しかし、
黒川先生は応えません。
- なぜサヨコのゲームを始めたのか
- 二番目以降のサヨコと関わりがあるのか
- なぜ、関根秋と津村沙世子に鍵を送ったのか
- “今年のサヨコ”は全て黒川の仕業なのか
という、秋、沙世子、
潮田玲の質問に対しても、黒川は沈黙を守るばかり。そして、玲と沙世子の邪魔はしていないと言いつつも、全てのことを話すのに時間をくれというのでした。
黒川が
サヨコ伝説の首謀者という噂は、その日のうちに全校を駆けめぐりました。そして、いつのまにか、今年の掲示板のメッセージ、
文化祭の出来事も、全てが黒川がやったことのように噂されました。今度こそ学校を辞めさせられそうになっている黒川のことを聞いた秋は、黒川を訪ねることにします。
一方、教室の清掃中の玲達。
溝口に「黒川に踊らされていただけ」と言われた沙世子は教室を飛び出してしまいます。玲は沙世子の後を追い、今から一緒に黒川に話を聞きに行こうと誘います。しかし、サヨコ伝説に対する敗北感でいっぱいの沙世子は、これ以上サヨコに関わることで自分が傷ついてしまうのをさけようと、玲を突っぱねてしまいます。そして、何が起きても平気で、挫けない玲が羨ましいと言うのです。自分のあこがれであった沙世子からそんなことを言われて戸惑う玲。沙世子は「玲の、まっすぐで、元気で、明るいところが、時々苦手だった」と言い残して、去っていきました。玲は、もう後を追うことができず、一人で黒川の元へ行くのでした。
秋、玲、クラスを代表して聞きに来た
花宮雅子の三人に、黒川は静かに語ります。鍵と
指令書を三年毎に送り、送られた生徒のその後をそっと見守ること以外何もしていないと。秋は、“
扉”は全て閉ざされておらず、残された最後の扉は
六番目のサヨコ達で開けなければならないのだと悟るのでした。
雅子は、来年の文化祭実行委員長に立候補し、仕事の引継をします。そこで、サヨコゲームの首謀者が黒川であることが暴かれたせいで、サヨコを封印するため、書類等も全て処分されることが決まったことを知るのでした。そして、サヨコに関するものは全て、
北校舎に一時的に保管されました。
学校からの帰り道、玲はどうしたら自分が沙世子の力になれるのか、答えを秋に訊ねます。そんな玲に秋は、「もう頼るな」と諭します。そして、「自分も玲を頼らない。だから、玲ももう自分を守らなくていい」と言いきります。沙世子に続いて、秋まで自分から離れて行ってしまうことに動揺した玲は、逃げるように走り去ってしまいます。
帰宅した秋を待っていたのは、離婚した両親のうち父親と暮らす弟・
唐沢由紀夫でした。由紀夫が母親と同居することを、秋が勝手に父親に頼んだことに腹を立てていたのです。秋は初めて由紀夫に自分の感情をぶつけ、取っ組み合いのケンカをしてしまうのでした。結局、二人は別々に家を飛び出してしまいます。
自分の家に戻りづらい秋は、玲の家を訪ねます。そして、自分が感情を露わにしてしまうことで玲や由紀夫を傷つけてしまったと、玲の父親に知らずのうちに相談するのでした。しかし、周囲の人の気持ちばかり考えて結局傷ついているのは秋だと思った玲の父親は、「無理しないで、自分の気持ちを優先していい」と諭します。そして、「自分のことを好きになってやれ」と言うのでした。
バラバラになってしまった自分たちのことを考えるため、学校に戻ってきていた玲ですが、結局何の答えも見いだせないまま帰ろうとします。そして、正面玄関の掲示板に
「わたしは今年のサヨコ。みなさんが知っている
サヨコの正体は、真実のわたしの姿ではありません。わたしはまだ、ここにいます。みなさん、わたしを信じてください。わたしといっしょに、最後の扉を開いてください。わたしはいつも、あなたの横に。 六番目のサヨコ」
というメッセージを貼る雅子の姿を見てしまいます。雅子がニセのサヨコだったのです。「自分こそが六番目のサヨコだ。玲達のせいで“扉”は永遠に閉ざされてしまう。サヨコを救えるのは自分だ」と言う雅子。なぜそんなにもサヨコにこだわるのか、雅子に玲が問おうとしたとき、遠くに火災警報装置が鳴る音が聞こえました。

この日、学校に最後まで残っていた黒川が
何かを感じ、北校舎に着いたとき、そこはもう火の海でした。中に残っている者がいないか確認しようと声をかけますが、返答はありません。
潮田家から帰ろうとしていた秋の耳に、学校の方へ向かう消防車のサイレンが聞こえます。胸騒ぎを感じて、学校へと駆けだす秋。北校舎の中には、雅子を手伝ってサヨコに関するものを運びだしていた由紀夫が倒れているのです。