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- ATI RADEON PCI review -


この頁では、私RjがカリモノのATI RADEON PCI版をPowerMac 7300で試用した印象を書きます。Number Nine Revolution IVや3dfx Voodoo5 PCIといった「失われた」カードとベンチの比較をしつつ、がんがん行きます。(2001.02.08)

  1. 導入
  2. 二次元
  3. 三次元
  4. 結論

ATI RADEON PCI

1.導入

もののはずみでRADEON PCI for Macが流れてきたので試します。詳しく言うと、多分須山さん@はい、須山歯研です!SFオミヤゲか何かのRADEON PCIがWAOさん@Mac日記の日々のYosemiteで試されてダメダメだったので、思い余って私のところへふらふらとさすらってきてしまったのだった、と。須山さんはCrescendoのPCI G3カードを刺した7200でちっと試したけど特に問題はなかったとのことですので、WAOさんのよせみてPCIスロットにはこびとが何か悪ぅいいたづらをしたのかもしれません。

因みに私は「RADEON」をどう読むべきなのか知りませんが(無理矢理仮名表記すると「れいでぃおん」?「れぁでぃおん」?)、面倒くさいので「らでおん」と心の中では思うことにしてます。

さて、そのRADEON PCI版について一応簡単な紹介を。

特徴

#その他詳細は下のリンクからいろいろ探してご覧ください。

必要環境

#OS以外は製品に付属してます。

関連リンク

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2.二次元

てなわけで、早速ベンチその他へGo! まず二次元描画から。

テスト環境

*描画ドライバは、テストに不要なものを適宜外してます。

画質

フォーカスは悪くありません。同じATIの描画回路たるRAGE PROは一体何だったんだ?と言いたくなります。この点で定評のあるRev.IVやProFormance III系から乗り換えても大きな不満は感じないでしょう。17型のモニタで無理して1600x1200にしても、Osaka 10ptの日本語が読めます。(Rev.IVの9ptと同程度の見え具合です。)

一方、色合いは(細かいことを言うとやや)派手です。よく言えばvivid、悪く言うとケバいです。こっちはRev.IV等から乗り換えると(場合によっては多少)不満やもしれません。モニタとの相性などもありましょうけど・・・

#どちらも17型CRT(EIZO FlexScan E55D)での印象です。DVIに繋いだデジタル液晶は(持ってないので)試せてません。

余談ですが、Rev.IVやRADEONと較べるとVoodoo5はフォーカスが甘く、色合いはややぼやぼやしている感じです。と言っても、こだわりのある人以外にとっては大きな問題にならないと思います。(まだじっくり使ったわけではないので、「第一印象」に過ぎませんけど。)

のうとん

お手軽ベンチの代表、古より伝わりしNorton System InfoのVideoてすとです。仮想記憶/ファイル共有/AppleTalkは「切」、「メモリ」コントロールパネルで設定するディスクキャッシュは128KBにしてやってます。猫画ドライバのコンパネの類はデフォルト状態です。グラフは、棒が長いほど高速。

まず解像度1024x768の場合。

System Info video - 24/16/8 bit@1024x768
RADEON 352493599(・・・マチガイぢゃないです。)
V5 PCI 4036921095
   ← のろい   はやい →
Rev.IV 3596791115

次に解像度1600x1200の場合。

System Info video - 24/16/8 bit@1600x1200
RADEON 351494600(・・・マチガイぢゃないです。)
V5 PCI 3656511057
   ← のろい   はやい →
Rev.IV 3406161082

RADEONの8bit(256色)が激烈に低い値を叩き出していますが、今どきこんなカードを刺そうというひとで256色での性能を気にする向きも少ないでしょう。むしろ、解像度を上げても数値が全然堕ちてない&24bit(約1670万色)でRev.IVやVoodoo5と並ぶ数字を出している点に注目すべきです。

のうとんの詳しいデータ

D-Bench

SkaaRj_34で紹介した、D-DOGさん発明のベンチ。Netscape Communicatorを使ってテキストのスクロール速度を見るものです。ここでは、以下の条件で行ってます。

そして、Tak.さんの掲示板(MYSTIC-ROOM GUESTBOOK)、1999年2月分過去ログを使い、上から下までスクロールするのに掛かる時間を測定。

#数字は掛かった時間(秒)ですので、今度は棒が短いほど高速です。

D-Bench - 8/16/24 bit
RADEON 262934どよどよどよ
V5 PCI 243048
   ← はやい   のろい →
Rev.IV 173068

RADEONの24bit色での数字は、恐らくProFormance III系と並んで現在旧PCI Macで利用できる描画加速回路の中では最速です。(どなたかGeForce 2 MXでの数字を取ったらご連絡下さい。因みに表示に使ったフォントはOsaka 12ptです。)

・・・Revolution IVがのろいカードに見える辺り、怖いっすね。。。

画像スクロール

初登場。こんなんでいいのかどうか謎ですが、以下のようなものを考えました。

これら合計127枚(resource forkを削って全部で約19MB)のJPEG画像を使います。HTMLのIMG要素で

  1. たて一列に並べる(BODYの中身は<IMG...><BR>のみ)
  2. よこ一列に並べる(ご法度の<NOBR>を利用)

ものを作り、それぞれをたてスクロール/よこスクロールのテストに。条件は上のD-Benchと同じ:

です。どちらも(1280x960の画像を含むゆえ)余計なスクロール棒を招喚しますが、

  1. たてスクロールのテストでは画像の左端が
  2. よこスクロールのテストでは画像の下端が

表示される状態にしておきます。

で、上から下まで/左から右までスクロールするのに掛かる時間を測定。棒が短いほど高速です。

まず、たてスクロール。

Picture V-scrolling - 8/16/24 bit
RADEON 323752
V5 PCI 313555
   ← はやい   のろい →
Rev.IV 233175

次に、よこスクロール。

Picture H-scrolling - 8/16/24 bit
RADEON 425270
V5 PCI 48 (16bit)5266 (24bit)
   ← はやい   のろい →
Rev.IV 41 (16bit)4796 (24bit)

ここではRADEONとVoodoo5が「いい勝負」です。やや面白いのは、Rev.IVとVoodoo5は横スクロールで16bitの方が8bitよりも速かった点。元の画像が24bitなので減色表示する際の都合でしょうか。縦スクロールではこの逆転現象は生じていないゆえ、ちと不思議な気もします。

D-Bench同様、Rev.IVがのろいカードに見えてきます。実用上、不足の無い速度は出てるんですけど。。。

考察

画質的には特に大きな問題は無いと言えそうです。Revolution IVなどにはやや劣りますが、Voodoo系よりはキレイな画が出ます。速度も、のうとんの8/16bit色の結果さえ見なかったことにすれば不満は出ないでしょう。特にスクロールが速いっす。。。WordPerfect等のアプリケーションでは、速すぎて思ったところで止められないという問題が懸念されます。

現在旧PCI PowerMacのオンボード出力やRAGE PRO等の(古めの)描画加速回路を使っていて、「もう少し速くてキレイなものにしたいなぁ」と思っているならば、二次元描画環境の向上を図るためにRADEONを導入するというのは悪い考えではありません。Appleの現行機種にもATIの描画回路が採用されていますので、今しばらくはドライバの供給も一応OKでしょう。

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3.三次元

テスト環境

(二次元と同じです。)

RAVE

さて本命、有名な三次元ぐりぐりゲームたるUnrealのオープニングデモ(Castle Fly-by)のFPSです。設定はデフォルトではなく、懐かしの「Frank's HQ」です。数字は毎秒の描画枚数ですので、棒が長いほど高速。尤も、max.の値は実際上あまり意味を持ちません。min.avg.を重視すると「数字に踊らされない」ベンチ結果閲覧が可能かと思われます。

#Unreal系の描画エンジンを使ったゲームには、Unreal TournamentやRune、Deus Ex等があります。

##参考の為に、Voodoo系カード(RAVEではなくてGlide描画)の結果も並べます。

Unreal FPS - min/avg/max (640x480)
RADEON:133576
Voodoo5174085
   ← のろい   はやい →
Voodoo2174291
Unreal FPS - min/avg/max (800x600)
RADEON:133370
Voodoo5153980
   ← のろい   はやい →
Voodoo2153872

RADEONのminimumがやや低いのは気になります。。。CPUへの負荷がGlideより大きいのでしょうか。

ここから下、Voodoo2一枚では実現不能な高解像度。

Unreal FPS - min/avg/max (1024x768)
RADEON:123268
   ← のろい   はやい →
Voodoo5153676

UnrealやUTのRAVE renderingでVIDEOメニューから選べる解像度はここまで。Voodoo3/4/5だともっと行けます。

Unreal FPS - min/avg/max (higher resolutions)
Voodoo5143156(1280x1024)
   ← のろい   はやい →
Voodoo5142539(1600x1200)

うーん・・・低解像度では二世代前の三次元描画加速回路であるVoodoo2に敵いません。DDRの本領発揮出来ず、といったところですか。。。色合い(画面の見え方/雰囲気)も、Voodoo系の描画には敵いません。Unreal系の描画エンジンを使ったゲームをする際、RADEONを敢えて選ぶ理由は無いようです。しかし、Voodoo系に縁が無い場合は「一応1024x768でも遊べるしぃ。」なので、そんなに悲観することもないとも言えそうです。(ただ、少し試した範囲では平均FPSから想像する以上に「止まる」瞬間が多々あったのが気になります。。。ハードウェアというよりドライバの問題のような気が。)

#Voodoo2とVoodoo5はRAVEではなくてGlide renderingでの結果です。(Revolution IVのRAVEはこの設定だとavg.が一桁という有り様なので略。。。)また、Voodoo5のFull Screen Anti-Aliasingは切ってあります。この機能は、UnrealやUTのような詳細な壁紙を持つゲームではそんなに効果が見えません(むしろ純粋に画面解像度を上げた方がよいようです)。Pod Racerのようなものだと効果絶大です。RADEONでもこの機能がサポートされるかもしれないらしいという噂がありますが、現時点ではいつになるのか不明。

##Voodoo5の高解像度では・・・33MHz/32bit PCIバスも律速になってますね、きっと。。。

・・・おまけ。kiisさんがSawtooth 500MHzでUnreal TournamentのFPSを取っていたので(2001.01.25記事)、それを含めていくつか並べておきます。オープニング 'City Intro' 周回時のFPS、画面解像度は800x600、設定はほぼデフォルトです。

Unreal Tournament FPS
machinegraphic card/busrenderingmin.avg.max
PMG4/500RADEON/AGPRAVE213983
PMG4/500RAGE128 PRO/AGPRAVE193363
PMG4/500Voodoo2/PCIGlide244060
7300/432RADEON/PCIRAVE162863
7300/432RADEON/PCIOpenGL*62260
7300/432Voodoo2/PCIGlide162959

*UTのOpenGL描画は実験的なものなので、この数字がRADEONの性能を表すとは考えないで下さい。

OpenGL

RAVEやGlideというのはもう古い描画方式、最近の主流はOpenGLへと移りつつあります。多分ATIのドライバもこっちに重点を置いて書かれているのでしょう。OpenGL描画のゲームはいろいろありますので、手元にあった幾つかを試してみました。

てなわけで、FPSの比較こそしてませんが(一応Q3A demo等で取れないことはないのですが・・・暗い過去があるので略。)、Voodoo2のβドライバでやるよりずっと頼もしい感じです、OpenGLゲーム。この方面に関してはFormacのドライバも頼りないところがあるので、RADEONというのは一つの重要な選択肢になるのではないでしょうか。(Voodoo4/5でどうなのかは試してません。一部のゲームではRADEON AGPよりVoodoo5 PCIの方が具合がいいという話も聞きますが、RADEONだと全然ダメということではないようです。)

但し、RADEON PCIがRAGE128 PRO系のカードと較べてどれくらい速いのかはよく分かりません。もしかしたら、33MHz/32bitのPCIバスに刺すんだと大差ない可能性もあります。

尚、AGP版RADEONの各種ゲームでのFPSは、Yuichi 'doc' Kudoさんの「Benchmark」のところをご覧いただくといろいろ分かるかと思います。(音楽を鳴らさない代わりに音声標本周波数を22KHzから44KHzに上げた設定での計測みたいですので、UnrealやUTではこの記事での設定とほぼ「対等」と思ってよさそうです。でも、音楽鳴らさないで軽くなる分がちょっとだけ勝るやもしれません。詳しく吟味してないのでウソかもしれませんけど・・・)

考察

RAVEは驚くほど速くはないけど一応重たいゲームでも遊べる/OpenGLはほぼOK、といったところでしょうか。(Glideでしか動かないゲームというのは多分そんなにありませんし、これから発売されることはまず無いでしょう。)これから出てくるであろう三次元ぐりぐりゲームは殆どOpenGL描画が可能なものになりそうなので、幅広くこういったゲームをしたい場合にはRADEONというのはよい選択だと思います。恐らくProFormance系のカードで遊ぶより問題が少ないはずです。一方、既にVoodoo系カードを刺している場合、それで満足に動いているなら敢えてRADEONを足す意味は希薄です。そこらへん、目的に応じて考えてみるのがよろしいかと。

ゲーム以外の三次元描画には触れませんでしたが、QuickDraw 3DやOpenGLによる描画をするものならばRADEONで問題無いでしょう。既にRAGE 128系のものを有している場合には利益も不明ですけど。。。

ほそく
Macゲーマーの為の三次元指南(原著:Peter Cohen/和訳:Rj)

RAVEだのGlideだのOpenGLだのといった三次元描画方式について簡単にまとめてあります。少々古いものですが、登場する描画加速回路名に懐しさとほろ苦さを感じる以外は特に問題ないと思います。

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4.結論

特殊な二次元ベンチマークと三次元ゲームだけに偏った検証をしてきましたが・・・

個人的には、

なひとにオススメです。

「ゲーム用途ならVoodoo4/5!」と言い切りたかったのですが、3dfxが亡くなってしまった&nVIDIAのカード群がどう出てくるのか不明な今の段階では、ゲーム用途を中心に考えてもRADEONが有力な候補になるでしょう。また、ゲームなど全然しない人にとっても、速度/画質のバランスを考えれば「よくできた」カードだと思います。

一方で、通常の用途ではProFormance II Lite、Revolution IVやProFormance III系のカードに不満を感じてない&OpenGLゲームなんてどうでもいいとか、ゲーム用途にはVoodoo系が入ってる&通常の用途にも特に困ってない、といった方には積極的に勧める理由も見出せません。スペックは結構いい感じなのですが、のろいPCIバスに刺したせいか速度的にそれほどのインパクトは無い、という状態です。(あと、ドライバの仕上がりが・・・いまいちなのやもしれんちん。。。いくら実際上無意味に近い256色でののうとんの結果とは言え、Rev.IVの約半分ってのは・・・ハードウェアの進化を考えると、これはソフトウェアの問題ぢゃないかという気がしまくり。)

謝辞

RADEONを貸与下さった須山さん、ありがとう☆ おかげでいろいろ試せて楽しかったです。また、私に話を振ってくれたWAOさん...と、その原因を作ってしまったWAOさんとこの悪ぅいこびとたち...も、ありがとう☆

それから、快くデータの転載を承諾下さったkiisさん、参考になるベンチマークを公開して下さってるdocさん、実際的なベンチマークを発明したD-DOGさん、こっそりOniの情報を下さったまるあんさん、web記事でPF3/Diablo2に関する泣きを入れていたみみずくさん、Macの3D APIについての記事を書いた&和訳の公開を快諾下さったPeter Cohenさん、普遍性の高いUnrealの設定ファイルを作って下さったFrank Bernierさん、そしてそして、この記事のβテスタをして下さった666ersのみなさんにも御礼申し上げます。

Thanx all!;)

(以上2001.02.05-2001.02.08)

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