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映画日記 2019年 (28本)


見た映画の記録です。2019年分です。上の方ほど新しく観たもの。 このサイトを休止している期間の映画鑑賞記録を別に残していたので、2021年の再開に際してこちらに再構成してアップ。 評価は ★★★★★ が最高。

年度リスト 】 【 ◀ 2020年 】 【 2018年 ▶

No. タイトル 評価 感想
28 スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け
Star Wars: The Rise Of Skywalker
★★★ シリーズ完結作でそれなりに感慨深いが、全体的に薄ペラい。 歴代主要登場人物を全登場させて、話をまとめるために、無理矢理ねじって繋げて、とにかく大団円にしてみた、って感じ。 戦争シーンは敵も味方も上から下までボンクラ揃いで見てられないし、全編あまりにも確率の低いご都合主義連発。 それもフォースの導きか? このシリーズでなければ★2。
27 ゴースト・マスター ★★★ 一部のホラー映画ファンにはやたら刺さるが、それ以外の人には単なる悪ふざけにしか見えないだろう。 深く刺さる側として大笑いしながら、ジャンルへの愛の深さに感じ入る良品。「壁ドンは暴力だ」は名言。
26 EXIT ★★★★ 単純に面白い。こういうの好きなのよね。ベタの連続だし深みとかそう言う要素はほぼゼロだが、緩急のつけ方が巧みで、 「面白い」に特化して極めるのは流石に韓国エンタメ。毒ガスに覆われた街を、高層ビルの屋上を駆け、壁を登って逃げる姿に手に汗を握る。 あんなに都合よくルートやホールドがあるわけないとは思いつつ。 韓国社会の若者の生きづらさが垣間見えるのがいい感じの背景になってる。
25 テルアビブ・オン・ファイア
Tel Aviv on Fire
★★★ 悲惨な歴史に根ざすパレスチナ問題を題材とするコメディを当の当事者が描いたことに感嘆。 ラストは強引に押し切ってるけど、あの人物があの役割を(しかも継続的に)担うのはファンタジーが過ぎる。 でも、パレスチナ問題に対する姿勢は真摯だし、バラ色の結末になりようがない深刻で拭い難い対立の一方で、 お互いの文化、生活への興味、共感を巧みに見せていて、とても良い。
24 ブライトバーン 恐怖の拡散者
Brightburn
★★★ スーパーマンが邪悪だったら、のワンアイデアだがかなり上手い。 怖がらせ方が微妙に子どもっぽい一方で、虫を無邪気に潰すようなタチの悪さも。「オーメン」のダミアンにも通じる感じ。 この後は成長するにつれ、本家スーパーマン同様、自分を隠す術を身につけてもっと悪くなるのだろうね。
23 IT The End
IT Chapter Two
★★★ 丁寧だけど169分は長い! そして前編同様やっぱり怖くない。 地下で死んだあの人物は死体がないので、現実に戻るとルーザーズクラブの面々はかなり面倒に巻き込まれてそう。
22 アップグレード
UPGRADE
★★★ ★4でもいいかな。犯罪に巻き込まれて身体不随になった主人公が最新テクノロジーで逆に超人的能力を得て事件の真相を追う、 といえばありふれた話みたいだけど、脚本がよく練られてて前半の違和感や伏線が綺麗に回収される展開は見事で、また操り人形的アクションも光る。 ただ、真の黒幕はもっと低コスト、低リスクで同じ成果得られる方法あったと思うなぁ。
21 クライマックス
CLIMAX
★★★ ギャスパー・ノエ監督のカオスの極地。集団バッドトリップの様をひたすら垂れ流す映画ともいえる。 自分の肉体を指先まで自在に操るダンサーたちの躍動感溢れるパーティが幻覚剤により次第に阿鼻叫喚の様へと崩壊し、 最後はほぼ痙攣的な動きと叫び声だけになって観客も二日酔いのような状態に。 映画館の観客には老夫婦もいたが大丈夫だっただろうか。
20 フッド ザ・ビギニング
Robin Hood
★★★ いつの時代のどこの国の話だよ、と言いたくなる現代風な世界観は制作者の狙いだろう。 弓矢オンリーのアクションもなかなかスタイリッシュでスピーディでカッコ良い。 またもや香港や中国本土では上映できなそうな、支配者層をかき回し、 虐げられた民衆の革命を扇動するテロリストの話でもあり「ジョーカー」とだいぶ被ってる。バットマン的でもあるけれど。 ツッコミどころは満載だけどこの軽さとノリの良さは好きだね。
19 ボーダー 二つの世界
Gräns
★★★ スウェーデン発の現代を舞台とするファンタジー。 実際にいそうな微妙にトロル寄りの顔でそういう容貌の役者かと思ったら特殊メイクなのね。 でも「醜い」のはヒトの価値観だからで、次第にグロテスクさを増す彼らの生命こそが野生の森では主。 世界を支配する多数派に対する疎外感と呪詛、自分のアイデンティティを確立したら見えてくる多数派の醜さ、は「ジョーカー」にも通じるね。
18 ジョーカー
JOKER
★★★ 良いのは良いのだが絶賛するほどでは無い。「ダークナイト」でヒース・レジャー演じるジョーカーが凄すぎたのと、 「V フォー・ベンデッタ」に似ているのと。現実の社会不安に寄せすぎだ。 ジョーカーが狂気を武器とする復讐者・煽動者になってて、純粋狂気とは言えないところに違和感があるのかな。 香港と中国本土では上映できないね。
17 ヘルボーイ
HELLBOY
★★★ 「ヘルボーイ」リブート。 クエストをクリアすると次のクエストが、というRPG感はイマイチだけど、そんなに悪くない。 終盤、地獄から這い出す巨大な悪魔たちの造形がやたらかっこいい。 ジャガー男、ベン・ダイミョウが元アクチュアリーというのが個人的にツボ。
16 アド・アストラ
Ad Astra
★★ タルくて眠い。月から火星を経て海王星に至る壮大なはずの道程は、途中、武装勢力との小競り合いとか凶暴化した実験動物の襲撃とかあるけど一向に盛り上がらず、 カタルシスもスペクタクルもない。 地球から離れるほどに物語はむしろ主人公の内面や家族との繋がりに向かうばかりで、しかもつまらない。
15 アス Us ★★ 後半は結構なスケールのパニックホラーで、新しい角度から切り込む姿勢は買うのだが、赤い服をまとった彼らの存在の背景が成立していない。 あの大人数はどういう経済に支えられるのか。発端の秘密プロジェクトが終了したならそれなりの始末はされてるはずだし。 大掛かりなアイデアは土台がしっかりしているかうまくウヤムヤにできてないとなぁ。
14 トリプル・スレット
Triple Threat
★★ トニー・ジャーはじめアジアの格闘アクションスター(一般にはマイナーだが)3人を揃えた肉弾バトルはレベル高いが、 話が適当すぎて焦点がボケて何を見せたいのか不明で台無し。 主人公たち、悪の組織、組織に命を狙われる富豪の娘の全員の言動が迷走していてグダグダ。色々もったいない。
13 メランコリック ★★★ バイト先の銭湯が営業終了後に殺し屋の仕事場になると知ってしまい巻き込まれた青年。 東大卒ながら定職に就けずくすぶっていた彼の人生はこれを機にむしろ充実するが、裏社会の魔の手は次第に強く巻きついていく。 同僚のチャラい若者松本君が別の顔を見せてからの急展開が面白い。 現実的にはあれで幸せに終わる訳はなく、警察もヤクザもすぐ彼らにたどり着くはずだが、 でもニート寄り一般人の甘い考えが、裏社会の暴力論理を凌ぐ様は物語としては好き。
12 ゴーストランドの惨劇
Incident In A Ghost Land
★★★ 凝った作りのホラー。前半の不穏な感じも怖いが、中盤でより凄惨な「現実」が立ち現れて狂気と暴力が世界を飲み込む恐怖。 キャンディトラックの二人は悪趣味ホラー定番の造形だがエグい。 それでも未来があるラストで救いはある。気味の悪い人形達は亡くなった伯母の残した守護者だったのかも。
11 感染家族 ★★★ 韓国発ゾンビコメディ。田舎の親父達の野卑丸出しな振る舞いが何とも味わい深い。 主人公(?)のイケメンゾンビが終盤で知性のある行動を取るところは疑問だが、ドタバタコメディ → ラブロマンス → パニックホラーの流れも上手い。 ゾンビ物の要諦が良く分かってるね。
10 ダイナー ★★★ 蜷川実花の色バリバリなのであまり期待してなかったのだが意外と原作の感じは残ってたかな。 登場人物全員の輪郭強すぎ。真矢みきと彼女の配下の宝塚モードは画面に映るたびに笑ってしまう。でも楽しい。
9 ワイルド・スピード スーパーコンボ
Fast & Furious: Hobbs & Shaw
★★★ ハリウッド屈指のアクションハゲふたりロック様とJ・ステイサムが主役を張る、ボンクラ男子狙いの派手アクション。 プロットは穴だらけだが、そちらにベクトルの全てを向けたサービス満点な姿勢は買い。 でも、人類滅亡ウイルスとか改造人間とかそれらで世界の破滅を企む謎のハイテク企業とか、(今作はスピンオフだけど)ワイスピってそんな話だったっけ。
8 スノー・ロワイヤル
Cold Pursuit
★★★ 息子を殺された父親の復讐は雪崩の様に拡大し多くの人を巻き込み、結局誰一人幸せにならない。 名実ともに模範市民の親父が素手や銃でギャングを次々と始末して行くのになぜか違和感を感じず、 厳寒の地では法執行機関に頼らず自力決着するのが普通なのかと誤解しそう。 ノルウェーのサスペンスのリメイクなためか、色々普通でない感じは良い。
7 ハウス・ジャック・ビルト
The House That Jack Built
★★★ 謎の老人との対話で12年の殺戮の遍歴を振り返るサイコパスの連続殺人鬼。 子どもを惨殺しその遺体を淡々と弄ぶような一線を越えたグロテスクな描写の一方、時にコミカル(相当ブラックだが)。 (文字通りの意味では無く)人を食った芸術・宗教談義などタガの外れた作品だが2.5時間ダレずに見られるのは技。
6 キングダム ★★★ コミックは最初の方しか読んでないが、映画化成功例、と言っていいのかな。 過剰に熱いし、嬴政の大望を語る口舌に人々が簡単に巻き込まれるのも単純過ぎだけど、そこが魅力でもあるしね。 大沢たかおに王騎をオファーした制作者の慧眼は素晴らしい。 中国で公開するか知らないけれど、公開するならヒットするといいな。
5 アリータ バトル・エンジェル
Alita: Battle Angel
★★★ やっと実現した「銃夢」の映画化。不自然なデカ目の主人公は観ていると意外と気にならない。 ストーリーはかなり改変されているが原作への理解と敬意が感じられてかなり良い。 ラストに姿を見せるノヴァ役は、エドワード・ノートンだったのか。続編作られるか分からないけどできたら観るね。
4 アクアマン
Aquaman
★★ たまには頭を使わないヤツでも、と観てきたが、これはいくらなんでもなぁ。 中国資本エンタメを超える安っぽさ。地上の風習を知らない海底人がいきなり英語で話し出すところでイヤな感じがしたが最後までそのまま、 無闇に派手なヴィジュアルだけの破綻したストーリー、雑な構成。 赤毛の海底人ヒロインの見た目と海洋生物の造形も含めて、乱暴な『リトル・マーメイド』、ということで総括。
3 ファースト・マン
First Man
★★★★ 人類の英知と理想を集結した、当時の宇宙開発は、国家の威信をかけて理不尽な規模の財と数多の人命を呑み込む非理性の事業でもあった。 しかし、その奥底にある、未知を超え、より遠くへ行きたいという人類の根源的本能に突き動かされるアームストロングとNASAの熱、リアルな映像に圧倒される。 今から見ればあんな粗雑でアナログな装置で月まで行っちゃうんだもんな。また、帰還とそれを待つ人たちの話でもある。
2 ちいさな独裁者
Der Hauptmann
★★★ 敗戦目前の混乱期ドイツとはいえ、かように容易く身分を詐称し権力を振るえるようになろうとは。 そしてこれが実話とは。主人公と、彼の正体に勘づきつつも利用する周囲が共鳴して拡大する狂気と暴力の底の無さが恐ろしい。 ナチス制服の役者たちが現在のドイツの街中を闊歩するエンドロールにゾワゾワする。
1 迫り来る嵐
暴雪将至, The Looming Storm
★★★ 1997年、経営が悪化した国営製鉄企業からリストラされた主人公が、保安員として在職中に関わった連続殺人事件の謎に執着し道を見失っていく。 こんなに骨太で社会批評性の高いサスペンスが作れるのはさすが。中国映画はカネだけ掛けた大味な娯楽作のみにあらず。 国営企業の表彰イベントはそういやあんな感じだったな、と苦笑。