“hiroto的”四柱推命入門 第2回


■ はじめに

 さて第2回ですが、第2回ではまず、天干と地支の相互関係について述べたいと思います。さらに地支の相互関係にすすみます。
 なお、この本文を読む前に、「命式雑論」を読んでください。それを読んだという前提で話を進めます。

 当初、干と干の相互関係から書き始めたのですが、天干と地支の相互関係から先に説明したほうがいいと考えました。というのは、“hiroto的”の大きな特徴は、この天干と地支の関係にあるからです。見方そのものは従来のものと同じですが、考え方は独自のものを含んでいます。もちろんすべての本を読んだわけではないので、誰か同じような考え方を提唱したことがあるかもしれませんが。
 私は、この天干と地支の考え方がいわゆる第1の方法で極めて重要だと考えています。ですから、まずこのことから説明することにしました。

- このページの目次 -

■ 天干と地支の相互関係

 ”hiroto”的第1の方法のカギはこの天干と地支の相互関係のとらえかたにあります。

基本的な考え方

 「命式雑論」にも書いていることと重複することがありますがご容赦ください。

 干支というのを、「幹枝」と書いている術者がいます。また、命式(四柱)のことを根苗花果ということがあります。また専門用語の一部は植物の名称を利用しています。命式を植物(樹木、草花)に例えるのは、初期の四柱推命から行われてきています。
 ただ、天干と地支を植物に例えるなら、「幹枝」の幹はいいとしても、「枝」ではなく「支」だと思います。すなわち地支はまさに「支」えるもの、すなわち樹木でいえば根にあたります。これは干支、とくに地支の働きを述べたまでで、「干支」の語源や字源がそうであると言っているわけではありません。
 植物における根は、その植物を土壌に固定し、水分や養分などを供給する働きがあります。命式の地支も似たような働きがあると考えればいいと思います。すなわち、干を支える土台でありエネルギーの源であるということです。なお、この考え方は命式の個々の働きを単に植物に例えただけであり、植物からの類推がすべて命式の見方にあてはまるわけではありません。ここは勘違いなきよう。

 地支が天干を支えるもの(天干にエネルギーを与えるもの)とすると、どの地支がどのくらい支えるのかという問題になります。そこで、よく言われる考え方が、旺相休囚死という考え方です。
 小山内彰氏の『四柱推命学入門』によれば、(『星平会海全書』からの引用であると断ってますが)次のようになっています。なお小山内彰氏はあくまで五行関係についてのみ表にしています。なぜわざわざここで小山内氏の著書を出すかといえば、その本のこの部分がよく書かれているからです。
 それを私は地支の支える力(エネルギー)として、翻案したのが次の表です。


天干
甲乙寅卯亥子巳午辰戌
丑未
申酉
丙丁巳午寅卯辰戌
丑未
申酉亥子
戊己辰戌
丑未
巳午申酉亥子寅卯
庚辛申酉辰戌
丑未
亥子寅卯巳午
壬癸亥子申酉寅卯巳午辰戌
丑未

 よく見るとわかると思いますが、五行で整理すると、旺は五行が同じもの、すなわち助、以下相は生、休は洩、囚は分(地支が天干に剋される)、死は剋(地支が天干を剋す)の関係になっています。
 さて、ではこの順序が地支を支える順序かというと、実は違います。少なくとも“hiroto的”においては。“hiroto的”でいう、地支の支える支およびその作用の強さは基本的には次の順です。実は例外もあるのですが、まずは基本を覚えてください。
    ①旺  ②(旺以外の)通根  ③相
 ②の旺以外の通根とは、天干の五行と同じ五行の蔵干を地支が持っていることをさします。なお、戊己土の通根支はすべて旺ですので、戊己土に②はありません。また休囚死は支えになりません。
 同じような表ですが、表にしてみます。相と通根が重なった場合は通根に入れています。


天干通根
甲乙寅卯辰亥未
丙丁巳午未寅戌
戊己辰戌丑未巳午
庚辛申酉戌巳丑辰未
壬癸亥子丑申辰

 同じ旺や通根であってもその作用の強さには違いがありますが、これは季節や他の十二支との作用によって変わってきます。例えば、甲に対する辰と未は同じ土支の通根ですが、一般的には夏生まれの場合は辰がよく、冬生まれの場合は未の方がよいです。このように条件次第でその作用力は変わってくるのですが、この内容は初心者の域を超えるので、これ以上は論じません。
 まずは、“hiroto的”においては、地支の天干を支える強さの順は、旺→通根→相であるという原則を覚えてください。
 ただ、旺や通根に比べると、相の作用というのはぐっと落ちます。また旺や通根において、三合会局や方合が成立すると、その作用はグンと大きくなるのですが、それは地支どうしの相互作用のところで述べることにします。

天干と地支の生剋

 前項においては、地支は天干を支えることが基本であると述べました。基本はそうだとしても、逆に天干が地支に影響を与えることはないのか、また地支は天干を支えるばかりではなく弱めることはないのか、というような作用上の問題が残っています。その問題をここではとりあげます。

 結論から言えば、天干と地支の相生、相剋というのは、ないわけではないがその作用は弱く、天干どうし、あるいは地支どうしの作用の方が強いということです。天干どうし、地支どうしの作用については、後で述べますが、その相互作用によって、天干地支間の生剋関係はほとんど考慮しなくてよい場合が大半です。
 天干地支の生剋関係について、張楠は『命理正宗』の中で次のように述べています。詳しくは「命理正宗 動静説、蓋頭説」を参照してください。

 例えば、天干に甲木がある場合、命式や行運の戊土を剋することはできるが、地支である巳の蔵干の戊土を剋すことはできない。動を以って動を剋すことは、例えば男と男のけんかのようなものである。やられるのは男であって、その妻や恋人まで害が及ぶわけではない。ただ、害は及ばないかもしれないが、妻や恋人も驚いたり動揺したりすることはありえる。逆に妻や恋人が男同士のけんかに割り込もうとしても、驚かせることぐらいはできるが、相手の男をやっつけるところまでは難しい。(中略)逆に、行運支の蔵干に庚金があっても命式天干の甲を剋すことはできない。地支の蔵干同士で作用するだけである。

 例えがすこし妙ですが、言っていることは、天干と地支の生剋の作用は、全くないわけではないが、完全な生剋とはならない、ということで、上にあげた結論と同じことです。“hiroto的”ではこの考え方を採用します。

天干と月支の相互関係

 月支というのは少し特別です。というのは、月支が季節を示すからです。この季節を重視するところが、四柱推命の大きなポイントの一つです。

 余談ですが、季節感のない国、例えば赤道直下とか南北極とかでは、四柱推命はなかなか成立しないのではないかと思っています。これは検証していませんので何ともいえません。

 ところで、月支はいわゆる月令を重視します。月令についてはすでに第1回で述べたとおりです。もちろん地支ですから、その他の蔵干も考えますが、肝心なのは月令です。このことは、次の次の項の応用編でその理由を述べたいと思います。
 なお、月令のことを月支元命と言ったり、(月令)提綱と言ったりします。元命というぐらいですから、重視していることがわかるでしょう。ただし、私のいう月令は特殊なので正確には堤綱や元命とは違います。

天干と地支の位置と強弱

 この話は、天干の強弱とくに日干の強弱を論じるときに、ごくたまに必要となることがありますので、ここでとりあげるものです。

 天干と地支の相互作用については、月令を除いて近いほど影響が強いと覚えてください。もちろん天干どうし、地支どうしの相互作用にもよりますが、原則はそうです。箇条書きにしてみますと、
   (1)年干は月令、年支、月支、日支、時支の順、ただし日支と時支はそんなに変わらない
   (2)月干は月令、月支、日支、年支、時支の順、ただし時支の方が強いという術者もいる
   (3)日干は月令、日支、時支、月支(月令を除く)、年支の順、時支と月支の順は微妙
   (4)時干は(月令)、時支、日支、月支、年支の順
に作用します。時干には月令が含まれていませんが、私には月令のみとくに時干に働くという感じはしません。ただこれはまだ確定的ではなく、あくまで私の感じであり、判断は保留しておきます。

天干と地支の相互関係の応用1~月令による性格判断

 さて、天干と地支の相互関係について述べてきました。この辺で、実占上での応用について述べてみましょう。理論(というか理屈)ばかり聞かされても面白くないでしょうから。

 さて、巷間の四柱推命本には月令(元命、提綱)の変通星で性格を占う方法がよく書かれています。術者によっては、それはおみくじみたいだ、と否定する人もいます。しかし、私はこの見方は(四柱推命的理屈からすれば)筋が通っていると考えています。以下にその理由を述べましょう。実占の前にすこし理屈っぽい話ですが、以降の“hiroto的”でも同様の考え方をするので、こういう思考方法に慣れてほしいために、ここで取り上げるものです。
 なお、これは私独自の考え方ですので、中国の四柱推命でこう説かれているわけではありません。なお、「命式雑論」はすでに読んで理解しているという前提で述べます。

 説明をわかりやすくするため、例として丙日干の人の場合を考えてみます。日干というのは自分自身のことですから、丙日干の人は丙で示される特質を本質的に有していると考えます。この考え方をもとに、日干自体による性格判断もできるわけです。
 さて、この丙日干の人が冬亥月(月令は壬)に生まれたとしましょう。丙は火ですが、冬の寒い時期の火は勢いがありません。委縮していまします。ひょっとすると雪や氷で消えてしまうかもしれません。すなわち、丙日干の人が冬に生まれると、さっそく厳しい環境にされされて委縮してしまい、それが性格形成に影響すると考えるのは、学問的にどうかは別として、割と自然に受け入れられる考え方ではないでしょうか。この場合壬は七殺ですから、官殺の示すような委縮した性格を有すると考えるのは、納得できると思うのですが。(押し付けがましいか?)
 逆に、丙日干の人が夏巳月(月令丙)に生まれたとすると、夏の火ですからこれは勢いがあります。自然からエネルギーをもらうため、生まれてすぐ活動的になれるでしょう。丙は比肩ですから、比肩的な性格、すなわちエネルギッシュな面を有すると判断するわけです。
 さらに、丙日干で亥月生まれの人について、日支が午であった場合を考えてみましょう。午は丙の旺ですから、丙午日は丙が強いといえます。火のエネルギーが午から与えられるためです。すると亥月だからといって、丙が委縮することはなく、午からもらえるエネルギーで冬の季節を十分に乗り越えられます。月令は七殺でもその七殺に負けることはありません。むしろ七殺をうまく利用することさえできるといえます。すなわち、組織の中でうまくやっていける性格を有するといえます。
 一方、丙午日で巳月生まれだと、他の干支にもよりますが、丙が強くなりすぎます。すなわちエネルギがありすぎて、外界との軋轢が強まります。比肩が強すぎるという象意、すなわち対抗心が強く傲慢な性格になりがちです。
 ここで丙日干をとりあげたのは、火水の剋が説明しやすいためですが、他の干も同じように考えてください。

 もうひとつ月支を重視する理由は、月支が家庭環境、とくに母親を示すからです。性格形成に家庭環境や母親の影響がないとは、いくらなんでも言えないでしょう。(もっとも月支が家庭環境や母親を示すということは暗黙の前提ですが)すなわち、本人からみて、家庭環境や母親が七殺だったり比肩だったりするということです。そういう環境にいれば、そういう性格にもなろうというものです。
 ここで注意すべきは、あくまで本人からの視点であり、家庭環境や母親が亥月(冬)や巳月(夏)の性格を有するということではありません。本人からの視点ではそうみえる、という相対的なものです。

 変通星の示す具体的な性格については、「個性の見方」の「変通星による個性の見方」の表を参照してください。

 月令の次に日干に影響を与えるのは日支です。同様の考え方をすれば、日支による性格判断もできるはずですが、その影響は月令に劣ります。ただ日干支で性格をみる人もいるわけで、それはそれで根拠がないというわけではありません。(ただし納音は別、これは“hiroto的”第2の方法です)

 さて、以上が天干と地支の関係の応用の一つです。もう一つ応用例をあげましょう。

天干と地支の相互関係の応用2~配偶者の有力無力

 日支が配偶者の位であるとは、「命式雑論」で述べたとおりです。
 日干と日支の相互関係から、配偶者の有力無力、すなわち配偶者が力になるかどうかを判断することができます。ただし、この力になるかどうかというのは、吉凶とは別のものです。人によっては配偶者が頼りにならない(というか干渉しない)方がいい場合もあるし、また人によっては配偶者が関わりすぎてだめになってしまうということもあるわけですから、力になるのが吉、力になるのが凶と簡単には片付けられません。
 しかしながら、これを知ることにより、配偶者を選択することができます。男女の仲というのは縁のものではありますが、両親は選べませんが配偶者は選べます。配偶者の選択を開運法としてあげる占い師はたくさんいます。

 さて、力になるならないですが、これは基本的には日支が、①旺 ②通根 ③相 であるかを見ればよいわけです。
 例えば、丙午日生まれの人の場合、地支どうしの影響は別とすれば、配偶者は力になるとみます。ただし、夏生まれで丙が強すぎる場合はそれが仇となります。すなわち配偶者はむしろ凶(いわゆる忌神)となるわけです。
 配偶者に力があるといっても凶となる場合には、往々にして独身を貫くことがあります。本能的に結婚を避けようとするのでしょうか。また結婚離婚を繰り返すこともあります。これはまあ配偶者が悪いのですから当然といえば当然でしょう。
 果たしてどういうふうに表れるのかは、これは日干支だけではなく、他の柱もあわせて見る必要があります。

 それでは、今までの見方、考え方を実際に応用してみましょう。


命式例4

 1946年10月19日戌時生まれの男性を見てみましょう。日干支は丙寅で、月令は辛です。


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 月令は辛ですから、月令は丙の支えにはなりません。地支をみると旺の支はありませんが、通根支は寅と戌(3支)の4支すべてです。月干や時干の戊はそれぞれ旺支である戌が地支にありますから、支えになっています。
 月令の変通星は辛金で財にあたります。火剋金ですから丙としては外部環境を克服しようとします。丙は地支すべてに通根していますから、克服するエネルギーは十分です。したがって、環境をうまく統制できます。こういう場合は自営業とか組織の中でもリーダーになりやすいです。ただ財である辛金が弱いので、得られる成果はわずかです。すなわち儲けは少ないです。しかし財の行運にいけば(その意味は後述)、財を得るはずです。
 日支は通根支ですから力になります。ただし忌神ですので(忌神については後ほど解説します)、結婚生活はあまりうまくいかない可能性があります。もしくは晩婚です。


命式例5

 1952年4月5日生まれの女性をとりあげます。日干支は辛巳で、月令は乙です。


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 月令は乙ですから、辛日干の支えになりません。日支巳は通根です。しかし巳には蔵干に火があり、辛は弱いながらも剋の作用を受けることになります。あと地支には辰が3支あり、これは相ですが、相というのは支えとしてはグッとレベルが落ちます。
 月干甲は月令が乙で助けになり、さらに辰が通根であり3支あります。壬はやはり辰が通根であり3支です。してみると日干は巳に通根しているといっても、他の干(甲壬)に比べるとその力は相対的に弱いです。
 乙が月令で偏財です。辛金は巳や辰のエネルギーをもらうといっても弱いですし、財というのは基本的には日干を弱めます。すなわち財を担うことができません。環境を統制しようとしても統制しきれないわけで、活動力とか統率力とかが発揮できません。
 辛にとって日支巳は唯一の通根支であり、配偶者は力になります。ただし、巳は本質的には火で剋の作用もあるので、必ずしもいい通根とはいえません。巳になにか動揺があればすぐに離婚することになります。
 実は、命式例4の男性と命式例5の女性は夫婦でしたが、結局離婚しました。原因は、男性側の暴力とケチさにあるようです。女性はそれがいやになり家を出ることとなりました。

■ 地支の相互関係

 天干と地支の相互関係については、主に地支が天干を支える関係だとしました。そして、その地支の支えがあって天干の強弱がある程度決まることを示しました。しかし、地支どうしにももちろん相互作用があって、それによって地支の支える力が変わってきます。
 ここではその地支の相互関係について説明します。

相互関係の種類

 地支どうしの関係については、五行関係も全くみないわけではありませんが、それよりも特殊な関係を見ます。それを列挙すると、
   ①三合(会) ②方合  ③六合  ④六冲  ⑤刑  ⑥六害
   ⑦破  ⑧暗冲、暗合
 基本的にこれらの関係は隣り合うことが条件ですが、会と方は3支がそろえばとくに隣り合わなくても成立するとします。
 上に挙げたものうち、“hiroto的”では、⑦破はほとんど見ません。破というのは方位的には90度の関係ですが、四柱推命で重視している人はあまりいないように思います。なお、古書で“破”という場合には冲や刑のことをさしていることが少なくありません。
 ⑧についてはまだ研究中で結論を出していません。昔は大いに懐疑的だったのですが、最近いろいろな命式をみているうちに考えが少し変わってきています。現在は若干懐疑的程度。

 上の①~⑥を表にします。


①三合(会)木局:亥卯未、火局:寅午戌、金局:巳酉丑、水局:申子辰
②方合東方:寅卯辰、南方:巳午未、西方:申酉戌、北方:亥子丑
③六合子丑、寅亥、卯戌、辰酉、巳申、午未
④六冲子午、丑未、寅申、卯酉、辰戌、巳亥
⑤刑辰辰、酉酉、午午、亥亥、子卯、卯子、寅巳、巳申、申寅、丑戌、戌未、未丑
⑥六害子未、丑午、寅巳、卯辰、申亥、酉戌

相互関係の作用

 次に上の①~⑥について、その作用と強さについて述べます。原則的には、この作用は隣合わないと成立しません。ただし三合と方合は3つがそろったときには、離れていても合が成立するとしますが、それ以外は年支と月支、月支と日支、日支と時支の隣どうしでなければ成立しません。

 ①三合は、会(局)とか言ったりしますが、方位的には120度の関係です。このうちの2つが隣合う場合は半会と言い、その局の五行を強めるとします。もちろん2つあるということは、通根(旺も含めて)が2つになるということですが、その数以上の強さとなります。なお、半会においては、卯午酉子が入らないと成立しないという術者となくても成立するとする術者がいます。私はなくても成立するという立場をとっていますが、一種の暗会といってもいいかもしれません。

 ②方合は、東西南北の四方位です。単に方という場合もあります。このうち2つがそろっても半方という言い方はしませんし(ただし私は使うことはあります)、さほど強くなるわけではありません。しかし、例えば木における寅卯は旺ですから、もともと強いといえます。3つそろうと数以上の強さとなります。

 ③六合は、支どうしの結びつきです。通常支合とか単に合という場合はこの六合を言います。この結びつきはかえって天干を支える作用を弱めます。合はある意味縛りとなるので、本来の作用が弱くなるわけです。ゼロになるわけではありません。術者によっては無作用になるとする人もいますが、私は作用が弱くなるが、ゼロではないとみます。また子丑や午未の合は方が一致するので、やはり水や火の通根の作用が強まるとみています。

 ④六冲は、方位的には180度の関係で、蔵干が剋関係になります。支冲とか単に冲とか衝とか言ったりします。これは互いに傷つけあい反発する関係ですので、天干を支える作用はほぼなくなります。これは無作用といってもいいかもしれません。ただし、辰戌丑未の土支だけは、冲を受けると強い作用を生じるとします。いわゆる冲開と呼ばれる現象です。これはまあ特殊な場合ですので、原則は作用を失うと覚えておけばいいでしょう。

 ⑤刑もやはり傷つけあう関係です。ただしその傷つけ度は六冲に劣りますので、まったく無作用になるというわけではありません。刑については、「滴天髄」に「刑と穿とは動いても動かず」とあり、それに従って作用は弱いと断じている術者が多いのですが、私は刑というのは「ばかにならない」と思っています。刑があると災難とか不幸とか遭いやすい感じがしています。とはいえ、どこでどう刑が作用するかは私も一言ではなかなか説明できません。今後実例を通して説明します。

 ⑥六害というのは六冲の六合です。単に害とか穿とか言ったりします。子の六冲は午で午の六合は未です。子の六害は未です。凶なのですが弱いのであまり重きを置かなくていいと思います。が、両親や子供との悪い関係とか病気とかを示すことがあります。すなわち象意を読み取るときには使える場合があります。

 上の地支関係については、例外的な作用があります。それを次に説明します。

解冲と解合

 解冲については、「命理一得 会合解冲」で説明していますが、もう少し詳しく説明しましょう。
 例えば、丙日干で日支が午、時支が子としましょう。丙午日ですから、地支は旺で日干は強いといえます。しかし時支に子があるということは、午と子が隣あっているので、六冲となります。六冲は天干を支える作用を失いますので、丙は支えを失い弱くなります。(ほぼ無作用だがゼロではない)では、この冲は一生存在するかということはなく、例えば行運で未がめぐってくれば、午と未は六合で、これを「合解冲」(合が冲を解く)の作用が働き、子午の冲と午未の合はともに解消して、午は丙を支える力を取り戻して丙は強くなることができます。また、月支に未があれば、未の行運を待たなくても、未と午は隣あっていますから六合が成立し、やはり冲を解くことができます。

合解冲の例  日時支の冲が月支の合でともに解消する

時柱日柱月柱年柱
  冲× 合× 

 『命理一得』の著者である徐楽吾は、先の「会合解冲」では、会は冲を解くことができないとしていますが、私はある程度できると考えています。あくまである程度であり、冲がなくなるというわけではありません。それは「命理一得 会合解冲」のコメントで書いたとおりです。
 逆に、六合は六冲によって解かれます。
 では三合や方合は六冲や六合によって解かれるかといえば、三合や方合が完全に成立した場合には難しいですが、半会の場合は、冲の作用により弱められます。方合のうちの2支がある場合は、方合を無視して六冲が成立するようです。すなわち方合の作用は六合や三合とはやや性質を異にしているように思います。

冲に遇って開く

 「滴天髄」に「生方は動を怕れ庫は開くに宜しく、敗地は冲に逢って仔細に推せ」(論地支)という句があります。すなおに読めば、寅申巳亥は冲されるのは良くなく、丑未辰戌は冲によって開かれるのがよく、子午卯酉は冲の作用をよく見なさい、ということです。ただ、この部分も術者によっていろいろ意見が分かれています。

 私はこの部分をこう解釈しています。冲というのは反発であり、傷つけることが多いものです。四生支すなわち寅申巳亥は動きの激しい支ですから(だから駅馬になる)、これらが冲となると反発も激しく、互いに傷つけるため、地支の作用を失ってしまいます。庫すなわち四墓支である丑未辰戌は活動力が低く、これを動かすには冲を受けた方がかえってよい。もとより皆土支ですから反発の程度もゆるやかです。四敗支すなわち子午卯酉は帝旺支でありエネルギーは強いのですが、帝旺の次は衰ですからエネルギーが弱くなる可能性を秘めているわけで、その場合の冲の作用は何ともいえない、ということではないかと。

 とにかくここで言いたいことは、土支については冲が必ずしも無作用になるということではなく、土支の冲はかえって強い作用を示すことがあるということです。必ずそうかというとそうでもないようなので難しいのですが、ただ土支の冲は例外的な作用があるということは頭に入れておいてください。

地支の相互関係の応用1~六親関係

 これはややおみくじ的な見方かもしれませんが、意外と的中しますので、ここに取り上げる次第です。ここでいう六親とは、変通星ではなく、親子兄弟子女祖先のことです。
 「命式雑論」で述べたように、四柱にはそれぞれ六親の位が割り当てられています。年柱は祖先、月柱は親(兄弟)、日干は自分、日支は配偶者、時柱は子女、という具合です。これらの柱の地支関係をみると、意外と六親との関係にあてはまることが多いものです。もちろん100%ではなく、そう判断するかどうかは慎重に見極める必要はありますが、見方は簡単なのでトライしてみてください。
   (1)年支と月支の冲は故郷や先祖と縁が薄いです。多くは親元を離れます。
      もっとも最近は親元を離れるのが普通なので、さほど意味がありませんが。
   (2)月支と日支、日支と時支が冲の場合は、配偶者との離婚や死別があります。
      あるいは晩婚かなかなか結婚できません。
   (3)日支が行運の刑を受ける場合には結婚生活に不安を生じます。
   (4)日支が六合を受けると結婚になかなか踏み切れません。
   (5)時支が行運の刑を受けると本人もしくは子供に不安を生じます。


例題6

 『命理一得』から、1892年11月16日寅時生まれの男性の命を見てみましょう。


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 地支にのみ注目してみます。年支辰と月支亥は特別な関係はありません。月支亥と日支子は北方を形成しています。日支子と時支寅は特別な関係はありません。間に丑を挟みますが、“hiroto的”では特に見ることはありません。年支辰と日支子は会、月支亥と時支寅は六合ですが、隣あっていないので、その作用はごく弱く、無視してもいいでしょう。
 支の力を弱める関係はなく、亥子が北方をなすことから天干の壬水を強める作用が比較的強い地支になっています。
 年支月支日支がいずれも壬日干の根となりますから、いい悪いは別として力になります。


例題7

 次は『八字応用学宝典』から、1952年12月26日寅時生まれの男性の命を見てみましょう。


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 地支に着目しますと、年支辰と月支子は半会で水局です。月支子と日支午は冲です。日支午と時支寅は半会で火局です。子午の冲のため子と午の通根の作用がほとんどなくなるのですが、それぞれが半会しており、ある程度解冲の作用が働くため、通根の作用を生じます。それぞれ半会ですから、水や火の作用が生じます。天干を支える強さとしては、月令が癸ですから、水の方が強いです。
 子午の冲がありますから、結婚には問題があるでしょう。本によると47歳までは独身だったとのことです。その後はわかりません。


例題8

 『八字応用学宝典』からさらに例を挙げます。1849年7月21日戌時生まれの女性の命を見てみましょう。


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 年支酉と月支未、月支未と日支辰は特別な関係はありません。日支辰と時支戌は六冲です。月支未と時支戌は刑、年支酉と日支辰は六合、年支酉と時支戌は六害ですが、隣どうしではないので、その関係は弱いです。辰戌の冲は作用を失わせるよりも、むしろ作用を強めます。とくに辰は水局の墓であり、水は戊日干の財ですから財庫という言い、冲によって財庫が開くという言い方をします。季節は土用ですから土を支える作用は非常に強くなります。また辰は壬の通根で冲開しますからそれなりに支える力があります。
 夫と死別した女性ですが、不思議とこういう命には日支に冲があるものです。


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   作成  2009年 8月 2日
   改訂  2021年 9月26日  フォームの変更、一部追記


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