現在も続いている「ホーンブロワー・シリーズ」後継作ともいわれる正当派作品。 最近は、ボライソーの不倫や、旧友ヘリックとの不和がストーリーのメインになりつつあり、賛否が分かれているようです。 第20巻では、甥のアダムまで不倫を始めちゃいました。 どうなるんでしょう...?
艦船画家、野上隼夫氏による第16〜22巻の表紙イラストを展示しています。 お楽しみ下さい!
海洋冒険小説では脇役扱いの海兵隊員一家が主人公の小説。 こういう船が中心ではない本もマメに読んで、想像力に幅を持たせるのもよいのでは...? 第2巻で登場する前巻の主人公の息子が、イヤミで無能な臆病者というのも珍しいパターンで面白いです。
どーでもいいけど「ハヤカワ」さん、1、2巻が絶版になってから3巻目を出すというのは、チョットいただけないですよ...
ホーンブロワー、ボライソーの様に優等生じゃない主人公がカッコイイ(でも苦労が多い)。 舞台は19世紀後半なので、実用化されたばかりの蒸気艦(黒船みたいなやつ)も登場します。 時代的にも帆船時代と第一次大戦との間という、海洋冒険小説の空白期間を埋める貴重な作品。
中身は正当派という感じ。 J・オーブリーは、数ある海洋冒険小説の中で一番金に困っている主人公で、借金取りから逃げ回ります。 艦長室で軍医と一緒に楽器を演奏するほど音楽好き、というのも珍しいですね。 このシリーズの表紙絵は、とても迫力のある接近戦を描いていて気に入ってます。 訳者は高橋泰邦先生。 やはりこの人の訳語に慣れているので読み易いですね。 ページの終わりにオマケとして「他の本に登場するJ・オーブリー 」を掲載。
これまた優等生でない主人公。 世渡り上手な放蕩息子が英国海軍に放り込まれて大活躍します。 アメリカ独立戦争が舞台なので、他のシリーズに比べて陸上での活躍が多いような気がします。 著者は珍しくアメリカ人です。
「パーキンソンの法則」で有名なイギリスの歴史学者C・N・パーキンソンの書いたシリーズ。 他の作品に比べて、騙し騙されという場面が多いですね。 1巻は、いきなり「罠にかけろ」だし... 海軍に属していながら、私掠船の船長になった変わり者もデランシーぐらいじゃないでしょうか?
海洋冒険小説の中でも最長のシリーズ。 主な登場人物は死なない!どんなピンチも必ず切り抜ける!という水戸黄門的な、安心して読める作品。(つまらないというイミじゃないですよ) 他のシリーズでは避けられがちなネルソン提督が、敵の多いラミジの味方として登場します。
また、「ヨーク物語」の主人公ネッド・ヨークの子孫、シドニー・ヨークが商船の船主兼船長として登場してます。
カリブ海で農場を経営していた主人公が清教徒革命の影響で土地を奪われ、バカニアになるという話。 「バカニア」(スペインだけを狙う海賊)の呼び名はインディオの作る薫製牛肉「ブカン」からきており、「牛殺し」と呼ばれる各国の謀反人や犯罪者達が「ブカン」を持っているのを見たフランス人が彼らを「ブカニエ」と呼んだのが始まりとのこと。 それが英語風になまって「バカニア」になったそうです。 それはそうと、牛肉を乗せて燻すための竹格子は「バーベキュー」というんだとか... これは知らなかった!
第2次大戦下、ドイツ軍と闘うイギリス海軍士官エドワード・ヨークの物語。 これまたヨーク一族です。 「ヨーク物語」が好きな人には嬉しいネッドとオーレリアのその後や、代々の"ネッド"達(ヨーク家の長男はエドワードと名付けられているらしいです。 ということはラミジの"シドニー"には兄がいるということになる!?)が語られます。 本作品のネッドの戦法は、哀れな漂流者に化けての騙し討ちばかり(笑) こんなこと続けてるとホントに困ったときに助けてもらえないゾ〜
日本ではホーンブロワーと並び賞される傑作シリーズ! ジョージ・アバクロンビー・フォックスはホーンブロワーとは違い、テムズ川の湿地に住む貧民の出身です。 縁故がモノをいう英国海軍で手柄は横取りされるわ、出世は遅れるわ、大変な苦労をします。 おまけに古傷が原因で、突然目が見えなくなるというハンデをかかえている! 据え膳は必ず食ってしまったり、酔っぱらって追い剥ぎに気絶させられた上に強制徴募隊に捕まってしまったり... 完全無欠のヒーローとは程遠いですが、その分親しみがもてると思います。
残念ながら出版元の三崎書房は無くなってしまい、入手は困難です。
アメリカ独立戦争を舞台にした、ニューハンプシャー州ポーツマスの私掠船一家の物語。 1〜2巻はマーカム父子商会の3兄弟達(ジヒュー、ジョサイア、マラカイ)の物語。 3巻はジョサイアの息子ギデオン、4〜6巻はジヒューの息子で米国海軍艦長となったファビアンの物語。 そしてクライマックスの7巻では、ファビアンとギデオンが協力してイギリス軍に立ち向かいます。
個人的には、物語を通して登場する老航海長ミスター・マーチンが好きですね。 彼は代々仕える信仰心の厚い船長達の前で、神を冒涜する言葉を吐き散らし、そのキャラクターで暗くなりがちな物語を明るくしてくれます。
アメリカ革命以前の、「植民地人」艦長が主人公の作品。 この時代ならではの話ですね。 面白かったのは「グロッグ」の名の由来。 マナリングの上官、エドワード・バーノン提督はいつもグログラム織りの服を着ていたので水兵達に「グロッグ親父」と呼ばれ、そのグロッグ親父が毎日配給したのが、ラム1、水3で割ったグロッグなのだそうです。 以来、ラム酒はグロッグ、ラム酒を飲み過ぎるとグロッギーと呼ばれるようになったとか...
英国東インド会社の私有戦隊「ボンベイ・マリーン」を描いた異色作。 海軍の厳しい規律に慣れている海洋小説ファンには、俗称「ボンベイ・バッカニア」たちの無規律ぶりに違和感を感じるかも知れません。(艦長にタメ口きくし...) キロという名の長崎出身でサムライで空手の達人という日本人(^^;)も重要なメンバーとして登場しています。
反逆者の汚名を着せられ不本意ながらイギリスと戦う、アイルランド人英国海軍将校の物語。 アメリカ人にも信用されないので周りは敵だらけ。 部下は殺人、窃盗、婦女暴行の常習者達。 こんな厳しい条件で戦う主人公は他にはいませんね。 ヒロインのコンスタンス・ラムゼーも、カノン砲の名人というもの凄い設定です。 マナリング将校物語のアン・ブリクサムも荒っぽいけど、コンスタンスの方が上だと思います。 詳しくは書きませんが、ラストシーンのドルトンの行動は「海の狐」らしく、ニヤリとさせられます。 数ある海洋小説の中でも1、2を争う名場面じゃないかな?
これほど実在の人物が登場するシリーズはないと思います。 ネルソンはアガメムノン号の艦長時代からコペンハーゲンの戦いの提督時代まで随所に登場し、ツーロンではフランス砲兵隊大尉ナポレオン・ボナパルト、ナポリではネルソンの愛人エマ・ハミルトンにも会います。 最後のコペンハーゲンの戦いでは元バウンティー号艦長で、現グラットン号艦長のブライとともにデンマーク艦隊と戦うというオマケつきです。 (この手の小説では珍しく、ブライ艦長が好ましい人物として書かれています。)
なんでも事実をもとにしているんだそうです。 主人公ジャスティスは艦長という肩書きを持ちながら船の指揮をとることはなく、諜報員としてフランスとイギリス本土を舞台に活躍します。 登場する海といえば英仏海峡のみ...
興味深いのは、発明家ロバート・フルトンの開発した潜行艇についての各国の反応ですね。 これを認めなかったイギリスやフランスは、その後も新技術に対して頑なな態度をとり続け、やがて零落。 新しもの好きな新興国アメリカは大国になって行く... 私も木造帆船が好きだし、将来性無いのかな〜(^_^;)
19世紀中頃の黒海でのクリミア戦争が舞台。 蒸気機関が実用化されたばかりの時代なので帆走艦、外輪式蒸気艦、スクリュー式蒸気艦が入り乱れて闘う珍しい作品です。 まだ騎士道精神が残っている時代なので、登場人物は非常に紳士的! 主人公ハザードは敵であるロシア人と助けたり助けられたりします。(凶暴で野蛮なコサック兵、トルコ兵は別) さらにロシア皇帝の姪と、はかない恋をしたり... このコネが何度もハザードを救うんですけどね!
「荒海の英雄/ハーフハイド」と共に、海洋冒険小説の空白期間を埋める貴重な作品。
この作品にはハザードの親友として"フォックス"海尉と"グレイ"候補生が登場してますが、「FOX」シリーズの子孫かな? 偶然にしては出来過ぎ...
18世紀初頭のカリブ海から南北アメリカ大陸を舞台にした諜報員の物語。 上司は、たまに船の指揮を執る艦長ですし、主人公パートンも水兵上がりの海軍将校という身分なので、ここで紹介することにしました。(パートン自身が海で闘う場面はありません。) 読んでみれば解ると思いますが、ジェームス・ボンドやランボー顔負けのタフガイぶりを披露します。(^^;) スゴクおっかないスペイン人の「異端審問庁」には何度も捕まりますが、何度でも逃げだします。
この物語と同じ頃、「ロビンソン・クルーソー」の著者ダニエル・デフォーも、アン王女のもとで諜報活動に従事し、1714年上期の諜報部会計簿によると彼には500ポンドも支払われているそうです。
アイルランドで密輸を営む一家の長男ハリー・マガンが、地元でのいざこざから逃れるためアメリカへ渡ることから始まる、米国海軍一家の独立戦争から真珠湾攻撃までの海の米国史をたどる物語。 代々の主人公達の特徴は、怪力を持つ並外れた大男で、オマケに頭脳明晰!というスーパーマンというところですかね。 こういうキャラクターは、主人公を支える艇長か掌帆長の相棒というのが相場ですが、主人公になると一人二役!! 格闘シーンでは大の大人を子供のようにあしらいます。 こりゃ、屈強な相棒の出番は無いですな...
非常に日常の細々した事柄や、タブーを真っ正面から描いた作品です。 士官候補生に操船術や艦内の運営といった教育をほどこしたり、軽い罰として非直の際に小論文を書かせるといった、当たり前すぎるが故に見逃される日常の場面にページを割いているところには「おおっ!!」と驚かされました。 タブーの部分ではドリンクウォーターに嫉妬する同僚士官モリスは、部下へのイジメの常習者でホモという設定。 このモリスが事ある毎に足を引っ張るので、ドリンクウォーターは低い地位に甘んじています...(海尉になったのが30代半ばですからね〜(;_;))
これは珍品中の珍品!! フランス海軍の勇敢なる少壮艦長ポール・フランソワ・アマデール・ギャラン(な、長い...)の物語です。 日本の海洋冒険小説ファンである私にはフランス側からの視点がとても新鮮で、「カエル野郎」と蔑まれているフランス人にも、当然優秀な人物が居たであろうと考え直させられました。 同じく英国人には無能の代名詞とされている「スペ公」ことスペイン人とその海軍にも、きっと面白い話があるんでしょうね...。 読んでみたい!!
全巻入手!! 読んでる最中です...
SFです。 なぜここで紹介するのかというと、海洋冒険小説をとても意識した作品だからなのです。 第1巻の原題は「MIDSHIPMAN'S HOPE」、邦訳版のシリーズ名「銀河の荒鷲シーフォート」ってのも十分すぎるほど意識してます。 軍隊の規律の厳しさや社会の倫理観が17世紀前後の状態に戻った未来世界の、国連宇宙軍最年少艦長(10代!)ニコラス・シーフォートの物語で、舞台はほとんどが宇宙船内ということもあり、主人公シーフォートが孤独で責任の重い艦長職について悩む心理描写が非常に多いです。
以前からいろんな人に勧められていたのですが、いざ読み始めると面白い!! ここに来ている人は「海狼伝」「海王伝」から読み始めるのが良いでしょう。 他の短編でも様々な人物が交錯するので、あれもこれも読まずにはいられなくなり、嬉しい泥沼にハマります。(笑) というわけで、シリーズではないですが各作品が相互に関連を持っていることが多いので「白石一郎」として独立させました。
「その他の書籍」が増えてきたので、独立させました。 私がこの中で一番お気に入りなのはC.S.フォレスターの「非情の楽園」です。 コロンブスについてはアメリカ大陸発見という、いわゆる光の部分だけに注目しがちですが、これは陰の部分に注目した珍しい作品です。(レアな"フォレスターもの"ですしね...)
残念なことにこのシリーズも「海の風雲児/FOX」と同じ三崎書房から出版されていたので入手は困難です。
キャプテン・ドレイクの操舵手をつとめていた主人公が、自分の指揮する焼討ち船で炎に巻かれる仲間を見殺しにしたため、「あらゆる海の水が干上がるまで生きる」という呪いを魔女にかけられ、現代まで船乗りとして彷徨うという物語。 主人公マシュー・ローは歴史に残る冒険家や軍人達の栄光の時と、次第に傲慢になり破滅して行く姿を目撃して行くことになります。
結構卑怯な主人公で、呪われた後も恐怖に駆られ船長や仲間を見捨てることもしばしば... 極めつけは、トラファルガー海戦でネルソンと並んで立っていたときに敵の狙撃手に気づいたにもかかわらず、自分だけ逃げちゃいます。(おいおい...) そんな彼も最期には...
とてもハードな話です。 まだノンビリしていたWWII開戦当初から、英国が敗戦間際まで追いつめられた苦しい時期、そして大きな犠牲を払いながら、やっと訪れた勝利までを艦長エリクソンと、義勇士官ロックハートを中心に描いています。 彼らはあくまで中心というだけで、平水兵の戦闘や私生活までを描いて感情移入させたあげく次々と戦死させて行きます...う〜ん、重いな〜
ここで紹介しているCD-ROM「18世紀英国海軍物語 大帆船」はイチ押し! マルチメディアの威力を実感しました。 こういう上質のソフトが増えることを望みます。
...なんて書いてるときは、自分がこのソフトに関わるなんて夢にも思ってませんでした。 もうバレバレなので紹介します。m(__)m
「その他の書籍」が巨大になってきたので、日本の作家・日本に関連のある本を分けます。 これで、和モノ海洋冒険小説が探しやすくなると...たぶん...思う...様な気がします...
海や船にはほとんど関係ありません。 「帆桁亭」という屋号を背ってるので、こーいう知識もあった方がいいのかなと思って読みました。 この知識を雰囲気作りに役立てればいいのですが...
少ないですね... たぶん、皆さんが見たいと思っている「艦長ホレイショ」("Captain Horatio Hornblower" 1951 Warner Bros.)は、日本語字幕、吹き替え版は共に発売されておらず、英語版も発売中止になっているそうです(;_;)
これまた少ない...日本製は第二次大戦モノばかりで、帆船モノは皆無です。(しょーがないか...) それとは対照的に欧米のシミュレーション・ゲームには非常に質の高い帆船モノのゲームが沢山あります。 (2つしか持ってませんけどね...(^^;))