1996

(並んで歩くからだ)

90分2部構成
初演:東京公演 1996年11月 イーストギャラリー
ヨーロッパツアー:1997年ロンドン、パリ、ケルン、ベルリン

初演:1996.11.20
   EAST GALLERY


テキスト・演出:池宮中夫
振付:池宮中夫/熊谷乃理子
出演:熊谷乃理子/池宮中夫
   川野眞子/野和田恵里花
   佐藤昌枝/廣田あつ子
   玉木美帆/佐藤香織
   高橋伸子/早稲田陽子
   西脇匡子/岡庭秀之
   神林和雄/落合一修
   佐藤信光/近藤良平
   楠田建造/オクダサトシ
   重森一

サウンドソース:畑田裕之
音響:上林崇
照明:福田玲子
舞台監督:黒田隆行
技術監督:石井慶太
舞台監督補佐:吉村俊弘

       中野倫子

演出補佐:上野昌子
コスチュームアドバイザー:若林欣子
衣装制作:亀山昌美
写真:大洞博靖
宣伝写真:箕田圭介
宣伝美術:芹沢ケージ/富宇加淳
映像:西本太郎
制作:笹島陽子
協力:斎木剛/松本もみ
   北島由里香

後援:芸術文化振興基金助成事業
  [社]企業メセナ協議会認定

協賛:EAST GALLERY
   MFIVE ONE
   渡辺整形外科医院
  
(会津若松)
企画制作:Nomade~s



ACT-1
ベル〈鐘〉と呼ばれる市場がある。
巧妙な「うそ」とともに売買されているのは
「血統」という体。
「血統」の決め手は2つ
1.何と並んでいるか?
2.並ばないようにしているのは何か?
19のドアが開き、19のドアが閉まる。
超技巧の純スイ歩行、37億年前の
水たまりから動かす肘、
新しい足の見えないスピード。
行き場を失った「リアル」は無数の
フォルムに施錠され、
観る者のボーダーは、〈やって来なかった私〉
を追いはじめる。
目から落ちる涙、
手から落ちるアイスクリーム。
輝きはじめるノイズ。

ACT-2
「帰れ」という声 ただ行くという
〈私〉。
ドアから次々と出てくるのは、
ドア、ドア、ドア・・・
すべての鍵は開けられたのか?
ギア、ページ、シャッター、
速度のイマジネーションが展開させる
激しいダンス。
一転、絃のような微動のダンスは、
静かで、そして痛切だ。
光で見ることの出来ない、
見失った〈私〉から
虹の涙が落ちる、水のないプールに。
もう一度〈私〉は生まれる。


〈私〉にとって必要なのは並んで歩く〈体〉である。私が「ワタシ」と言うとき、発語するのは〈私〉であり、〈体〉である。誰も振りかえらない、「ワタシ」というその音は〈私〉を傷つける。傷つく〈私〉は、いつ生まれたか?私が〈私〉に気を取られている間も、この〈体〉は、フィルムのように感光を続けている。きっとこのまま、真っ黒になって死んじゃうんだろう。「体は消滅しても私は残るか?」なんて言うお話は、どっちだっていい。わかるのは、うれしかったり、悲しかったり、痛かったり、誰かを暖めたいと思ったり、ほとんどカッコワルイ毎日を、選んだ憶えもないこの〈体〉といつも〈私〉はいるということだ。ドアを作ったのは誰だ?ここは密室か?入り口であり、出口である〈体〉が音をたてる。聴こえてくるのは、五感という〈体〉のボヤキ?〈私〉が生まれた瞬間、地下に沈んだ世界。コトバ以前のその時間の中で〈私〉と〈体〉がこすれ合う、摩擦音としての「ワタシ」。〈私〉の思いがどうであれ、その音は、空気を震わせる。アナタは振りかえるだろうか。 〈体〉と並んで歩ける、新しい〈私〉が必要だ。地下のリアルを抱えて、地上への帰還は成功するか?地下という空間で行われる、新作「side body」は、地上での歩き方と、息の仕方を教えてくれる。



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ABSENT / ZAI / side body / plis / LOW