日文庫 1985年/(新)1986年 520円/540円/580円/580円 ISBN4-02-260313-5/4-02-260322-4/4-02-260383-6/4-02-260384-4 |
一言 | このページにある中でどれか一つ、といわれたら迷わずこのシリーズがお勧めです。 朝日新聞社で1970年代後半から80年代前半に連載されていたコラムをまとめた同名のハードカバー版を文庫化したもので、 その際にカラー化やデータの更新など、かなり手が入りました。 だまし絵、いろいろなパズル・ゲーム、からくり、等々知的な遊びの集大成です。いまだに何ら古びることない傑作中の傑作。 |
書名 | 「ゲームのデザイン」 盤上の魔力 |
出版 | INAXギャラリー INAXBOOKLET 1994年 1800円 |
目次 | 「ゲームの誘惑」を誘惑すること / 【図版構成】ザ・ボードゲーム / ゲームの系統と変遷 / ゲームの起源と変遷 / メディアとしての絵双六 / アキヒロとナオキのボードゲーム / 将棋伝来のミステリー / ゲームおたくのゲーム学 / ゲーム・コミュニケーション / 野球カード / 盤上遊戯から電視遊戯へ |
一言 | 知るひとぞ知る、建築系の叢書 INAX BOOKLET からの一冊。古今東西のチェスをはじめ、 美しいゲーム盤等が紹介されている他、ゲームの歴史に関するコラムが充実しています。 |
書名 | 「ことば遊び悅覽記」 |
作者 | 著: 塚本邦雄 |
出版 | 河出書房新社 2023年(初版1980年) 2850円 ISBN978-4-309-03110-1 |
目次 | 遊楽の序 / 古代詩歌 / 十世紀のアラベスク和歌 / いろは歌今昔 / 回文 / 折句七変化 / 続・折句七変化 / 野馬台詩 / 形象詩と詞絵 / 幾何学形詩 / 続・幾何学形詩 / 輪状詩・循環詩 / 補遺余滴 |
一言 | このサイトには言葉遊び系の本が少ないのですが、その穴を埋めてなお溢れる一冊。 万葉の和歌から現代詩にいたる日本の詩歌、漢詩や西欧の形象詩などに込められた古今東西の言葉遊戯を高密度で網羅した、 奇書と呼ぶのがふさわしい大著です。 なぜか旧仮名遣いで面食らうのですが、通していくとその読みづらさも味わい深くなってきます。 帯の竹本健治氏による推奨文「宝典である以上に毒の蜜 本書を手に取る者は、あまりの過剰さはそのまま毒であることを思い知るだろう。」 は全くその通り。[2024年4月記] |
書名 | 遊びの百科全書4「図形工房」 |
作者 | 編: 野口広 |
出版 | 日本ブリタニカ 1980年 1500円 |
目次 | GALLERY OF FIGURES / 遊びのなかの幾何学 / トポロジーにみる遊びの要素 / 図形の楽しみ / マッチ棒の幾何学 / 前方後円墳の形態と機能 / アラベスクへの視覚 / 謎の文様 ― 直弧文 / 古代の図形パズル / 図形の魔力 / 地図という図形 / 折り紙による楽しい立方体遍歴 / 多面体モデル・タングラム・あやとり / 図形は動く |
一言 | 紋章やケルト模様、アラベスクといった模様、折り紙やタングラムといった遊び等を
幾何学的な視点から考察した小論で構成されています。 『遊びの百科全書』は全10巻からなる、なかなか充実したシリーズだったようで、一応タイトルを並べておくと、 1. 言語遊戯, 2. アイ・トリック, 3. レンズ・マジック, 4. 本書, 5. 暗号通信, 6. 人形からくり, 7. 玩具館, 8. 装置実験室, 9. ミステリ・ナンバー, 10. 迷宮幻想 添えられた言葉は「人間は人間であるときだけ遊ぶ。遊んでいるときだけが人間なのだ」 誰の言葉か知りませんがムチャクチャ格好いいですね。 |
書名 | 「世界のゲーム事典」 |
作者 | 著: 松田道弘 |
出版 | 東京堂出版 1989年 2900円 ISBN4-490-10266-6 |
目次 | やさしい即席ゲーム / ダイスを使うゲーム / ドミノ・ゲーム / チェスとその仲間たち / 将棋とそのバリエーション / チェッカー / さまざまなオリジナル・ゲーム / さまざまな戦略ゲーム |
一言 | チェスや将棋だけの本ならとりあげないのですが、 「数学ゲーム」に載ってるようなトポロジカルな変わったゲームが多数紹介されてては仕方ない。 チェス、将棋の眷属も豊富で、遊ばないまでもルールを読んでるだけで楽しい事典です。 E・R・バローズ「火星のチェス人間」に出てくるジェッタンなるゲームまでカバーしています。 |
書名 | 「迷宮と迷路の文化史」 “Mazes and Labylinths: A General Account of Their History and Developments” |
作者 | 著: W・H・マシューズ(W. H. Matthews) / 訳: 和泉雅人, 宇沢美子 |
出版 | 東京堂出版 2022年 3600円 ISBN978-4-490-21063-7 |
目次 | イントロダクション / エジプトの迷宮Ⅰ / エジプトの迷宮Ⅱ / クレタの迷宮Ⅰ / クレタの迷宮Ⅱ / クレタの迷宮Ⅲ / エルトリアまたはイタリアの迷宮 / 古代芸術における迷宮 / 教会迷宮 / 芝迷宮Ⅰ / 芝迷宮Ⅱ / 芝迷宮の起源 / 花壇迷宮と小低木迷宮 / トピアリー庭園迷宮あるいは生垣迷路Ⅰ / トピアリー庭園迷宮あるいは生垣迷路Ⅱ / トピアリー庭園迷宮あるいは生垣迷路Ⅲ / 置き石迷宮と岩面陰刻 / トロイ舞踊、またはトロイ競技 / 「麗しのロザモンド」のあずまや / 迷路の語源 / 迷宮デザインと迷路の解法 / 文学における迷宮 / 余禄および結論 |
一言 | なんと、原典は1922年出版。作者が大英博物館の文献を調べつくし、独自のフィールドワークも重ねて迷路と迷宮についてまとめあげた、 迷路研究の原点たる古典的名著の初邦訳です。 歴史や神話、文学作品に描かれたものや、当時の庭園に造作された迷宮を網羅的・体系的に分類し紹介しています。 太古の昔から人は迷路を作り上げ(または見つけ出し)、信仰や娯楽の場としてきたことがよく分かります。[2022年8月記] |
書名 | 「ルイス・キャロル 遊びの宇宙」 |
作者 | 著: マーティン・ガードナー / 訳: 門馬義幸 + 門馬尚子 |
出版 | 白揚社 1998年 3000円 ISBN4-8269-0081-3 |
目次 | フィクションと詩 / 日記 / 手紙 / 本と記事 / いろいろな遊び / ダブレット / ゲームのパンフレット |
一言 | 「不思議の国のアリス」で有名なルイス・キャロルは、 論理パズルや言葉あそびでも多くの作品を残しています。この本では特に言葉遊びが充実しています。英語ですけどね。 |
工芸とか建築とか芸術に属する話題で、パズルの匂いのする書籍です。
書名 | 「イメージの回廊」 |
作者 | 著: 板根厳夫 |
出版 | 朝日新聞社 1987年 2300円 ISBN4-02-255700-1 |
目次 | 球面絵画 / クロース・パッキング / 無限感覚 / 縮小する世界 / デューラーのかくし絵 / 地球感覚 / からくりの美学 / 視覚距離 / 物性芸術 / 人工自然 / 心眼模様 / 空想生物 / パノラマ感覚 / 動物の目 / 超空間 |
一言 | 直接のつながりはないものの、 「遊びの博物誌」シリーズの続編といっていいでしょう。『科学朝日』他で連載されていたエッセーをまとめたもの。 |
書名 | 「イスラム文様事典」 |
作者 | 著: 高橋由為子, 岩永修一 |
出版 | 河出書房新社 1989年 1359円 ISBN4-309-26110-8 |
目次 | カラー図版 / 幾何文様I / 植物文様 / 人物文様 / 幾何文様II / 文字模様 |
一言 | イスラムの人たちは、複雑で壮麗な繰り返し模様を多く創り上げました。 特に幾何学的文様はすばらしく、M・C・エッシャーも作品の基本としています。 もちろん、デザイン事典的な書籍は他にも多いのですが、この本は値段の割に幾何学模様が豊富です。 |
書名 | 「エッシャーとペンローズ・タイル」 |
作者 | 著: 谷岡一郎 |
出版 | PHPサイエンス・ワールド新書 2010年 800円 ISBN978-4-569-79062-6 |
目次 | エッシャーの進化する「次元」 / ペンローズ・タイルの誕生 / 平面を埋めつくす幾何学模様 / 非周期パターンと準結晶 / ペルシア, 十五世紀 / エッシャーのさらなる飛躍 / 三次元のペンローズ・キューブ / 学問を楽しく |
一言 | 奇妙で美しい特性に基づき平面や空間を充填する、エッシャー、ペンローズ、 さらには15世紀のイスラムの無名のデザイナーの仕事を丁寧に整理し解説します。 面白いのは、著者がいわゆる理系の研究者やデザイナーではなく、犯罪学、ギャンブル社会学、社会調査論を専門とする、この分野については素人とも言える人で、 趣味を突き詰めてこの領域に至ったのがすごいです。 |
書名 | 「M・C・エッシャー 数学的魔術の世界」 |
作者 | 訳: 岩成達也 |
出版 | 河出書房新社 1976年 3900円 |
一言 | 改めて取り上げるにはあまりにも有名すぎるエッシャーですが、一冊ぐらいは紹介しておきます。自選画集です。 |
書名 | 「オリガミクスI 【幾何図形折り紙】」 |
作者 | 著: 芳賀和夫 |
出版 | 日本評論社 1999年 2800円 ISBN4-535-78293-8 |
目次 | 60°をもとにした平面図形 / 60°をもとにした立体図形 / 定理折り(芳賀第1・第2・第3定理) / 正方形から正方形図形 / 角度の多い正多角形 / 正五角形 / 正五角形からの発展図形 |
一言 | 目次を見てもらえば分かるとおり、幾何学的な図形を折り紙でつくる本です。 ここで紹介している「多面体の折り紙」 を技法書とするなら、この本は研究書。 |
書名 | 「鍵のかたち 錠の不思議」 |
出版 | INAXギャラリー INAXBOOKLET 1990年 1200円 |
目次 | 近代を解く鍵 / 鍵穴から覗いた鍵と錠の文化史 / 鍵と錠の技術史 / 鍵と錠の歴史 / 日本の建築と鍵 / ヨーロッパ/鍵のシンボリズム / 密室殺人と鍵 / 人体という究極の鍵 / 鍵のかかる女 / 「アイ」の鍵あけ事件 / 目に見えぬ鍵 / ちょっとヘンなカギ |
一言 | INAX BOOKLET からの一冊。古代エジプト、中世ヨーロッパ、中近東、 アジアの様々な鍵や日本のからくり錠などが美しい図版で紹介されています。 錠というのは、なかなかミステリアスなもので、その機構の精妙さには目をひきつけられます。関連コラムもなかなか。 |
書名 | 京大人気講義シリーズ 「かたちのパノラマ」 |
作者 | 著: 宮崎興二 |
出版 | 丸善 2003年 1900円 ISBN4-621-07174-2 |
目次 | プロローグ / かたちを探索する / かたちを表現する / エピローグ |
一言 | 著者は京大大学院人間・環境学研究科教授。円と正方形というシンプルな平面図形からタイル貼り、多面体を経て、 様々な曲面の生態や図形の表現方法を概観しています。 ちょっと妙な決めつけが散見されますが、面白い本だと思います。 |
書名 | 「かたち曼荼羅」 |
作者 | 著: 板根厳夫 |
出版 | 河出書房新社 1991年 2500円 ISBN4-309-26158-2 |
目次 | タブー / 迷路 / 亀卜 / 顔 / ジョイント / 触覚地図 / アール(R) / 波紋 / かくし絵 / 拡大写真 / ゼリー・フィッシュ / めくら歴 |
一言 | 1976年発行の初版を新装して再発行したものです。 「遊びの博物誌」シリーズと同様のテーマですが、 より"かたち"というテーマを追求したものとなっています。 |
書名 | 「空想工房の絵本」 |
作者 | 著: 安野光雅 |
出版 | 山川出版社 2014年 1900円 ISBN978-4-634-15054-6 |
一言 | 2020年12月に亡くなられた安野光雅氏の画集から一冊を紹介します。 これは、雑誌「数理科学」の1969年~1980年の特集号表紙として描かれた作品を集めたものです。 数学の思索を織り込んだ作品と、添えられたエッセイからなる120ページ。[2021年6月記] |
書名 | 「サイエンスクラフト」 |
作者 | 著: 田中更士 |
出版 | 美術出版社 2009年 4700円 ISBN978-4-568-14322-5 |
目次 | SPHERE 【球体】 / CUBE 【立方体】 / AGGREGATE 【集合体】 / COMPLEX 【複合体】 / POLYHEDRON 【多面体】 / PRISMATIC RINGS 【柱状鎖】 / Production process 【制作プロセス】 / Diagram drawing technique 【図形描法】 |
一言 | 紙を切り、折り、貼り合わせ、編み込み、組み合わせて作る364点にも及ぶ幾何学的立体図形。 この道を極めた作者の偉業は、構造から色彩まで美しい。[2021年6月記] |
書名 | 「錯視芸術の巨匠たち」世界のだまし絵作家20人の傑作集 “Masters of Deception – Escher, Dali & the Artists of Opticak Illusion” |
作者 | 著: アル・ケッセル / 訳: 坂根厳夫 |
出版 | 創元社 2008年 4800円 ISBN978-4-422-70044-1 |
目次 | ジュゼッペ・アルチンボルド / サルバドール・ダリ / サンドロ・デル=プレーテ / ヨース・ド・メイ / M.C.エッシャー / 福田繁雄 / ロブ・ゴンサルヴェス / マチュー・ハマーケルス / スコット・キム / 北岡明佳 / ケン・ノールトン / ギド・モレッティ / ビック・ムニーズ / オクタビオ・オカンポ / イシュトバン・オロス / ジョン・ピュー / オスカー・ロイテルスバルド / ロジャー・シェパード / ディック・タームズ / レックス・ホイスラー |
一言 | 人の目を欺き混乱させることが楽しい錯視芸術を代表する新旧20名の作品を紹介する画集です。 この中の何人かの作品を知っていて好きだと言う人は、とにかく手に取ってみるべきです。 それ以外の芸術家でもそれぞれの素晴らしさに嘆息すること間違いなしです。 |
書名 | 神戸芸術工科大学レクチャーシリーズ 「ジオメトリック・アート」 幾何学の宇宙教室 |
作者 | 著: カスパー・シュワーベ , 石黒敦彦 |
出版 | 工作社 2006年 3900円 ISBN4-87502-392-8 |
目次 | ジオ・スペースのパノラマ / シンメトリー / スペース・パッキング / プロポーション / コネクション / キネマティックス |
一言 | 神戸芸術大学で2002-2003年で講座を持ったスイス人芸術家/科学者、「幾何学の魔術師」ことシュワーベ氏が、 宇宙の美的構造を明らかにし、さらに実演して我々の前に見せてくれます。 抽象的なものとして隠れている静的・動的な幾何学構造を、現実の芸術的作品として具現化する手腕には感動です。 |
書名 | 「次元の中の形たち [増補版]」 |
作者 | 著: 戸村浩 |
出版 | 日本評論社 1990年 3883円 ISBN4-535-57886-9 (1982年発行の増補版) |
一言 | 『数学セミナー』で連載されていたコーナー(の一部)を一冊にしたものです。 作者の戸村浩氏はデザイナーで、折りたたむと別の形になったり、ピタゴラスの定理を視覚的に証明する仕掛け等、 幾何学的で動きのある楽しい作品が多数掲載されています。 |
書名 | 「図解 木工の継手と仕口 増補版」 |
作者 | 著: 鳥海義之助 |
出版 | 理工学社 1987年 2900円 ISBN4-8445-8536-3 (1980年発行の増補版) |
目次 | つぎ手について / 仕口について / 工作の基本 |
一言 | 継手・仕口とは、木の柱をつなぐのに釘や金具を使うのではなく、複雑な切り込みを
入れた木材を組み合わせる技法で、古い日本建築などでよく使われています(素人の説明なので不正確な上に分かりにくいですが)。
つまりあくまで実用的な技術なのですが、デザインとしても美しいものが多く、また、継ぎ合わされた外面からは想像もつかない内部構造だったり、
そもそもある種の不可能物体に見えるものもあったりで、パズルファンとしては見逃す手はありません。 実用一点張りの技術解説や建築史的な書籍もありますが、私が一般書店で探したところでは、 この本がもっとも図版が多く見て楽しめるつくりになっていました。 |
書名 | 「多面体の折り紙」 正多面体・準正多面体およびその双対 |
作者 | 著: 川村みゆき |
出版 | 日本評論社 1995年 2900円 ISBN4-535-78224-5 |
目次 | 正多面体と準正多面体 / 双対多面体 / その他 |
一言 | 5種類の正多面体すべてをはじめ、総数50種を超える立体を折り紙でつくってしまう本。
折り紙なのでもちろん定規もコンパスも使いません。すごい人がいたものです。 幾何学的折り紙については、ここでは他に「オリガミクス」を紹介しています。 |
書名 | 「デザイン動物園」 アニマル・オブジェの作家たち |
作者 | 文: 遠藤勁 / 写真: 河野利彦 |
出版 | 平凡社 1986年 2200円 ISBN4-582-53905-X |
目次 | 小黒三郎 / 高橋英子 / 太田久幸 / 中林影 / 吉崎もとぞう / 小高辰也 / 森島紘 / 梅田素博 / 平野友一 / 山口マサル / 田代耕司 / 奥嶋雅一 / 吉本由美子 / 武山忠道 / 永廣隆次 / 島添昭義 / 高木敏行 / 進藤貞雄 / 佐藤芳夫 / 山中成夫 / 井村隆 / 望月士郎 / 儘田能光・ミネ子 / 宮尾秀人 / 舟橋全二 / しまづよしのり / 佐藤浩 / 長谷川スーザン / 桜井郁男 / 谷村隆文 / 山田康雄 / ペンギンスタジオ 粟田伸子・小田桐美弥子 / 長谷川淳 / 古渡章 / 飛山裕幸 / 安久利徳 |
一言 | 動物雑誌『アニマ』に連載されていたシリーズとのことです。36組の芸術家・デザイナーによる、 木・紙・針金・ガラス等の様々な素材でできた、動物をモチーフとした作品を紹介しています。 不思議とパズルまたはパズル風の作品が多いのです。動物たちのユーモラスな表情に和みます。 |
書名 | 「naef design ネフのおもちゃ」 |
作者 | 著: クルト・ネフ 他 |
出版 | アムズ・アーツ・プレス 2000年 2800円 ISBN4-946483-05-0 |
目次 | 序 / ネフの玩具が投げかけるもの / 図版 / デザインとおもちゃ / ネフ社のおもちゃ / ネフ・デザイナーのプロフィール |
一言 | スイスの玩具会社 naef社は木製のデザインに優れたおもちゃを数多く製作しています。
かなりパズルなものも沢山あります。この本では美しい図版でそれらが紹介されています。
日本人デザイナーとしては小黒三郎氏や和久洋三氏の作品があります。 naef社の製品については、有名デパート等で取り扱っていますが、商品そのものは結構高かったりしますので、 店頭に一緒に置いてあるカタログがとりあえずお勧めです。2002年版は400円です。 |
書名 | 「福田繁雄のトリック・アート・トリップ」 |
作者 | 著: 福田繁雄 |
出版 | 毎日新聞社 2000年 1900円 ISBN4-620-31459-5 |
一言 | トリッキーな作風で知られるデザイナーの福田氏が自らシャッターを切った、
世界のトリックアートの記録と解説。毎日新聞の連載から。 同旨の書としては、「福田繁雄のからくりデザイン」(新潮社とんぼの本, 1986年)等があります。 |
書名 | 「福田繁雄 標本箱」 |
作者 | 著: 福田繁雄 |
出版 | 美術出版社 1987年 3800円 ISBN4-568-17030-3 |
一言 | 福田繁雄氏の作品集。トリッキーな作品世界を堪能できます。氏の作品集は意外と多いのですが、 この標本箱が一番まとまっていると思います。もちろん、発行が古い分、最近の作がないわけですが。 |
書名 | 「MATH ART マス・アート」 ~真理,美,そして方程式~ “Math Art” |
作者 | 著: スティーヴン・オーンズ / 監訳: 巴山竜来, 訳: 赤池ともえ |
出版 | ニュートンプレス 2021年 3300円 ISBN978-4-315-52327-0 |
目次 | 第1部 普遍性 / 第2部 不思議なかたち / 第3部 旅路 / 第4部 (不)可能性 |
一言 | さまざまな数学的構造を現実世界に顕現させる芸術作品を、その構造の種類ごとに分類して紹介しています。 毛糸のかぎ針編みから巨大なブロンズ作品まで、素材・手法も多様で、他で見たこともないような不思議な作品が並んでいます。 芸術家の想像力ってすごい。[2021年6月記] |
書名 | 「無限を求めて」 エッシャー、自作を語る |
作者 | 著: M・C・エッシャー / 訳: 坂根厳夫 |
出版 | 朝日新聞社 朝日選書 1994年 1456円 ISBN4-02-259602-3 |
目次 | 芸術家か版画家か / 実現しなかった講演会 / 四つの趣味 / 内省的なエッシャー像 |
一言 | メインは、エッシャーが自作について、その理論・作成の経緯を自ら語った講演会資料。 この本の魅力はこれ以上の説明は不要でしょう。 |
書名 | 「眼の冒険」 デザインの道具箱 |
作者 | 著: 松田行正 |
出版 | ちくま文庫 2021年 1500円 ISBN978-4-480-43741-9 |
目次 | 直線の夢 / 面の愉しみ / 形のコラージュ / 文字と遊ぶ / 眼の冒険 |
一言 | 1997年から2004年にかけての「デザインの現場」での連載をもとにした2005年発行の単行本を加筆修正して文庫化。 小口に仕掛けのある特徴的な装丁の一冊です。 「似ている」をキーワードに森羅万象に潜むイメージを渉猟していて、どの話題も今でも古びることなく知的好奇心を刺激してきます。 なかにはだまし絵や並び変えパズルを取り上げている項も。[2021年10月記] |
書名 | 「連続模様の不思議」 タイリング&リピート |
作者 | 著: 藤田伸 |
出版 | 岩崎美術社 1998年 2800円 ISBN4-7534-1372-1 |
目次 | 第1章 タイリング / 第2章 リピート |
一言 | 平面充填図形、繰り返し図形について、オリジナルパターンの作り方を解説している技法書。 図版も美しいし、カラーページの色使いがなんと言うかセンス良し。 |
カタいのやそうでないのや、いろいろな学芸にかかわる研究書のうちパズル風味のものをいくつか。
数学か美学関係が多くなっています。
あとは、ダグラス・ホフスタッターの分厚い例の本とか、スマリヤンの論理パズルも載せたいとは思っていますが、
なにしろ難物なので。まあ、そのうちに。
書名 | バウンダリー叢書 「エッシャーの絵から結晶構造へ」 増補版 |
作者 | 著: 福田宏, 中村義作 |
出版 | 海鳴社 2013 年 1200円 ISBN978-4-87525-296-2 |
目次 | エッシャーの絵画と平面上の繰り返し模様 / 家紋に見るさまざまな対称性 / 一次元の繰り返し模様と二次元のブラべ格子 / 二次元の繰り返し模様とタイル張り / 二次元の繰り返し模様の系統的な作り方(四回割り) / 二次元の繰り返し模様の系統的な作り方(三回・六回割り) / ゴスパーの怪物曲線とタイル張り(三回割り) / パータイリング / 結晶構造と三次元の繰り返し模様へのいざない |
一言 | M・C・エッシャーの作品を糸口に、平面を充填する繰り返し模様を理論的に解き明かし、 作り方を示します。本書を特徴づけるのは、フラクタル模様によるタイリングで、これを体系的に研究・紹介する類書は少ないと思います。[2021年6月記] |
書名 | 「多角形百科」 |
作者 | 著: 細谷治夫, 宮崎興二 |
出版 | 丸善出版 2015年 5800円 ISBN978-4-621-08940-8 |
目次 | 多角形を 【使う】【折る】【切る】【描く】【知る】【解く】 / 多角形で 【遊ぶ】【飾る】 / 多角形に 【頼る】【迷う】【住む】【見る】 / 番外編 |
一言 | 多角形に関する様々な話題を事典形式で紹介しています。 パズルが相当の割合を占めるので、パズル関連文献のページに掲載してもよかったのですが、 この少し下の「多面体百科」とのセットということで本欄に置きます。 入学試験や公務員試験の図形問題なんてものが取り上げられているのも他にはなくて面白いですね。[2021年6月記] |
書名 | 「多面体」 “POLYHEDRA” |
作者 | 著: P・R・クロムウェル / 訳: 下川航也, 平澤美可三, 松本三郎, 丸本嘉彦, 村上斉 |
出版 | シュプリンガー・フェアラーク東京 2001年 4500円 ISBN4-431-70925-8 |
目次 | はじめに / 分割できないもの, 表現できないもの, 避けられないもの / 規則と正則性 / 多面体幾何の衰退と復活 / 幻想性, 調和性, 一様性 / 曲面, 立体, 球面 / 相等性, 剛体性, 柔構造 / 星型多角形, 星型多面体と骨格多面体 / 対象性, 形と構造 / 色を塗る, 数え上げる, 計算で求める / 組み合わせる, 変形する, 飾りつける |
一言 | 誰がなんと言おうとも美しい多面体に関する数学書。確かに数式や証明が満載で、 完全に理解するのが困難なのはやむなしですが、図版も多く、また、 多面体研究の歴史や美学的観点からのアプローチなど多面的な視点に、(一部の人には)必ずや楽しめる大著です。 多面体上の四色問題とか、パズル的な話題も取り上げられています。 多面体というモノに対して、少なからぬ人類の知性が注ぎ込まれたことがよくわかる一冊です。 |
書名 | 「多面体百科」 |
作者 | 著: 宮崎興二 |
出版 | 丸善出版 2016年 5800円 ISBN978-4-621-30044-2 |
一言 | 多面体に関する様々な話題を、アイウエオ順に並べて百科事典形式で紹介しています。 図版も多く、見て楽しい一冊です。[2021年6月記] |
書名 | 「美の幾何学」 天のたくらみ、人のたくみ |
作者 | 著: 伏見康治, 安野光雅, 中村義作 |
出版 | 中公新書 1979年 720円 ISBN4-12-100554-6 |
目次 | シンメトリーへの招待 / 対数螺旋と黄金分割 / 紋と文様の魅力 / 寄せ木の世界 / アラベスクへの挑戦 / 遠近法うらおもて / 四次元を見る / 幾何学よ蘇れ |
一言 | 幾何学をテーマとした鼎談集。著者はそれぞれ、対象性にとり憑かれた物理学者、
知的なモチーフで知られる絵本画家、創作パズルで有名な研究者で、その内容はわかりやすくかつ高度。
特に繰り返し模様、平面充填図形に関して多数の図版を交えながらその世界が広く高く展開されていて圧巻です。
繰り返し模様のパターン分類とそれに基づく寄せ木模様の作り方は必見。 発行は古いのですが、私の持っているのは、1997年版で、結構息の長い本です。 復刊なのかもしれませんが、それならそれで、やはりこの本の価値を表しているといえるでしょう。 |
書名 | 「美の図学」 |
作者 | 編: 日本図学会 |
出版 | 森北出版 1998年 7200円 ISBN4-627-08111-1 |
目次 | 美術と図学 / 平面の造形 / 立体の造形 / 絵画の空間 |
一言 | 「美の図学」のタイトルから連想される、ありとあらゆるテーマについて語り尽くした大著です。 扱われるテーマをいくつか列挙すると、平面充填、フラクタル、曼荼羅、自然界の幾何学的パターン、折り紙建築、 空間充填図形、螺旋、高次元多胞体、名画に隠された調和的パターン、等々。 値段は高いですが、その価値は十分にあります。 |
書名 | 神戸芸術工科大学レクチャーシリーズ 「「ふと…」の芸術工学」 |
作者 | 監修: 吉武泰水 + 鈴木成文 / 編: 杉浦康平 |
出版 | 工作舎 1999年 2500円 ISBN4-87502-313-8 |
目次 | 【トマソン観相の記】赤瀬川原平 / 【マンガのコマ学】夏目房之介 / 【都市の無意識=ダンボールの家】宮本隆司 / 【「虫の知らせ」の大事】 藤田紘一郎 / 【空想科学のひらめき】柳田理科雄 / 【「念・忘・解」の道】森政弘 / 【「ふと…」する発明・発見】C・シュワーベ / 【認知の光景】佐々木正人 |
一言 | なんと、これは大学の講義録です。こんな講義があるとはいい大学です。
どれもそれなりに面白いのですが、ここで取り上げたいのは、C・シュワーベ氏の講義です。
タイトルは「キネマティック・セレンディピティと動く幾何学モデル」。
シュワーベ氏は幾何学的なアートに秀でた芸術家で、金属製のリングや針金やはとめ返し等から構成される可動式の、
なんと言うか「作品」(*)を実演しています。
ペンローズタイルとかバックミンスター・フラーのテンセグリティも題材となっています。 *: 読んで分かるとおり、言葉だけではとても説明できません。実際見て見ないと... 2001年冬にシュワーベ氏の作が一般書店で発売されましたので、一度手にとってみてください。 本ではないのに書店にあります。「ガジェットブックス・メビウスの卵2【光の万華鏡 ペンタキス】」 (エクスプランテ 3800円 ISBN4-901300-08-3) それから、2006年に同シリーズから、神戸芸術工科大学における氏の成果である 「ジオメトリック・アート」が出版されました。 |
書名 | NEW 「ペンローズの幾何学」 |
作者 | 著: 谷岡一郎, 荒木義明 |
出版 | 講談社ブルーバックス 2024年 1000円 ISBN978-4-06-536224-2 |
目次 | 「アインシュタイン・タイル」の発見 / 平面充填、テセレーション、ジリ・パターン / 周期タイルと非周期タイル / ペンローズ・タイルとはどのようなものか / 「準結晶」物質の発見 / アインシュタイン・タイルとはどのようなものか / スミス・タイルが示す「5つの特徴」 / 残されたチャレンジ |
一言 | 2023年、あるニュースが世界中に衝撃を与えました(といっても限られた人しか知らない話ですが)。 平面充填できるが必ず非周期的になる「単一の」図形(しかも複数種類)の発見です。 過去50年間にわたり非周期的平面充填図形の絶対的王者であった「2種一組の」図形、ペンローズ・タイルがその地位を明け渡したのです。 ペンローズ・タイル以降、単一の非周期的平面充填図形は存在しないだろうとまで予想されていたのですが、 発見された図形は、正三角形を3分割したパーツを数個組み合わせただけという単純な構造で、 さらに発見者デイビッド・スミスが数学者ではなく在野の愛好家ということに世界は驚愕したのです。 本書は、平面充填図形の性質や研究の歴史、また、非周期性を証明するための数学的アイデア、ツールを丁寧に説明しています。[2024年7月記] |
書名 | 「ライフゲイムの宇宙」 “The Recursive Universe” |
作者 | 著: ウィリアム・パウンドストーン / 訳: 有澤誠 |
出版 | 日本評論社 1990年 3689円 ISBN4-535-78174-5 |
目次 | 複雑さと単純さ / ライフゲイムの世界 / マクスウェルのデモン / グライダーと宇宙船 / 情報とその構造 / 際限ない成長 / 再帰的にみた物理学 / 再帰的なゲイム / ビッグバンと熱の消滅 / ランダムな初期配置のもとでのライフゲイム / フォンノイマンの自己再製機械 / ライフゲイムの自己再製パターン / 再帰的な宇宙 |
一言 | 数学者コンウェイが発明したライフゲームは、平面上の格子に配置されたパターンが、
非常に単純なルールに基づき刻一刻とその姿を変えていくという遊びです。
ところが、この単純な、完璧に決定論的なロジックはパターンを十分なサイズでうまく配置さえすれば、
際限なく自己再製を繰り返し、どんなものでも計算できるコンピュータさえ構成できてしまう、おそろしいポテンシャルを秘めたものなのです。
著者はこのゲームを詳しく解説するだけでなく、現実の宇宙の複雑性・偶然性についても考察していきます。
「ゲイム」なんていう変わった表記の理由は不明ですが。 さて、ここで当然こんな疑問が湧いてきます。「ひょっとしたら、この宇宙も実はミクロのレベルでは、 非常に単純な全く決定的・演繹的なルールで統べられているのではないだろうか?」 そんな人には、『順列都市』(グレッグ・イーガン著 ハヤカワ文庫SF)をお勧め。 |
その他、上記分類に当てはまらない、パズルの感触がある書籍です。 パズルの出てくる小説を主に取り上げてますが、ミステリにパズルではストレートすぎるので載せてません。 確かに「笑わない数学者」(森博嗣, 講談社)にはいくつかパズルが出てくるし、古くは乱歩の「二銭銅貨」もパズルといえばパズルですが。
書名 | 「美しき魔方陣 久留島義太見参!」 |
作者 | 著: 鳴海風 |
出版 | 小学館文庫 2007年 560円 ISBN978-4-09-408210-4 |
一言 | 実在した天才和算家、久留島義太を主人公にした時代小説です。 江戸時代中期の太平の世で、武士(大名から浪人まで)や商人、町人と幅広い層の人々がたしなむ和算は、 測量・租税・金利などの実用的な技法だけでなく、素数の性質にかかわる純粋理論的な研究や、 魔方陣などの娯楽数学も含む、日本独自の数学として発達を遂げていました。 その歴史の中で大きな役割を果たした久留島はまた、詰め上がりが左右対称になるような アクロバティックな詰将棋「曲詰」の祖としても知られています。 さて、本書は、久留島が創る見事な「曲詰」に始まり、クライマックスの魔方陣勝負で彼が編み出す立体四方陣 (4×4×4の升目に1~64の数字を配置し全ての軸方向と4本の立体対角線で数値の和が一定となっているもの。さらに彼の作にはより完全性を増す構造が...) の息を呑む完璧な美しさで幕を閉じます。 しかも、この全てが(作中の劇的な作成過程はともかく)史実として彼の作品だと言うのですから。 この領域はあまり知らなかったのですが、ちょっと踏み込んでみたくなりました。 なお、小説評はこちらのページに。 |
書名 | 「残像に口紅を」 |
作者 | 著: 筒井康隆 |
出版 | 中公文庫 1995年 602円 ISBN4-12-202287-8 (1989年発行の単行本(中央公論社)の文庫化) |
一言 | ここで私がどうこういうまでもない、空前絶後の実験小説。 次々と「音」が消えていき、「あ」がなくなれば「愛」も「あなた」も消えてしまう。そんな世界で小説が小説として成立しているというのは奇跡的。 特に物語終盤では数えるほどしか残されていない「音」が、加速度的に消えて行く中、主人公がそれでも行動を続ける様は感動すら覚えます。 |
書名 | 「瀬越家殺人事件」 |
作者 | 著: 竹本健治 |
出版 | 講談社 2023年 3850円 ISBN978-4-06-533700-4 |
一言 | いろは48文字を重複なく使って作るいろは歌。それを48首つらねて語られる超絶のミステリーです。 しかもその48首はすべて1文字目が異なるという凝りようで、その仕様を聞いただけで作者が特定できる職人芸。 さすがに一つ一つをよく見ると、言葉の選択とか読みが不自然で、お世辞にも出来がいいとは言えないのですが、 それでもこの制約の中で起承転結のある物語を成立させるのは変態的です。 なお、小説評はこちらのページに。 [2024年4月記] |
書名 | 「第三の理 ― ハノイの塔修復秘話」 |
作者 | 著: 根上生也 |
出版 | 日本評論社 1999年 1600円 ISBN4-535-78278-4 |
一言 | 数学小説“MF”(*)を提唱する数学者である著者が
『数学セミナー』に連載していた小説です。
崩壊したハノイの塔(世界のどこかにあり、宇宙の開闢とともに開始され、
完成とともに宇宙が終末をむかえるという伝説もあるパズル)を修復するために幻想的な旅に出る、という話。 *: 数学者の書く小説といえば、個人的にはルーディ・ラッカーが好きですね。 すごくアナーキーなSF(というよりやっぱりMF)が楽しめます。 また、“MF”といえば2001年より『数学セミナー』にMFショートショートが 数ヶ月定期的に掲載されていました。 ちゃんとエンターテイメント志向になっているのは評価できます。 まあ、あまり面白くないものも多かったのですが。 |
書名 | 「フォア・フォーズの素数」 (井上雅彦編『異形コレクション 玩具館』収録 → その後、竹本氏の同名の短編集刊行) |
作者 | 著: 竹本健治 |
出版 | 『玩具館』光文社文庫 2001年 838円 ISBN4-334-73212-7 『フォア・フォーズの素数』角川書店 2002年 1700円 ISBN4-04-873343-5 |
一言 | 4つの4を組み合わせていろいろな数を作る遊び(例えば、(4+4)/(4+4)=1,
(4/4)+(4/4)=2, (4+4+4)/4=3, ...)に主人公がひたすら熱中する物語。
1ページ丸ごと数式の羅列だったりして、これほど縦組版が似合わない小説もなく、
また、読み進むうちに、どうオトすつもりか心配になってくるんですが、意外や驚愕の結末が待っています。
このパズルに精力をつぎ込む著者の姿が目に浮かぶようです。 作者の竹本健治氏は、ペダンティックなミステリで知られる作家で、 全編これ詰め将棋だらけの『将棋殺人事件』などはパズル愛好家としては押さえておきたい一冊です。 |
書名 | 「ヘルバウンド・ハート」 “The Hellbound Heart” |
作者 | 著: クライブ・バーカー / 訳: 宮脇孝雄 |
出版 | 集英社文庫 1989年 291円 ISBN4-08-760167-6 |
一言 | ホラー映画『ヘルレイザー』の原作といえば分かる人には分かるでしょうか。
謎のパズルボックス「ルマンシャンの箱」をめぐる皮膚感覚を刺激するスプラッターホラーの傑作です。
伝説的な細工師ルマンシャンの手による、複雑精緻な構造とオルゴールの仕込まれた漆塗りの六面体
(映画では各面に金細工が施されていました)を開くことができれば、《亀裂》の彼方から現れる魔道士達が永遠の快楽を与えてくれるという。
ところが、現れた異形の魔道士が与えた快楽とは…。 何しろ描写はかなりグロいですから、誰にでも勧めるというつもりはないですけど、その残虐表現の向こうには間違いなくある種の美が存在します。 それにパズルというものの本質の一面を言い当てているような気もします。 なお、小説評はこちらのページに。 |